高齢者の免許証更新 高齢者講習と認知機能検査は何歳から必須? 免許証返納も考えるべき?
高齢者問題

高齢ドライバーの運転は危険? 事故のリスクを減らすには
近年製造されている自動車には事故を防ぐためのさまざまな安全機能が搭載されています。それでも交通事故はなくならず、中でも高齢ドライバーによる交通事故のニュースを見聞きすることが増えています。
原付以上の免許保有者が起こした交通事故のデータを見ると、免許保有者10万人当たりの事故件数は16〜19歳と20〜24歳の若年層で多くなっています。しかし死亡事故に限れば、ドライバーが80歳を超えると顕著に増えて85歳以上では全年代の中で最多となり、若年層による死亡事故件数を上回ります。
高齢ドライバーの事故原因で多いのは、「安全確認ミス」「ブレーキとアクセルの踏み間違い」「ハンドル操作ミス」などで、こうした傾向は、出会い頭の事故や電柱・ガードレールなどへの衝突事故につながりやすいため、致命的な事故となってしまうのです。
高齢者による交通事故リスクを減らそうと、警察や自治体によって運転免許証の自主返納を促す取り組みが行われています。一方で、運転をやめることが高齢者の社会参加の機会を減少させ、要介護状態や認知症のリスクを高める可能性があることも指摘されています。運転は日常生活の中でできる認知機能のトレーニングのひとつとも考えられています。さらに、運転を続けることが生活の質の維持につながるという側面もあり、返納をためらう方も少なくありません。
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▼高齢者防犯で気を付けたい あおり運転や高齢者の交通トラブルが社会問題に
高齢者の認知機能と車の運転の関係
自分が安全に車を運転し続けられるのか、それとも運転免許証を自主返納したほうがいいのか、それを判断する大きなカギになるのは高齢者本人の認知機能への理解です。
車を安全に運転するには高度な認知機能が必要で、これには目や耳から入る情報を正しくとらえる力や危険を予測する力、状況に応じて判断する力などが含まれます。さらに、アクセルやブレーキ、ハンドルを正しく操作する運動面の能力も必要です。つまり車の運転とは、多くの情報を瞬時に処理し、適切な行動につなげる、脳と体の両方を同時に使う高度な活動なのです。
個人差はありますが、認知機能や運動能力は加齢に伴い衰えます。神経伝達物質の機能が鈍り、反応速度や運転に必要な筋力が低下します。70歳を超えると動体視力は20代に比べて半減し、視野角は20%ほど狭まるというデータもあります。さらに、白内障など高齢者に多い疾患もあり、これらは交通事故のリスクとなります。
運転の継続は一律に年齢だけで決められるものではなく、自身の認知機能や運動能力を正しく見極めることが判断の第一歩となります。
なお、安全な運転に不安のある高齢ドライバーや、運転の継続を心配するご家族向けに都道府県警察が安全運転相談窓口を設け、運転継続のための指導や免許証自主返納の助言を行っています。
⇒安全運転相談ダイヤル ♯8080(警察庁)
高齢者の運転免許 更新できるかどうかの判断は?
数年ごとに迎える運転免許証の更新は、高齢者がこのまま運転を続けるかどうかを判断する良い機会になるかもしれません。
運転免許証の有効期間は原則5年ですが、70歳の人は4年、71歳以上の人は3年です。また70歳以上の運転免許証更新にあたっては2時間の「高齢者講習」が、75歳以上ではさらに「認知機能検査」が義務付けられています。

引用:高齢運転者対策・第二種免許等の受験資格の見直し(警察庁)
「認知機能検査」とは、検査時の年月日を答える「時間の見当識検査」と、イラストを記憶して回答したりする「手がかり再生」と呼ばれる検査を通じて、記憶力や判断力をチェックするものです。これらのテスト問題で一定の点数を取れなかった場合は、認知症ではないという医師の診断が必要になります。その後、「高齢者講習」を受ければ、免許証の更新手続きができます。しかし受診の結果、認知症と診断されると、所定の手続きを経て、運転免許の停止もしくは取り消しになります。
つまり、70〜74歳の人は「高齢者講習」を受けたあとに免許証の更新手続きができますが、75歳を超えると、「高齢者講習」の前に「認知機能検査」を受けなければなりません。また75歳以上で一定の違反歴のある人は「運転技能検査」も義務づけられており、検査結果が一定の基準に達しないと免許証の更新ができません。
こうした更新時の講習や検査は、運転を安全に続けられるかどうかを判断する目安になるでしょう。
安全に運転を続けるために サポートカー限定免許という選択肢

「無事に免許証の更新ができたけれど運転には少し不安がある」、あるいは「生活のためにはまだ車が必要」という場合、サポートカー限定免許への切り替えという選択肢があります。
サポートカー(通称:サポカー)とは、主に高齢者に多い事故を防止する目的で、衝突被害軽減ブレーキやペダル踏み間違い時加速抑制装置などの先進安全機能を備えた車です。安全装備が搭載されている分、同じ車種より価格が上がりますが、より安心して運転できるかもしれません。
2022年より、このサポカーに限り運転できる「サポートカー限定免許」が導入されました。申請はいつでもできるので、免許証返納の前に検討するのもよいでしょう。対象車両など、詳しい情報は警察庁のウェブサイトで得られます。
*参考:サポートカー限定免許について(警察庁)
また、運転を続ける場合は70歳以上のドライバーが任意で表示する高齢者マーク(高齢運転者標識)を付けて、高齢者による運転であるということを周知しましょう。周囲を走る車は高齢者マークを付けている車に対し、割り込みや幅寄せなどの行為をすることが禁止されています。高齢者マークは、自身や周囲の安全のためにできる対策のひとつです。
免許を返納したら特典がある? 身分証明書はどうなる?
運転免許証の自主返納を考える際、「日々の移動が不便にならないか」「身分証明書がなくなってしまう」などの不安があるかもしれません。そこで、全国の自治体や事業者では、さまざまな免許証返納特典を提供しています。
自治体や事業者によって特典は異なりますが、電車やバス、タクシーの割引・乗車券配布などの移動サポート、買い物代行や銀行の金利優遇、眼鏡や電動車いすなどの購入割引などがあります。
また、居住地の警察署や運転免許試験場などで運転免許証を自主返納する際に、身分証明書として生涯使用可能な「運転経歴証明書」の発行を申請できます。また、令和7年からは、「運転経歴証明書」とマイナンバーカードを一本化することも可能になりました。
ただし、「運転経歴証明書」を申請するには、返納する免許証が有効期間内もしくは失効後5年以内であることが必要です。詳しくはお住まいの自治体にお問い合わせください。
*マイナンバーカードについてはこちらの記事もご覧ください。
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▼マイナンバーカードと保険証が合体 高齢者にとっての利便性は?
高齢になっても安全に運転を続けるには、認知機能をできるだけ低下させず、維持することが大切です。日常生活の中で認知機能を刺激するバラエティに富んだ脳トレが豊富にあります。まずは高齢者向けの取り組みやすいもの、続けやすそうなものから始めてみてはいかがでしょうか。
*認知症予防、脳トレについては、こちらの記事もご覧ください。
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