睡眠障害とは? 高齢者に多い睡眠トラブルと快眠のためのヒント
高齢者一人暮らし
現代は不眠に悩む高齢者がひときわ多い?
現代の日本では睡眠障害を抱える人が増加傾向にあります。睡眠障害とは良質な睡眠を取りにくくなった状態のことで、不眠症はその代表格です。特に高齢者には不眠に悩む人が多いといわれています。
不眠症には寝つきが悪い、睡眠の途中で目が覚めるといった症状がみられますが、こうした症状があるからといって必ずしも不眠症というわけではありません。症状によって集中力が低下したり日中の活動に支障をきたすなど、日常生活に影響が出て初めて不眠症と診断されます。
不眠で睡眠不足が続くと免疫力の低下や代謝異常など健康に悪影響をおよぼす可能性があるため、快眠を得られるよう対策を講じることが重要です。そこで今回は、高齢者に多い睡眠障害「不眠症」の症状と原因を解説し、快適に眠るためのヒントをお伝えします。
代表的な睡眠障害「不眠症」 高齢者に多い症状は?
睡眠障害の代表格とされる不眠症の症状は主に次の4タイプに分けられ、それぞれ違った形で睡眠の質や日常生活に影響をおよぼします。
●入眠障害
寝つきが悪く、ベッドに入ってから眠りにつくまでに時間がかかる。30分から1時間以上寝つけないことが多い。
●中途覚醒
夜中に何度も目が覚めてしまい、その後なかなか寝つけない。睡眠がこま切れになって疲労感が残りやすい。
●早朝覚醒
予定よりも早く目が覚め、その後再び眠ることができないため、じゅうぶんな睡眠時間が確保できず日中に眠気や疲労を感じる。
●熟眠障害
長時間寝たはずなのに、眠りが浅いためじゅうぶんに休めた気がしない。朝起きたときに疲労感が残っており、日中の活動に支障が出る。
上記のいずれかひとつの症状だけが出ることもあれば、複数の症状が同時にあらわれることもあり、また中途覚醒と早朝覚醒は高齢者によくみられる症状です。不眠が続くと日中の活動や健康に悪影響がおよぶため、早めの対策が必要です。
高齢者の不眠の原因と共通する特徴とは
では、不眠はどのような要因によって起こるのでしょうか? 高齢者の不眠の場合、まずあげられるのが日中の活動量の減少ですが、それ以外にも次のようなさまざまな要因があると考えられます。
・体内時計の変化
体内時計は生物時計とも呼ばれ、生物の体内に備わっているとされる時間を認識するメカニズムです。加齢にともなって体内時計が変化すると、早朝覚醒が多くなります。就寝時間も早くなって若いころとは異なる生活リズムになり、加えて眠りが浅くなるため、睡眠の質が変化することがあるのです。
・睡眠の構造的変化
人間の睡眠にはノンレム睡眠とレム睡眠があり、ノンレム睡眠は深いノンレム睡眠と浅いノンレム睡眠に分けられますが、高齢になると深いノンレム睡眠が減少して浅いノンレム睡眠が増加します。全体として見ると眠りが浅くなるため、高齢者は夜中に目が覚めることが多いのです。
・心身の健康トラブル
高齢者には体の痛みや頻尿、呼吸困難などの問題を抱えている人が多く、それが安眠を妨げることがあります。うつ病などの精神疾患、認知症やパーキンソン病などの神経疾患、ストレスや不安も睡眠に影響をおよぼします。
・病気の治療薬の影響
高齢になると複数の薬を服用するようになる人が多く、降圧薬やインターフェロンなどの薬が睡眠に影響し、眠りが浅くなったり夜間に目が覚めやすくなったりします。
このように不眠の原因はさまざまですが、高齢者の不眠に共通してみられるのが「眠れないことへの焦りや不安」です。加齢とともに睡眠時間が短くなるのは自然な現象なのですが、昔と同じように眠れないことに不安を感じたりイライラして神経が高ぶり、よけいに眠れなくなるという悪循環におちいってしまうのです。
リラックスすることと生活習慣の見直しが大事
ストレスやイライラがあると寝つきが悪くなるため、スムーズに眠りに入るには心を落ち着かせることが重要です。ベッドに入っても心配事が頭から離れないときには腹式呼吸がおすすめです。鼻からゆっくりと深く息を吸ってお腹をふくらませ、口をすぼめてゆっくりと少しずつ吐き出してお腹をへこませるという腹式呼吸を繰り返し行うと、心身ともにリラックスできます。また、ほかにも自分なりにリラックスできる方法を工夫してみるとよいでしょう。
さらに、快眠のためには生活リズムを整えることも大切です。以下のヒントを参考に、夜間にぐっすり眠れるよう日ごろの行動を見直してみてはいかがでしょうか。
・朝、起きたら太陽の光を浴びる
体内時計が日光によってリセットされ、夜になると眠くなるよう調整されます。
・夕方以降は激しい運動をしない
日中の適度な運動は快眠につながりますが、激しい運動は体を興奮させるため夕方までに切り上げましょう。
・昼寝は20〜30分、長くても1時間以内に
昼寝は心身をリフレッシュさせますが、日中1時間以上眠ると夜間に深い睡眠を得られにくくなる可能性があります。
・就寝前にはカフェインをとらない
カフェインには覚醒作用があるため、寝る前にコーヒー、緑茶などを飲むと寝つきが悪くなり、睡眠の質低下につながります。
・夜はたばこを吸わない
たばこに含まれるニコチンにも覚醒作用があるため、寝る前の喫煙は快眠を妨げる可能性があります。
こうした何げない行動が眠りに与える影響について意識できるようになれば、快眠につながる生活習慣が身につくでしょう。一方で、生活リズムを見直してもどうしても眠れない方、不眠を引き起こす病気が疑われる場合は早めに医療機関を受診されるようおすすめします。
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