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マイナンバーカードと保険証が合体 高齢者にとっての利便性は?

高齢者問題

デジタル化推進とマイナンバーカード普及

菅政権が発足して数カ月が経ちました。政権による新型コロナウイルス関連の政策が連日注目されるのは当然のことながら、この他にも目玉として位置づけられている政策があります。それは、社会全体のデジタル化推進です。
その一環として、2022年度以内にすべての国民が取得することを目指し、政府はマイナンバーカードの普及促進を強化しようとしています。このための施策として計画されているのが、健康保険証や運転免許証とマイナンバーカードの一本化です。

厚生労働省では、マイナンバーカードが健康保険証としての使用を2021年3月にスタートさせ、2026年末までには運転免許証と一本化することを発表していますが、これがデジタル化とどう関係するのかピンとこない人もいるかもしれません。
また、マイナンバーカードと健康保険証がひとつになることで、高齢者にとっても何が便利になるのでしょうか? さらに、マイナンバーが漏洩しないのかも気になります。

マイナンバーカードと健康保険証の一本化によって、何がどう変わるのか見ていきましょう。

健康保険証としての利用でこんなことが変わる

マイナンバーカードと保険証の一本化は、生活のいろんな場面における手続きのデジタル化の推進につながります。
現在、医療サービスを利用する場合、月ごとに病院や薬局の窓口で健康保険証を提示し、保険資格のある本人かどうかの確認をするのが一般的です。これが、マイナンバーカードと健康保険証がひとつになれば、次のように変わります。

マイナンバーカードにはICチップが埋め込まれているので、病院などのカードリーダーでマイナンバーカードを読みこませ、カードの顔写真で本人確認をするようになり、保険証による確認の必要がなくなります。
このときに、病院や薬局のスタッフにマイナンバーが知られるのでは、と不安になるかもしれませんが、カードの情報を直接カードリーダーに読み込ませるので、人に見せる必要はありません。

加えて、マイナンバーカードを保険証として使用することで、このようなこともできるようになります。

・健康保険についての変更があっても、そのまま保険証として使える。
通常、就職・転職などで被保険者としての加入資格や加入する健康保健組合が変わったり、国民健康保険の場合は転居により管轄の自治体が変わることでも、健康保険の変更手続きが必要になります。
この場合、新しい健康保険証が手元に届くまでの間に病院など受診すると、その医療費の全額をいったん自費で立て替え、後に還付という流れになっていました。
これが、マイナンバーカードとの一本化で、保険の変更手続きを済ませれば、新しい保険証の発行まで空白期間とならずに医療機関で使用できます。

・マイナポータルで健診や医療費、お薬などの情報がワンストップで見られる。
従来は、健康保健組合や自治体から定期的に医療費の通知が送付されていました。
マイナンバーカードを保険証として使うことで、政府が運営するサービスサイト「マイナポータル」で特定検診や医療費の通知、投薬についての情報をまとめていつでも閲覧できるようになります。

・医療費控除の手続きがシンプルに。
今までは、確定申告で医療費控除を受けるには、年間の医療費を集計した上で申告書に記載する必要がありました。マイナンバーカードの利用により、マイナポータルを介して自動的に入力でき、申告手続きがぐっと簡便になります。

・複数の医療機関・薬局で特定健診やお薬の情報が共有できる。
転院したり、複数の病院にかかっている場合など、患者本人が受診内容を説明したり、お薬手帳を提示するなどしていましたが、マイナンバーカードの保険証利用によって、本人の同意があれば、マイナンバーに健診やお薬の情報をリンクさせて複数の医療機関などで共有でき、効率よく医療の連携ができます。

まずはマイナンバーカード取得とマイナポータルのアカウント開設を

こうしてみると、マイナンバーカードを健康保険証として使うことで、医療サービスに関わるいろんなことが便利になりそうです。
高齢者には、持病などのため通院、それも複数の医療機関に通院している人も多いことから、マイナンバーカードを保険証として使うのは何かとメリットになるのではないでしょうか。高齢者本人はもちろん、その家族にとっても、健診や薬の情報がすぐにわかったり、医療費の集計や控除の申請が簡単になるのはうれしいですね。

ただし、このメリットを得るためには注意点があります。それは、マイナンバーカードをすでに取得していることが大前提で、健康保険証として使うには申請が必須なことです。
その申請はマイナポータルで行いますが、その前にマイナポータルにアカウントを開設する必要があります。
上述のように、マイナポータルは、保険証としてマイナンバーカードを便利に使うためにも欠かせないサイトですが、保険証利用の申請だけではなく、介護などに関する情報を得ることもできます。

マイナンバーカードをまだ持っていないという方は、この機会にカードの取得とマイナポータルのアカウント解説について検討してもいいかもしれません。
また、マイナポータルの一部の機能はマイナンバーカードがなくても使えます。どのようなものか一度のぞいてみるのもいいでしょう。
https://img.myna.go.jp/html/mynaportalsetsumei.html

自分で申請手続きなどがむずかしいという場合は、家族と一緒にこちらのサイトを見ながら、手続きすることをおすすめします。
https://www.cao.go.jp/bangouseido/index.html

またマイナンバーカードと保険証が合体する上で、唯一のデメリットはオンライン資格確認に対応した医療機関(病院や薬局)でしか使えないという点です。
「オンライン資格確認」機能は2021年3月から一部適用開始、2023年3月から全ての医療機関で適用となっています。全国の病院や薬局で使えるようになるのが2023年3月で、町のクリニックや薬局で利用できるのは2023年以降と認識しておきましょう。
一日も早く全国の医療機関で使えるようになってほしいものです。

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