健康のために緑茶を飲む? 国立長寿医療研究センターがカテキンと脳の健康について報告
高齢者一人暮らし
緑茶の栄養成分と進む研究
日本の文化に深く関わり、日本人にとって日常的な飲み物である緑茶は、古くから体によいとされてきました。近年は健康との関連について研究が進んでおり、緑茶を飲む習慣が認知機能の維持に影響を与えるとの報告もあります。
そこで今回は、身近な緑茶に含まれる成分について解説し、健康的でおいしい飲み方をご紹介します。
国立長寿医療研究センターが実施する「老化に関する長期縦断疫学研究」では60歳以上の地域住民を対象に、緑茶を含む嗜好飲料の摂取量と認知機能や海馬との関係を継続的に調べています。12年にわたる調査の結果、一定量以上の緑茶を飲む人はそうでない人に比べ認知機能が下がりにくいことが分かったというのです。
なお、緑茶には苦味、渋味、色素の成分であるポリフェノールがふんだんに含まれます。その一種であるカテキンには抗酸化作用があり、病気のリスクを低減させるといわれています。また、緑茶に含まれるテアニンという成分はストレスを軽減させるともいわれています。
緑茶に含まれる栄養
ここでは、緑茶に含まれる各種の成分が体内でどのように働くのか解説します。
●カテキン
抗酸化作用があるカテキンは、さまざまな病気のリスク低減につながると報告されています。また、血中コレステロール低下作用や抗菌・抗ウイルス作用があることも知られています。
●ビタミン類
緑茶にはβカロテン、ビタミンB1、B2、ビタミンC、ニコチン酸などのビタミン類が含まれ、紅茶には含まれないビタミンCが特に豊富です。ビタミンCは皮膚や骨の健康を維持するコラーゲンの生成を助けるほか、抗酸化作用もあります。
●テアニン
アミノ酸の一種で、上質なお茶に多く含まれる日本茶のうま味成分です。テアニンにはリラックス作用があることが知られており、緊張がほぐれることで血行がよくなり、集中をサポートすると考えられています。
●カフェイン
カフェインは植物に含まれる化合物の一種で、緑茶にも多く含まれます。覚せい作用があり、眠いときや疲れているとき、二日酔いのときなどに摂りたい成分です。
あらためて知りたい日本茶のこと
緑茶は日本人にとってなじみのある飲み物ですが、意外と知らないことも多いかもしれません。
まず緑茶の定義を確認しておくと、緑茶は「発酵させていないお茶」、つまり無発酵茶です。これに対し紅茶は発酵させたお茶(発酵茶)で、ここでいう「発酵」は微生物による発酵ではなく茶葉の酸化をさします。緑茶は、酸化させないことで茶葉に含まれるさまざまな成分が維持され、体によいとされてきたのでしょう。
また緑茶は日本茶と混同されがちですが、日本茶とは日本で作られるお茶の総称でそのほとんどが緑茶です。緑茶には玉露や煎茶、番茶などの種類があり、おいしく飲むためにはそれぞれ入れ方のコツがあります。お茶のよい成分を引き出し、深く味わうための入れ方のポイントを知っておきましょう。
●緑茶の入れ方(いずれも分量は1人あたり)
・玉露 [茶葉の分量:2g / お湯:50ml・50〜60℃]
事前に湯呑みと急須を温めておきます。一煎目は急須にお湯を注いで2〜3分蒸らし最後の一滴まで注ぎましょう。二煎目は一煎目より高めの温度のお湯で30秒程度蒸らして注ぎます。
・煎茶 [茶葉の分量:2〜3g / お湯:80ml・80℃]
一煎目はお湯を注いで1分ほど蒸らし、急須にお茶が残らないよう注ぎます。二煎目以降は一煎目より高い温度のお湯で蒸らす時間を短くします。
・番茶、ほうじ茶 [茶葉の分量:2g / お湯:100ml・100℃]
お湯を注いだら急須をゆらさず約30秒蒸らし、急須にお茶が残らないよう注ぎましょう。二煎目は約1分蒸らします。
*いずれも複数人で飲むときは濃さが均一になるように注ぎましょう。
飲み過ぎに注意して健康的に緑茶を飲もう
緑茶には認知機能の維持や感染症の予防など、体にうれしいさまざまな作用があると考えられ日々研究されています。日本人にとってはなじみ深い飲み物で毎日積極的に飲みたいところですが、飲み過ぎはカフェインの過剰摂取などにつながる可能性があります。
緑茶の摂取量は一日に10杯程度までにしておくとよいといわれています。ただし、人によって食習慣が異なり、服用している薬などによっては緑茶をある程度控えたほうがよい場合もあるので、気になる方はかかりつけ医に相談してください。また、午後2時以降のカフェイン摂取は夜間の睡眠を妨げる恐れがあるともいわれています。
このようなポイントを踏まえて、緑茶を上手に生活に取り入れるようにしましょう。
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