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高齢者の一人暮らしへの自治体の支援、どんなものがある?

高齢者施設

高齢者の一人暮らしで大切なことは

少子高齢化と長寿化が進むなか、一人暮らしの高齢者が多くなりました。しっかりと自立して元気に暮らしている高齢者が多い一方で、健康面など不安を抱えながら一人で暮らしている方もいます。いまは元気でも、年をとればとるほど体力は衰えていくので、何かと不安要素は増えていきます。また、離れて暮らす家族の立場から、高齢の家族の生活ぶりを不安に感じている方もいるでしょう。

高齢になっても健康で安全に一人暮らしを続けていくには、周囲からの何らかの配慮や支援が必要です。現在、介護保険によるサービスに加え、多くの自治体では一人暮らしの高齢者への支援を提供しています。

自治体の支援、どんな配慮があればいい?

自治体のそうした支援を利用したい場合は、高齢者本人や家族が本人の住む市区町村の窓口に相談するのが基本です。その前に、一人暮らしの本人にとって、どのような配慮や支援が必要か、またあった方がいいかを知っておきましょう。高齢者が無事に一人暮らしをしていくために注意したいことは次の通りです。

・人とのつながりを保ち、つねに安否確認ができるようにしておく
家族と連絡を取る、近所の人とあいさつを交わす、定期的に出かける場所をつくるなど、つねに誰かとコミュニケーションを取ることは「生きがい」といった意味でも大切なことです。また、緊急時にすぐ連絡が取れるよう、見守りや安否確認の体制づくりもしておきましょう。

・食事をきちんと取り、健康を保つ
低栄養による体力低下や病気を防ぐため、毎日3食バランスよい食事が欠かせません。また、食事中の窒息などの事故を防ぐための工夫やそうした事故の早期発見、実際に毎日きちんと食事をしているかの確認も大切です。

・転倒によるケガを防ぐ
高齢者になると、転倒がきっかけで骨折など大けがになることが多く、回復に時間がかかりますし、そのまま寝たきりになることもあります。そのため、転倒を防ぐことと、万一転倒事故があったときは早期にかけつけ対応することが重要です。事故に備えた緊急通報システムの設置、必要に応じてバリアフリーリフォームや杖などの使用を検討します。

自治体支援の最も大事なポイントはやはり「安否確認」

こうしてみると、高齢者への配慮や支援について具体的なポイントがわかります。高齢者が安心して一人暮らしをしていくためには、前述のこれらの3つのポイントを抑えておくことが大切です。

その中でも、自治体が最も大事な支援として考えているのはやはり1つめの「安否確認」ではないでしょうか。全国のほとんどの市区町村で行われているのが、「人とのつながり(見守り・安否確認)」を保つためのサービスです。このサービスの内容は、電話を利用したものや緊急通報装置の設置、委託業者による見守りなど、自治体により異なりますが、IT技術も積極的に取り入れるなど、各地でさまざまな創意工夫がされています。

例えば、2つめの「きちんとした食事」に関しても、高齢者向けの食事の宅配サービスも多くの自治体で行われていますが、同時に安否確認の手段としても活用されています。

さらに、3つめのポイントである「転倒によるケガの防止、早期の発見」では、転倒事故を早期発見するには、見守りや安否確認がカギになることはいうまでもありません。手すりの設置や段差をなくすなどのバリアフリーリフォームや福祉用具、補助具の活用といった「転倒事故防止策」も介護保険サービスに加えて自治体の支援がありますが、いざというときに重要なのが、事故の早期発見につながる日常的な見守りです。安否確認サービスは一人暮らし高齢者の支援の最も基本的なポイントといえます。

自治体の安否確認サービスの事例

ここで、実際の事例をご紹介しましょう。

北海道亀田郡七飯町では、行政と近隣住民による協力員が連携して一人暮らしの高齢者を見守るコミュニティづくりを目指し「独居老人等見守り支援事業」を行っています。この事業では、見守り支援システムとしてIT技術を組み込んだ複合センサー「いまイルモ」が導入されています。

「いまイルモ」を高齢者の自宅に設置し、日常の行動や状況をモニタリングし、そのデータを家族や近隣住民、町の職員が見守ります。何か異変があれば、誰かがすぐにかけつけることが可能です。また、「いまイルモ」は現在の状況を観察するだけではなく、そのセンサー履歴のデータをグラフ化して見ることもできるので、生活習慣の見直しや病気予防にも役立ちます。

一人暮らし高齢者の見守りの強い味方といえる「いまイルモ」ですが、他にも多くの自治体で導入されています。例えば、高齢者の通院が困難な中山間地域の愛知県・足助地区では、「いまイルモ」の見守りデータを地域の拠点病院と共有し、高齢者の健康を守ることにも活用しています。
見守り支援ロボット いまイルモPaPeRo i とは

「一人暮らし」に限定されない自治体の支援

高齢者本人の住む自治体にこうした見守りや安否確認サービスがあれば、ぜひ利用したいものですね。ただし、支援の内容や利用できる要件などは自治体によって異なります。加えて、高齢者の個別の状態に合わせて、介護保険によるものなど、他のサービスと組み合わせた方が良いケースも少なくありません。

したがって、自治体の支援やサービスを探す場合は、「一人暮らし高齢者」に限定したものだけではなく、高齢者全般に向けたものを幅広く知ることが大切です。詳しくは、役所の福祉関連窓口や地域包括支援センターに相談しましょう。

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