2025年問題とは? 超高齢社会で現実化する老老介護・認認介護への対策は?
高齢者問題
2025年問題の現実? 老老介護と認認介護
2025年問題とは、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり社会保障費の負担増、医療・介護体制維持の困難化、労働力不足などの社会課題が生じることをいいます。日本ではすでに65歳以上の高齢者が人口の21%を超える「超高齢社会」となっており、さまざまな課題が私たちの目前に迫っています。
なかでも多くの人に関わってくる可能性があるのが、65歳以上の高齢者のみの世帯の増加による「老老介護」や「認認介護」の深刻化です。2025年問題と関連する課題について説明し、老老介護、認認介護への対策を考えます。
2025年問題とは、超高齢社会がもたらすさまざまな課題
2025年問題とは、約800万人といわれる団塊の世代が75歳以上となり、後期高齢者が人口のおよそ5分の1を占める社会になることで深刻度が増すさまざまな課題の総称です。
65歳以上の高齢者の割合が14%を超えると高齢社会、21%を超えると超高齢社会と呼び、日本は2007年にすでに超高齢社会に突入しています。2025年には人口の3分の1が高齢者となり、多くの課題が差し迫ってくると予想されています。
また、2022年の調査によると全世帯の半数以上が高齢者のいる世帯で、そのうち高齢者だけで構成される世帯が60%を超えており、いずれも増加傾向が続いています。
さらに、2025年には認知症患者が約471万人となり、高齢者のおよそ13%を占めると推計されています。
こうした状況のなか、医療や介護の需要が急増し社会保障費がふくらむのに加えて、少子化で労働力不足が進むことも懸念されます。医療・介護人材の確保がさらに困難になれば、医療サービスや介護サービスに支障をきたすおそれもあるでしょう。
老老介護・認認介護とは? 何が問題か?
老老介護とは、介護する側・される側がともに65歳以上の高齢者である状況を指し、高齢の夫婦間の介護、あるいは親子間の介護で子も高齢者といったケースが挙げられます。
介護する側も体力や健康に問題を抱えている場合が多く、長期にわたる介護が心身の負担になってうつ症状や健康状態の悪化を引き起こしたり、社会的に孤立して適切な支援を受けられなくなることもあります。
また、認認介護は介護する側・される側の双方が認知症を発症しているケースで、老老介護が進展した状態といえます。
老老介護よりもさらに状況が厳しくなり、日常生活においてトラブルや事故が発生する可能性が高まります。
2025年問題のひとつである介護人材不足が進むと、必要としている人に介護サービスが届きにくくなり、多くの高齢者とその家族に影響を与えると考えられます。なかでも、老老介護や認認介護の問題はより深刻になってくるでしょう。
老老介護は今後も増え続けると予想されており、介護する側とされる側の双方への十分な支援と事態を悪化させないための対策が求められます。
老老介護を防ぎ、深刻化させないために
老老介護を防いだり、老老介護せざるを得ない状況でも事態を深刻化させないためには、次のような対策が考えられます。
・健康寿命を伸ばす
健康寿命とは「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間*」を意味します。日本人の場合、平均寿命よりも約10年短く、すなわち介護を必要とする期間が10年あるというのが実情です。
健康寿命を伸ばし自立した生活を長く維持できれば、その分介護が必要となる期間が短くなることを意味し、それがすなわち老老介護の防止につながります。そのためにもバランスの良い食事、適度な運動、質の良い睡眠など心身の健康に配慮した生活習慣を身につけ、持病があれば適切な治療を受けるよう心がけましょう。
※引用:厚生労働省「e-ヘルスネット」
・行政などの介護の相談窓口に早めに相談する
介護を家族だけで抱え込むのは大きな負担になります。自分自身や家族に介護の必要性を感じたら、地域包括支援センターや市区町村の高齢者支援課、福祉課などの相談窓口、かかりつけ医、病院の相談室などに早めに相談しましょう。
相談したいと思ったときにいつでも利用できるように、あらかじめ最寄りの相談窓口を調べておくことをおすすめします。
・必要に応じて介護保険や地域のサポートを利用する
心身の状態によっては要介護認定を受け、介護保険によるサービスを利用しましょう。なお、要介護・要支援に該当しないと認定された方でも、地域によっては独自のサポートを利用できる場合があります。
こうしたサービスやサポートを受けるには、いずれも地域包括支援センターや行政の窓口への相談が第一歩となります。
孤立させないよう見守ることが対策の基本
老老介護、認認介護は家族だけで解決しようとすると大きな困難を伴います。自分たちで問題を抱え込んでしまっていたり介護疲れによって判断力が低下しており、当事者が自ら支援窓口にアクセスするのがむずかしいというケースも少なくありません。
そこで重要になるのが、介護を必要とする人やその家族を孤立させないよう日ごろから周囲の人が目を配り、異変に気づいたらスムーズにサポートにつなげることです。
そのためには、高齢の家族に介護が必要になったときに備えて早めに家族全員で話し合っておくことも大切です。その上で、心身の異変にすぐに気づけるよう見守りの体制をつくっておきましょう。
その際は家族だけで何とかしようとするのではなく、行政や地域ボランティアによる見守りサービスに頼ったり、高齢の家族と離れて暮らしているならセンサーによる見守りシステムの導入も有効です。
それぞれの家庭の実情に合った見守り方法で、高齢の家族の異変を見逃さないことが重要です。
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