関連ワード

高齢者の熱中症は重症化しやすい!? 謎の発熱、うつ熱に気をつけて

高齢者問題

高齢者と熱中症リスク

気象庁などの予測によると、今年の夏は平年並か、それ以上の暑さになるようです。
暑い季節に向けて熱中症への注意が必要になりますが、特に高齢者は熱中症になりやすく、重症化しやすいといわれています。これは、高齢者は熱中症のリスクが高いということです。
熱中症リスクは本格的に暑くなる前から日常生活の中にひそんでいるため、今からでも対策を心がけたいものです。

また、高齢者の熱中症対策を考えるうえで知っておきたいのが「うつ熱」と呼ばれる熱の症状です。
うつ熱は熱中症の症状になりますが、それ以外の症状がみられないことも多く、原因不明の発熱として対処が遅れると熱中症の重症化につながることもあります。
高齢者の熱中症リスクが高い理由とうつ熱の症状、そして高齢者を熱中症から守るための対策について知っておきましょう。

熱中症はこうして起きる

高齢者の熱中症リスクを考える前に、人が熱中症になるメカニズムについて説明します。
人間の体は持続的に熱をつくり出しています。この働きとともに、暑い環境で体温が上がれば体外に熱を逃し、寒い環境で体温が下がれば体内に熱をとどめるなど、いつも適切な体温に保てるようコントロールする機能があります。
この機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもったままになると熱中症になってしまうのです。

また、脱水も熱中症につながります。
人間の体は暑いと汗を出して上がった体温を下げようとしますが、このとき体内にあった水分や塩分が失われます。たくさん汗をかいたときに水分や塩分を補給しないでいると脱水状態になり、熱中症を引き起こします。

高齢者の熱中症リスクが高いのはなぜ?

高齢者は熱中症になりやすく、重症化しやすいのはどうしてでしょうか? その理由はいくつかあります。

高齢になると暑さを感じにくくなるのに加え、体温を調節する体の機能が低下し、周囲の気温変化に対応しにくくなります。このため、普通は気温が高いと暑いと感じますが、高齢者の場合は暑いことに気づかないまま体温が調節されず、体内に熱がこもったままになってしまうことが多いのです。

また、高齢者は通常、若い頃よりも体内にためておける水分量が少なくなり、のどの渇きもわかりにくくなっています。そのため、水分を摂ることを忘れがちで、脱水状態を起こしやすくなります。

さらに、高齢者は汗をかきにくくなっているので、暑くても汗によって体の中の熱を放出することがむずかしいのです。

加えて、暑さに対し鈍感になっていることから「気候に合わせた服装をしない」「暑さを避けて涼しい場所に移動しない」など、熱中症予防のための行動をとれないことも熱中症リスクを高めています。

こうした要因から高齢者は熱中症になりやすいといえますが、熱中症になっていても気がつかないことも多く、気づいたときにはすでに重症化している可能性が高くなります。

では、熱中症が重症化するとどのような症状があらわれるのでしょうか?
熱中症の重症度は次の3つの段階に大別されます(Ⅰ→Ⅲにいくほど重症)。

Ⅰ)めまい、立ちくらみ、足がつる、腹部の筋肉のけいれん
Ⅱ)頭痛、吐き気・おう吐、脱力感
Ⅲ)意識障害、全身のけいれん、全身の高体温

*重症度別の対処についてはこちらの記事をご覧ください
https://www.imairumo.com/anpi/article/20180730b.html

かくれた熱中症? 高齢者が注意するべきうつ熱とは

高齢者が注意するべきなのが「うつ熱」です。うつ熱は体の放熱機能が働かなくなり体の中に熱がこもり体温が上がった状態で、高齢者に起こりやすいとされています。
夏風邪と似ているものの、せき・鼻水などの症状はありません。
また、熱以外の症状がないことも多く、微熱程度の熱が数日以上続くこともありますが、突然、重症の熱中症に移行したり、頭痛や筋肉のけいれんなどの症状をともなう場合は熱中症の?の重症度にあたるなど、実は非常に危険な症状です。

うつ熱は気温の高い環境にいることで起こります。
高齢者は本来、体温調節の働きが低下していることからうつ熱になりやすいのですが、気温の高い日でも室内でクーラーやエアコンを使わない、水分をじゅうぶんに摂らない、厚着でいるといった日常的な行動もうつ熱を引き起こす要因になります。
また、これらの行動が他の世代よりも高齢者にうつ熱が多い理由なので、高齢者はうつ熱に注意してください。
うつ熱はかくれた熱中症ともいえます。しっかりと予防したいものです。

うつ熱と熱中症予防のポイントは

うつ熱と熱中症の予防法は同じです。高齢者の場合、日ごろから体温調節を意識することが重要で、2つの大きなポイントがあります。

・脱水を防ぐ:こまめな水分補給が基本です。のどが渇いていなくても、定期的に水分を摂ることを習慣づけましょう。
また、汗を多くかく環境では、経口補水液やスポーツドリンクで塩分も補給するようにします。

・体温の上昇を防ぐ:住居内の環境は夜間も含め、室温28度以下/湿度70%以下に保ちます。衣類は通気性のよいものを着るようにしましょう。

熱中症発症のメカニズムと高齢者の身体機能の特徴を知ると、高齢者の熱中症リスクが高い理由がわかります。
熱中症は適切に対策すれば予防することができます。
そのためには、高齢者の身体機能と行動パターンに配慮した対策を、普段の生活の中で習慣化することが大切です。


▼熱中症が原因? 白内障リスクが4倍に? 高齢者のセンサーで見守りを
▼えっ、こんな意外な原因も? 一人暮らしの高齢者こそ熱中症にご用心!
▼高齢者は特に注意が必要! 熱中症かなと思ったら、何をするべき?
▼高齢者の熱中症対策、「かくれ脱水」に要注意!
▼高齢者安否確認に欠かせない熱中症対策 センサー見守りでさらに安心
▼熱中症の季節到来! 高齢者の一人暮らしに限界?
▼コロナと熱中症! 初期症状が似ているってホント?
▼ウィズコロナの時代に始まった熱中症警戒アラートとは
▼コロナ禍での災害から高齢者を守る 避難時も感染対策と熱中症対策を
▼気候変動による猛暑が続く!体感温度と室温の違い!熱中症を防ごう
▼高齢者の熱中症は重症化しやすい!? 謎の発熱、うつ熱に気をつけて

その他のおすすめ記事

  • 気候変動による猛暑が続く! 体感温度と室温の違いを知って熱中症を防ごう

  • コロナ禍での災害から高齢者を守る 避難時も感染対策と熱中症対策を忘れずに

    コロナ禍での災害から高齢者を守る 避難時も感染対策と熱中症対策を忘れずに

見守り支援システム「いまイルモ」

キーワード