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スマホ認知症とは? デジタルデトックスのすすめ 高齢者の認知症の入口に?

認知症見守り

高齢者にも普及が進むスマホで認知症に?

誰もがスマートフォンを持つようになったといわれるこの時代、高齢者も例外ではありません。高齢世代への普及率をみると、60歳代は91%、70歳代は70%と実に目覚ましいものがあります。パソコンをはじめとするIT機器に苦手意識を持つ高齢者は多いものの、スマホは高齢者向けの操作しやすい機種も登場しています。パソコンに比べると意外と手軽に操作でき、いったん使い方を覚えてしまえばなんでも調べることができるので、いろんな情報を得られる便利なスマホを手離せなくなったという人が少なくないと思われます。若年世代以上にスマホにのめり込む高齢者も多いようです。

一方で、スマホを長時間使い続けることにより、認知症によく似た症状が起きる「スマホ認知症」が問題になっています。昨今はコロナによる外出制限などもあり、閉じこもってスマホをする時間が増えがちです。特に一人暮らしで近隣に知り合いも少ないという高齢者の場合、誰かに注意されることもなく何時間でもスマホを使い続けることができてしまうため、スマホ認知症になる危険性が高まります。
スマホ認知症は本格的な認知症に進む可能性もあり、特に高齢者は注意が必要です。
スマホ認知症とはどのようなものか、また、その危険性と対策について解説します。

スマホ認知症の原因と症状は

スマホ認知症は長時間スマホを使用することにより、認知症のような症状があらわれる状態のことをいいます。その原因として考えられるのが、スマホから得る過剰な量の情報です。処理できる限度を超えた量の情報が脳に日々取り込まれると、脳は容量オーバーとなり疲れてしまいます。

人の脳の働きは取り入れた情報を処理し、アウトプットするまでがひとつのサイクルになっていますが、「なんとなく」ネット上のニュースや映像を見ているつもりでも、脳はそれらを情報として処理するために活発に稼働しているのです。「特に考えずに」「なんとなく」取り入れた情報はアウトプットされないまま、「情報のゴミ」として蓄積されます。脳の容量を超えて情報のゴミが溜まり続けると脳の疲労が深刻化して、脳の中がゴミ屋敷のようになることで、脳の機能が低下してしまうのです。

脳が情報でパンクしてしまい機能が低下すると、認知症とよく似た症状を引き起こします。新しいことを記憶するのがむずかしい、人の名前などを思い出せないといった記憶力の低下、集中力・注意力の低下、言語障害などです。

こうしたスマホ認知症の症状は一過性のもので、脳を休ませれば回復することが多いとされていますが、脳疲労は脳の老化を早めて認知症の原因になることもあり得るので放置するのは危険です。

スマホの光、ブルーライトが症状を加速させる?

加えて、ブルーライトと呼ばれるスマホのディスプレイの光による健康への影響も問題視されています。ブルーライトは疲れ目のさまざまな症状を引き起こすことが考えられており、長時間見続けると失明にもつながる網膜の黄斑変性の原因になることも懸念されています。

さらに、寝る前にブルーライトを見続けるとホルモンの一種メラトニンの分泌量が減少するといわれています。メラトニンは睡眠を促すホルモンで、その分泌量が減るとなかなか寝つけない、就寝中に何度も目が覚めるなど、睡眠の質が悪くなってしまいます。睡眠の質の低下は起きているときの脳機能の低下を招くので、スマホ認知症の症状をより悪化させることになります。

あなたは大丈夫? スマホ認知症のチェックを

スマホは「ただ、なんとなく」見ているつもりでも、意外と長い時間が経っていたりするものです。簡易的なチェックリストを紹介しますので、自身がスマホ認知症になっていないかチェックしてみましょう。

普段の生活習慣から、最近思い当たる症状まで含まれていますが、当てはまる項目が多いほどスマホ認知症になる可能性、および症状が出始めているの可能性が高くなります。

<スマホ認知症チェックリスト>

【生活習慣】
・ふだんから寝る直前までスマホを使っている
・ふだんトイレにもスマホを持ちこみ、使っている
・友人や家族と外出していてもスマホを使う時間が増えた

【思い当たる症状】
・以前、書けていた漢字が書けなくなった
・最近、なにかと物忘れが多くなった
・これまでよりも仕事や家事の段取り・手際が悪くなった

デジタルデトックスを取り入れよう

生活する上でスマホが欠かせなくなってきた現代では、ふだんからスマホ認知症の予防を心がけることが大切です。その対策として、日ごろから以下のようなことを心がけましょう。

・自分でスマホを使用する時間を制限する
・わからないことがあってもすぐにスマホで検索するのではなく、自分で考えてみる
・人と直接話す機会を増やす
・休息時間を取りしっかり脳と目を休ませる

また、使用時間の制限と休息時間の応用として、おすすめしたいのがデジタルデトックスです。デジタルデトックスとは、スマホなどのIT機器に触れない日や時間を持つこと。あえて電波の届かない自然豊かな土地でキャンプしたり、IT機器の電源を切ってホテルで過ごすといった人もいますが、徹底的にデジタルから隔離するのではなく、できる範囲でいつもの生活に取り入れればいいのです。例えば、夕食後から寝るまでの時間はスマホを使わないようにするといったことでもかまいません。

スマホを使用する限り、誰にでもスマホ認知症のリスクがあります。スマホ認知症の予防はスマホに触れる時間を少しでも減らすことが基本です。

日々の生活にデジタルデトックスを取り入れて、上手にスマホと付き合っていきましょう。


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