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腰椎圧迫骨折とは 「いつの間にか骨折」の症状は? 骨折後のケアにおける課題は認知機能の維持

高齢者問題

腰痛という認識によって見過ごされやすい高齢者の骨折 腰椎圧迫骨折とは

厚生労働省が定期的に実施している国民生活基礎調査によると、何らかの気になる身体的な症状を持っている人(有訴者数)のうち、中高年以降に急増して男女とも最も多い自覚症状が腰痛です。

人の体を支える脊椎(背骨)は複数の「椎骨」と、椎骨同士のクッションとなる「椎間板」で主に形成されており、お尻の骨「仙骨」の上にある5個の椎骨を腰椎といいます。
腰椎は体の重さを支える重要な部分ですが日常的に負担がかかっており、国民病ともいえるほど多くの人が腰痛に悩まされている事実があります。

実は、その腰痛の中に骨折が隠れているかもしれないのです。「ただの腰痛かと思った」と見過ごされることもある「腰椎圧迫骨折」をご存知でしょうか?

上下からの強い力で骨が押しつぶされて変形する骨折を圧迫骨折といい、背骨で起こる「脊椎圧迫骨折」のうち、腰骨(腰椎)で発生するものが「腰椎圧迫骨折」です。

年代によって異なる腰椎圧迫骨折の原因や症状 高齢者特有のリスクとは

腰椎圧迫骨折が起こると腰や背中に痛みが生じ、「起き上がる」「立ち上がる」「歩く」といった日常の動作に影響します。多くの場合、動いていない時は痛みが治まっているという特徴があります。

年齢別に見ると若年層では腰椎圧迫骨折の原因として、交通事故や高所からの転落のような強い衝撃で起こる事例が多く、高齢者では骨粗鬆症による骨密度低下が原因のものが多くなっています。

受傷した時点で強い痛みを感じ、骨折を自覚しやすい若い世代に対し、高齢者の場合は痛みが比較的軽かったり、急性の症状がなく加齢による不調と思い込んだりして、医療機関の受診が遅れる傾向があります。

圧迫骨折には立ち座りや咳、くしゃみなどの軽い衝撃で起こるものだけでなく、「腰痛があるなとは思っていたけれど受診してみたら骨折だった」というように、大きなきっかけがなく本人も骨折に気づかず過ごしてしまう「いつの間にか骨折」もあるのです。

【いつの間にか骨折のきっかけとなる日常の動作】
・くしゃみや咳をする
・床に置かれた買い物袋など、重いものを持ち上げる<
・洗面台で前かがみになる
・掃除機をかける
・イスやソファから立ち上がる
・ベッドや布団からの起き上がりや寝返り

脊椎の圧迫骨折を放置すると、骨の変形、足のしびれやまひ、内臓機能の低下、生活機能の低下、認知機能の低下などを引き起こすリスクにつながります。

「急に腰痛や背中の痛みが出た」「身長が以前より低くなった」「背中が丸くなってきた」などは、腰椎圧迫骨折が隠れている症状かもしれません。転倒歴の有無にかかわらず、圧迫骨折の可能性も考え、早めに整形外科を受診し、レントゲンやMRIによる検査など、適切な診断を受けることが大切です。

骨折を繰り返さない 高齢者は認知機能維持の視点を忘れずに

脊椎圧迫骨折は一度起こすと背骨のバランスが崩れ、姿勢が変わるので再発しやすいといわれています(骨折の連鎖)。再発が続いてしまうと呼吸機能や消化機能の低下、転倒リスクの増加につながることもあります。

このため、日頃からカルシウムやたんぱく質、ビタミンDを意識した食事や、適度な運動を心がけましょう。そして、これらとあわせて骨密度検査を受け、骨粗鬆症がある場合には治療を行います。

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腰椎圧迫骨折の治療には、保存療法と手術療法がありますが、高齢者の場合、治療の中心となるのは保存療法です。保存療法はコルセットで固定したり鎮痛薬で痛みを和らげたりしながら骨が自然に癒合するのを待つ方法で、骨のずれが少ない場合や年齢・持病などから手術の負担が大きいと判断される場合に選択されます。なお、骨が著しく変形していたり、神経を圧迫したりしている場合は、手術療法による治療が検討されます。

一般的には受傷から数週間程度の安静が必要とされますが、高齢になると短期間の安静でも筋力や体力は低下しやすく、歩行能力の低下に加えて肺炎や食欲不振などを招き、介護が必要な状態となるおそれがあります。寝たきりになるリスクも無視できません。

したがって、高齢者の場合は全身の機能を維持しながら回復を目指すことが重要です。痛みをコントロールしつつコルセットを着用したうえで、無理のない範囲で歩行や日常生活動作の練習を始め、状態に応じて体幹や下肢の筋力訓練へと進めていきます。

また、高齢者の治療やリハビリでは認知機能の維持が特に重要です。入院や安静による生活リズムの乱れ、外出や人と交流する機会の減少、環境の変化や薬剤の影響などが重なり、認知機能の低下はもちろんのこと、一時的なせん妄を引き起こすケースもあります。

このため、身体を動かすリハビリだけでなく、日光を浴びて生活リズムを整えたり、家族や周囲との会話を保ったりすることも大切です。時間を見つけて脳トレを行う、デイサービスを利用するなど、できる範囲で実践したいものです。

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高齢者の腰椎圧迫骨折に関しては、身体機能と認知機能の両方を維持するという視点で治療に取り組むことが、その後における生活の質を大きく左右します。医療関係者や要介護認定を受けている場合は、ケアマネジャーなどと相談してサポート体制を整えるようにしましょう。


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