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ユマニチュードってなに?話題の認知症ケアを探る

認知症見守り

おだやかな認知症ケア・ユマニチュード

高齢者人口が増え続けている昨今、2014年には、75歳以上の高齢者の23%が介護を必要としています。そのうちの多くの人が在宅で介護を受けていますが、認知症をわずらっている場合は、特に介護者の負担が大きいといわれています。

在宅介護では、家族が介護をになうことが一般的です。もともとは仲の良かった家族でも、認知症になった人が「介護者の言うことを聞いてくれない」といったことから、スムーズにケアができないケースが少なくありません。その結果、お互いの暴言や暴力を招いてしまったり、介護する側・される側が疲れ果ててしまうことも。誰もがそのような事態にはしたくないものですが、では、実際にどうすればいいのでしょう?

そこで、ご紹介したいのが「ユマニチュード」という認知症ケアの手法です。ユマニチュードは、フランス発祥の認知症介護の手法で、暴力的な人でもこのケア手法により落ち着くことから「魔法のような」認知症ケアとも呼ばれます。フランスを中心に世界中の多くの医療機関や施設で取り入れられ、日本でも2011年から医療や介護の現場で導入されています。

とはいえ、特別な技術などは必要なく、誰でも身につけることができる手法です。今回は、このユマニチュードについて説明します。

コミュニケーションの4つのテクニックで認知症に寄り添う

ユマニチュードはコミュニケーションを重視したケア手法で、数多くのテクニックから成ります。その基本となるのが「見る」「話す」「触れる」「立つ」といった4つの手法で、これらのうち1つだけではなく、いくつかを組み合わせて介護を行います。ここでは、ユマニチュードの4つの基本テクニックをご紹介しましょう。

・「見る」:まずは、アイコンコンタクト
「見る」ことがユマニチュードの最も基本的なテクニックになります。認知症になると視野がせまくなりがちですが、介護される側からすると、目で確認できていないのに、いきなり体に触れられたりすると不快感や不安を感じます。
お世話をするときは、まず、最初に介護者が意識して本人の視界に入り、存在を認識してもらうようにします。次に、20センチほどの距離に近づき、目の高さを合わせ、親しみを込めてアイコンコンタクトを取りましょう。こうすることで、本人に不快感や不安を感じさせずに、ケアを始められます。

・「話す」:ゆっくりと声がけ
認知症患者の中には話しかけても反応のない人もいます。しかし、ユマニチュードでは、そういった人にもきちんと声がけするようにします。まず、アイコンタクトが取れれば、例えば、「いまから、体を拭きますね」といったように、これからどのようなケアをするのかゆっくりと言葉で説明しましょう。
続けて「次は、背中を拭きましょうね」、「終わりましたよ。きれいになって気持ちいいですね」など、実際に何をしているか説明しながら、ケアします。
この一連の話しかけは、介護される人の人格への配慮を込めたものになります。

・「触れる」:声がけしながら
適度なボディタッチは、親しみをあらわしたり、気持ちをほぐすことにつながります。介護される人に安心感を与える上で、ユマニチュードにもボディタッチが取り入れられています。介助をする際に、介護される本人の手や背中などあまり敏感でない部分を手のひらでそっと包むような感じで触れるようにしましょう。
そのときに注意したいのが、必ず本人の視界に入りおだやかに話しかけながら触れること。背後から、また無言でいきなり触ってしまうと、驚かせたり、不安にさせるなど、逆効果になってしまいます。腕などを「つかむ」ことも厳禁です。

・「立つ」:自力で
ユマニチュードでは、自分の足で立つことを重要視しています。立つことにより認知機能や健康状態の改善につながるからです。寝たきりの人であっても、本人の立つ能力を引き出すことを目標にしています。リハビリ以外に日常生活の中で、ベッドに横たわっている時間を減らしたり、着替えなどの際はなるべく立って行えるように介助するなどしたいものです。
とはいえ、安全が何より大事です。介護者が安全に介助できないと思う場合は決して無理をせず、専門家に相談しましょう。

見守りロボットと組み合わせて介護をラクに

以上がユマニチュードの基本的な考え方と手法になりますが、家庭での日々の介護にも取り入れれば、介護する側・される側ともにストレスを少なくできそうですね。
介護の負担を減らすには、このようにケアの手法を工夫することも大事ですが、認知症ケアでは日常的な見守りが欠かせないケースも少なくありません。そこで、便利なネットワークカメラやセンサーを搭載した見守りシステムを取り入れるのはいかがでしょう?
そうしたシステム機器のなかでも、最近は、見守られる高齢者にとって「機械」をイメージさせない見守りロボットも登場しています。

例えば、見守りロボットの「いまイルモPaPeRoi」は、親しみやすいかわいいフォルムで、人感や温度などのセンサーにより、見守り対象者の動きや室内温度などを見守る側に知らせます。また、見守り対象者に声をかけて、服薬時間を知らせたり、室温にあわせて冷暖房を入れることを促したりする機能もあります。ユマニチュードとこんな見守りロボットを組み合わせて活用すれば、さらに介護がラクになりそうですね。
▼見守り支援ロボット いまイルモPaPeRo i とは

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