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簡易版認知症チェック!認知症の初期症状?それともただの物忘れ?

認知症見守り

その物忘れは認知症かも

「最近物忘れが多くなった気がするけど、ひょっとしてこれって認知症…?」家族あるいは自分自身のことで、こんなふうに心配に思うことはありませんか?

原因となる疾患にもよりますが、認知症の初期症状として物忘れが目立つようになることがあります。一方、物忘れは誰にでも起こり、健康な人でも加齢にともない物忘れの回数が増えていくのは自然なことです。

そういわれると、物忘れがあると認知症を疑った方がいいのか、それとも心配しなくてもいいのか、少し混乱してしまいますね。実は、認知症の症状としての物忘れと、加齢による物忘れは違うものです。また、区別することもできます。

認知症は早期に治療を開始すれば、原因疾患によっては進行を遅らせることが可能なので、早期に発見し対応することが肝心です。そのためにも、認知症の初期症状としての物忘れの特徴と加齢による物忘れとの違いを知っておきましょう。

加齢による物忘れと認知症ではどう違う?

では、加齢にともなう物忘れと認知症の症状としての物忘れは何が違うのでしょう?
大きな違いの1つが、単なる物忘れでは体験の一部を思い出せないのに対して、認知症による物忘れでは体験そのものを忘れてしまいます。例えば、昨日の夕飯に何を食べたか思い出せないことが誰にでもあると思いますが、これは心配な物忘れではありません。これに対し認知症では、夕飯を食べたという体験全体の記憶が抜け落ちてしまいます。さっき食事をしたこと自体を忘れることもあり、家族に食事を要求したり、再度食事をしようとしたりすることがあります。

また、加齢による物忘れは記憶障害だけですが、認知症による物忘れの場合は記憶障害に加え判断力や実行機能についての障害も起こります。実行機能とは、複数の手順からなる作業をしたり、計画を立てて物事を実行するといった機能のことです。こうした能力が損なわれると、料理ができなくなったり使い慣れた家電の使い方がわからなくなったりします。

さらに、加齢による物忘れの場合、本人に自覚があり、とりつくろうことはありません。しかし、認知症の人は物忘れの自覚があまりなく、忘れていることをとりつくろおうとしたり、失くした物を「誰かが盗った」と疑うような妄想が見られることもあります。

このようなことから、加齢による物忘れは日常生活に支障をきたすことはありませんが、認知症による物忘れは日常生活においてトラブルにつながることもあることがわかりますね。加えて、加齢による物忘れはきわめてゆっくりとしか進行しませんが、認知症は時間とともに進行していきます。

家族が気づきやすい認知症初期の変化とは

ここで、もう少し詳しく認知症の初期症状としての物忘れについて見ていきましょう。
認知症による物忘れは、日常生活の中での変化としてあらわれます。こうした変化に早めに気づけるのはいっしょに暮らす家族です。身近な人がチェックできる認知症の初期症状には次のようなものがあります。心当たりはありませんか?
是非一度、チェックしてみてはいかがでしょうか?

・何度も同じことを言ったり、聞いたり、行動したりする
・曜日や日付がわからず何度も確認する
・置き忘れやしまい忘れが多く、いつも探し物をしている
・薬の飲み忘れや飲んだかどうかがわからなくなることがある
・水道やガスなどの閉め忘れ、火の用心ができなくなった
・物をなくして、盗まれたと人を疑うようになった
・料理、片づけ、計算、運転ミスが多くなった
・約束の日時や場所をまちがえるようになった
・失敗を指摘されると隠そうとする
・ささいなことで怒るようになった
・銀行や窓口でのトラブルが多くなった

簡易チェック!認知症?それともただの物忘れ?

認知症の簡易チェック表を作って見ました。あくまでも参考ですので、不安があればなるべく早めに医師に相談することをおすすめします。とはいえ、高齢の家族が「財布を盗まれた」と言い出したり、怒りっぽくなったりすれば、周囲の人は当惑するものです。認知症になった人は、なぜこのような行動をするのでしょうか?

それには理由があります。実は、認知症の方本人も「何かおかしい」と感じているため、不安でイライラした状態になりやすいのです。本人のこれまでと違う様子を見て、家族も心配でイライラした気分におちいるかもしれませんが、その気持ちを本人に向けるのは逆効果になりよくありません。それよりも、落ち着いた気持ちで本人がどう感じているかを知ることが大切です。本人に現状を伝え、反応を見ながら、どのようにしてほしいのかを相談しましょう。

認知症の方本人の気持ちを尊重し、希望を知っておくことは、今後の治療や介護の方針を決める上で重要なことですし、本人と介護者のこれからの生活の質にも大きく関わります。

もっとも多い原因疾患がアルツハイマー型認知症

さて、認知症は原因となる疾患によってタイプが異なり、症状のあらわれ方にも多少の違いがあります。日本でもっとも多いとされているのがアルツハイマー型認知症で、認知症患者全体の半数近くを占めます。物忘れは、このアルツハイマー型認知症の初期症状の1つとして見られるものです。

アルツハイマー型認知症は早めに薬による治療を始めれば、進行を遅らせることができます。また、症状が軽い初期のうちに診断を受ければ、本人と周囲が今後の生活について相談し、認知症になっても本人らしい暮らしをしていくための備えができます。

このように、アルツハイマー型認知症は早期に気づき治療につなげることで大きなメリットが期待できます。だからこそ、初期症状の特徴を知っておくことが大切ですね。加齢による物忘れと認知症の違いを理解し、早めの対策を心がけましょう。

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