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難聴で認知症リスクが増大? 加齢性難聴に要注意! 耳年齢をチェックしよう

高齢者問題

耳が聞こえにくいと感じたら、対策が必要

年齢とともに、多少なりとも耳が聞こえづらくなったと感じることがあれば、それは加齢性難聴かもしれません。加齢性難聴は認知症の入り口ともいわれています。耳の聞こえにくさを単に歳のせいとして放置したままでいると、認知症になってしまう恐れがあります。

加齢性難聴は誰でもなる可能性があり、統計データによると、65歳以上の3割以上、75歳以上の7割以上が該当します。非常に多くの高齢者が加齢性難聴を抱えていることになりますが、適切に対策すれば、日常生活での不便さを解消でき認知症予防にもなります。加齢性難聴とはどのようなものか、対策とセルフチェックの方法、予防策などについてお知らせします。

加齢性難聴とは? 耳の仕組みと難聴になる原因

加齢性難聴とは、加齢によって起きる難聴のことです。加齢以外に原因が認められないものをいい、通常、50歳ごろから高い音が聞こえにくくなり始めます。また、両方の耳が同時に聞こえにくくなっていくのも加齢性難聴の特徴です。

ここで、耳の仕組みと加齢によって難聴が起きるメカニズムを説明しておきましょう。耳は外側から、外耳・中耳・内耳といった構造になっており、外耳から入ってきた音は中耳の鼓膜を通して内耳の蝸牛(かぎゅう)という器官に伝わります。蝸牛には、有毛細胞と呼ばれる細かい毛を持つ細胞があり、鼓膜に伝わる音の振動を捉えて電気信号に変換し脳へ送る働きをしています。

この仕組みにより音を聞きとれるわけですが、歳をとることで有毛細胞は壊れて減っていきます。このダメージのために、音が聞こえにくくなるのが加齢性難聴のメカニズムです。残念ながら、このようにして一度損なわれた有毛細胞を元に戻すことはできません。つまり、いったん失われた聴力を取り戻すことはできないのです。

加齢性難聴は認知症の入り口?

加齢性難聴があると認知症になりやすいのはどうしてでしょうか? 難聴になると、脳に入ってくる情報量や音の刺激がどうしても少なくなってしまいます。そのような状態が続くと、脳の神経細胞が衰えたり、脳自体が萎縮するなど、認知症の発症をうながしてしまうことが、最近の研究でわかってきました。

また、軽い難聴でも人の言葉がうまく聞き取れないことがあれば、スムーズに会話できず、家族や友人とのコミュニケーションを避けるようになってしまう人もいるでしょう。こうした状況はうつや社会的孤立につながることがあり、これらも認知症発症の要因になります。

受診の目安についてのポイントは

認知症を招く以前に、難聴があると日常生活において何かと不便ですし、危険をともなうこともあります。また、家族や友人とのコミュニケーションもじゅうぶん楽しめません。認知症予防の観点からも、加齢性難聴には早めに気づき対策することが何よりも大切です。

加齢性難聴の根本的な治療法はなく、失われた聴力は取り戻せませんが、耳鼻咽喉科を受診の上で医師の指導のもと、自分にあった補聴器を使うことが有効な対策になります。その場合、補聴器相談医のいる医療機関にかかるようにし、補聴器は認定補聴器技能者のいる販売店で購入するようにしましょう。通常、補聴器相談医のいる医療機関は補聴器販売店と連携しています。

したがって、まず、耳の聞こえについて違和感があれば、耳鼻科に受診することが必要です。受診の目安になるセルフチェック項目をあげておきますので、参考にしてください。

<加齢性難聴セルフチェック項目>
1)人との会話中に何回も聞き返す
2)家族などにテレビやラジオの音のボリュームが大きいといわれる
3)病院、銀行などでの名前の呼び出しを聞きのがす
4)近くで鳴っている電話の呼出音に気づかない

以上の項目のうち、1)は正常の範囲内ですが、2)は軽度の難聴、3)は中等度の難聴、4)は高度の難聴 が疑われます。3)、4)に加え、軽度の難聴であっても日常生活で不便なことがあれば、耳鼻咽喉科への受診をおすすめします。

また、最近は、スマホやタブレットなどで実際に音を聞いて、自分の聴力がどの年代にあたるか耳年齢をチェックできるアプリやサービスが提供されています。ただし、これらのアプリやサービスは正確な診断をするためのものではありません。参考程度に利用するようにし、聞こえづらいと感じることがあれば、耳鼻咽喉科の医師に相談するようにしてください。

加齢性難聴は予防できる? 生活習慣病がカギ

加齢性難聴の原因は加齢以外にないとされていますが、実は、悪化させる要因がいくつかあります。それは、意外かもしれませんが、高血圧や糖尿病、高脂血症、動脈硬化といった生活習慣病です。また、喫煙、アルコールの飲み過ぎ、騒音なども加齢性難聴を悪化させることがわかっています。さらに、騒音によるストレスは正常な細胞にダメージを与え、難聴を進めてしまうといわれています。

これらの悪化要因を取り除くようにすれば、加齢性難聴を予防できます。喫煙や過度な飲酒は生活習慣病の原因にもなることから、生活習慣病にならないようにすることが加齢性難聴、ひいては認知症の予防になるのです。生活習慣病予防を念頭に、健康的な生活と騒音の少ない環境づくりが大切です。

少しずつ難聴が進んでいくと、自分では聴力の低下に気づきにくい場合があります。ふだんから健康的な生活スタイルを維持しながら、定期的に耳年齢チェックをするなど、加齢性難聴の予防と早めの対策を心がけていきましょう。


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