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急増する「名義貸し」! 年末年始の帰省で教えたい、高齢者向け詐欺の新手口

高齢者問題

高齢者がターゲット? 巧妙化、悪質化する特殊詐欺

警察庁によると、コロナ禍を経た2020年以降、特殊詐欺の被害件数の増加が続いています。全国の被害総額もここのところ減少傾向にあったものの、2022年には8年ぶりに増加に転じ、高額で悪質な詐欺事件に対してさらなる警戒が必要です。詐欺の手口は年々、巧妙化、悪質化しています。だまされていると気づかないままお金を払い続け、多額のお金がなくなってから詐欺と発覚するといったケースも少なくありません。

最近では高齢者をターゲットにした、いわゆる「名義貸し」詐欺が全国で多発しており、自治体や警察が高齢者やその家族に向け警戒するよう呼びかけています。高齢の家族を詐欺被害から守るために、最新の特殊詐欺の手口と被害を防ぐための対策を知っておきましょう。

こんなに悪質で巧妙! 名義貸し詐欺の手口とは

名義貸し詐欺とはどのようなものでしょうか? これは、老人ホーム事業者や証券会社などをよそおって高齢者に接触し、現金をだまし取る詐欺の手口です。この犯罪はグループによるものと考えられ、犯人の接触は一度だけはなく、役割の違うメンバーが数回接触してきます。その詳しい手口の具体例について、犯罪が行われる流れに沿って説明します。

・老人ホーム事業者や証券会社などをよそおって電話がかかってきます。その話の内容は、例えば「近隣に新しくできる老人ホームの入居権があなたにあるので、入居しませんか?」、「あなたの地域限定で、◯◯の株が購入できるので、購入しませんか?」といったもの。これは、断られることを想定したものです。

・話を聞いた高齢者が「結構です」「いらない」と断ると、犯人は「迷惑はかけないので、人助けだと思って、あなたの名義(権利)を必要としている人に貸して(ゆずって)もらえませんか?」などときいてきます。相手の善意につけ込み承諾させようとする手口です。これに対し、「いいですよ」と同意すると…

・後日、弁護士や司法書士を名乗る者から電話があり、「あなたは名義を貸しましたね。名義貸しは犯罪ですから、警察に逮捕されますよ! 逮捕されると家族にも迷惑がかかるでしょう」などと不安をあおってきます。
高齢者本人にとっては困惑するばかりですが、「犯罪」や「逮捕」、「家族」といったキーワードを使ってあおられることにより、後ろめたい気持ちになり不安感がいっそう大きくなります。

・不安で混乱している高齢者相手に犯人は「解決金として◯◯◯万円払えば逮捕されずに済むので、宅配便でお金を送ってください」と解決策を示してきます。(そもそも宅配便で現金を送ることはできません。
また、現金を振り込ませるケースもあります。)このとき「誰にも相談しないように」と指示されることも多いようです。「家族に迷惑をかけられないし、お金を払えば解決できるのなら」という心理を悪用し、誰にも相談させないようにして、お金をだまし取ります。

被害額も高額! 悪質な詐欺の被害にあわないために

このように名義貸し詐欺は、時間をかけて言葉たくみに、当初は人の親切心につけ込み、やってもいない犯罪で逮捕されるといった不安や恐怖心をあおり、その「不安」の解消のために現金を払わせようとしてきます。
非常に巧妙で卑劣な手口ですが、多くの場合、被害額も数百万円から数千万円とかなりの高額にのぼっています。

上記はあくまでも一例で、なかには「名義貸しの犯罪のために、あなたの全財産が国に差し押さえられる。
その前にこちらの弁護士に預けるように」とし、何回にもわたって犯人に送金し、老後の蓄えをすべて失ったという被害者もいます。

こうした被害にあわないための基本の対策はこちらです。
・知らない番号(人)からの電話には出ない
・不審な電話に出てしまったら、誰かに相談する
・固定電話には留守番電話の機能をつけて、つねに留守の設定にしておき、かかってきた電話は相手を確認してから取る
・固定電話に録音機能をつける

高齢者が相談しやすい環境づくりが大切

特殊詐欺の犯人は手を変え品を変え、巧妙な手口で高齢者をだまそうとしてきます。その被害を防ぐためには基本の対策に加え、最新の手口を知っておくことと、周囲の人や警察への相談が重要になります。

とはいえ、詐欺のターゲットとなっている高齢者本人が「なんだか怪しい」「詐欺かも?」と感じていても、犯罪だと脅されていたり、家族に迷惑をかけたくないといった思いから、周囲に相談しづらいというケースも少なくありません。
誰にも相談しないまま、犯人にいわれる通りお金を払い続け、結果として被害がエスカレートしてしまうこともありえます。

また、いったんは減少傾向にあった特殊詐欺被害の件数が近年再上昇している背景として、コロナ禍の間の外出や会合の制限から、相談の機会も減っていたことが考えられます。

高齢者の詐欺被害を防ぐには、家族と相談しやすい関係性や環境をつくっておくことが大切です。
また、万一、家族が被害にあっても、本人を責めてはいけません。高齢の家族と同居している人は日頃から、離れて暮らしている人は帰省の際などに、最新の詐欺の手口や対策、警察・役所などの相談窓口について話しておきましょう。

家族が集まる年末年始は、お互いが安全に安心して暮らしていくための情報を家族で共有するよい機会です。
不審な電話に出てしまったり、詐欺や悪質商法の疑いがあるなど、警察に相談したい場合の専用の電話番号「#9110」があります。
高齢の家族にはぜひ知らせておきましょう。


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