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ヒートショックの危険性! 高齢者の朝風呂、サウナに要注意

高齢者問題

サウナや朝風呂、高齢者は要注意

近年、ブームになるほど人気のサウナ。愛好家ではなくても、冬には体を温めるためにサウナを利用するという人も多いのではないでしょうか? ただし、高齢者のサウナ利用は体への深刻なダメージを与えるという報告もあり、注意が必要です。

冬はヒートショックの危険性が高まる季節ですが、朝風呂もヒートショックを起こしやすいといわれています。寒い時期は暖かくして過ごしたいものですが、体を温めようとして間違った方法での入浴は大きな健康被害を招きかねません。
高齢者のための安全で健康的な冬の入浴方法について考えます。

サウナ中の救急事故の大半が高齢者!

ここ数年、多くの人がサウナを楽しむ一方でサウナ中に体調が急変し救急搬送されるケースが全国で増加していますが、その多くを高齢者が占めていることがわかりました。

福島県郡山の広域消防組合が管轄地域内でサウナ利用中に救急搬送されたケースをまとめた統計によりますと、2013年から2022年までの10年間でサウナを利用中に101人が体調不良を起こし救急搬送されています。
そのうちの約70%を60歳以上が占めており、サウナ中の救急事故の大半が高齢者であることがわかります。

また、サウナ中の体調不良は深刻な事態につながることが多く、同報告では救急搬送された人の症状として失神・意識障害がおよそ30%と最も多く、次いで熱中症・脱水症が約24%、脳疾患が5%となっています。
意識障害や失神は転倒や水浴中の溺水を招く可能性があるため、非常に危険です。

こうしたサウナ中の急激な体調変化は、温度の高いサウナ室から水風呂や外気に触れる場所への移動により、血圧が乱高下しヒートショックが起きたためと考えられます。
また、高温のサウナ室に長時間いることで熱中症や脱水症を起こすケースもあります。

さらに、この救急搬送された人のうちの半数以上に高血圧や心臓病、糖尿病、動脈硬化症など、高齢者に多くみられる基礎疾患がありました。
これらの持病がある高齢者は特にヒートショックを起こしやすいとされていますが、高齢になると持病のない人でも体温調節機能が低下し、温度変化も感じにくくなるといいます。高齢者は他の世代よりも総じてヒートショックになりやすいのです。

高齢者はサウナを避けるべき? 

こうしたことから、高齢者にとってサウナは健康リスクが高い場所といえますが、サウナを利用できないわけではありません。
100℃近くの高温のサウナは高齢者には体への負担が大きいため、70歳までにサウナを経験していない人は利用を控えた方がよいといわれています。
また、サウナに慣れていても高血圧や心臓病などの持病がある人はかかりつけの医師に相談の上、当日の体調をよく確認し、無理のない範囲で利用するようにしましょう。

高齢者でも楽しめるおすすめのサウナ浴の方法もあります。それは、60℃ほどの低音サウナと呼ばれるサウナ施設の利用です。ただし、高温サウナと同様に無理をせず、適切な方法で利用することが大切です。

高齢者のサウナ利用の注意点として、以下を参考にしてください。
● 持病がある場合は事前に医師に相談しておきましょう
● サウナの前にはコップ2杯分の水分を摂るようにします
● サウナ室入室後、快適に感じるくらいで出ることが大事
● サウナ室を出るときは、ゆっくり立ち上がるようにしましょう
● 気分が悪くなったりのぼせたら、すぐに出ましょう
● サウナ室を出たら、ぬるめのシャワーやかけ湯で徐々に体を冷やします
● 無理に水風呂に入る必要はありません。水風呂に入る場合は16℃以上の浴槽に、心臓より最も遠い足元から少しずつ水をかけて体を慣らしてからゆっくり入り、体が冷える前に上がりましょう
● サウナの後はじゅうぶん水分を摂り、暖かくして少なくとも30分は休憩します

血圧が大きく変動する朝の入浴も危険

ヒートショックのリスクが高いのはサウナだけではありません。朝の入浴も気をつける必要があります。寒い朝にはお風呂に入って体を温めて…と考える人も多いかもしれませんが、実は朝は血圧の変動が大きい時間帯。血圧は寝ている間の早朝から目覚める時間に向かって上昇し、さらに目覚めたばかりでは体温が下がっているため、熱いお湯に触れると急激に血圧が上がってしまう可能性があります。そのため、夜よりも朝の入浴の方がヒートショックのリスクが高く、特に冬の朝風呂は要注意です。

ヒートショックは体が急激な寒暖差を経験することで起こります。ただでさえ血圧が変動しやすい時間帯に、暖かい寝床から冷えた脱衣室を経て熱いお湯につかるといった行動はヒートショックの危険性が非常に高まるため、シャワーだけでも危険なのです。
また、寝起きは体が脱水気味になっているので、そのまま入浴すると脱水症や熱中症になるリスクも伴います。

寒い時期にこれらのリスクを予防し入浴するには、温度差をできるだけ小さくすることがポイントになります。
浴室・脱衣室と他の居室との温度差は5℃以内が目安です。あらかじめ浴室や脱衣室を暖めておき、季節にかかわらずじゅうぶん水分を補給してから入浴するようにしましょう。

寒い時期、暖かく過ごすためにサウナや朝風呂を活用する人が多いと思いますが、サウナや朝風呂には以上のようなリスクがあるため、高齢者は特に気をつけるべきです。

サウナ、朝風呂だけでなく、冬場の入浴にはヒートショックの危険性が伴います。
ヒートショックの原因や予防法などの知識を身につけ、安全に入浴するようにしてください。


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