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高齢者の安否確認をさりげなく 宅配業者と自治体がコラボレーション

高齢者施設

だれが高齢者世帯を見守る?

5人に1人が65歳以上という超高齢社会となった日本。近年の国の統計によると、世帯数で見ても高齢者だけの世帯が半数以上を占め、そのうちの約3割が一人暮らしとなっています。若い世代のいる世帯よりも高齢の夫婦か独居の世帯の方が上回り、多くの人が年老いた親や親族と離れて暮らしていることになります。

離れて暮らす子供の立場からすると、高齢者だけの暮らしは何かと心配ですね。一方で、年をとっても住み慣れた家や地域で暮らしたいと思う人も少なくないでしょう。住み慣れた土地で高齢者が自立して暮らし続けるには、周囲からの見守りと安否確認が欠かせません。

かつては、そうした見守りは隣近所といった地域のつきあいに含まれていました。しかしながら、都市化や急激な高齢化によって地域や親族間のコミュニティが希薄になり、そんな支え合いの力は弱まりつつあります。

いまでは、見守り活動は医療や介護などと並ぶ地域包括ケアシステムの1つとして、国や地方自治体といった行政の役割であり、課題となっています。とはいえ、自治体の限られた人数の職員だけですべての高齢者世帯の見守りを行うのは、非常にむずかしいものです。

そこで、近年、各地で進められている取り組みが、宅配などの民間事業者と自治体のコラボレーションによる見守り活動です。

地域の中の見守り活動とは

ここで、地域の中で行われる見守り活動について知っておきましょう。地域の見守りは、行う人や内容により、大きく次の3つに分けられます。

・ゆるやかな見守り:地域の日常生活や業務の中で、地域住民や民間業者がふだんと違ったり、おかしいと感じる人について、専門の相談窓口などに相談する。

・担当による見守り:民生委員や住民ボランティアなど担当を決めて、定期的な安否確認が必要な人に対して行う見守り活動。

・専門的な見守り:認知症などの特別なケースについて、地域包括支援センターなどの専門機関の専門的な知識や技術のある職員が行う見守り。

こうしてみると、3段階による見守りシステムになっていることが分かります。このうち、最初の段階である「ゆるやかな見守り」として、自治体と民間の事業者が提携して行う取り組みが広がりつつあります。

ゆるやかな見守りを買い物支援とセットで

では、実際にどのような取り組みが行われているのでしょうか。

一般家庭向けに全国展開する物流大手のヤマト運輸は各地の自治体と協定を結び、自社の機能を活かして、地域ごとの特性や実情に合わせた見守り活動に取り組んでいます。その活動が行われている多くの自治体では、買い物支援が見守りとセットになっています。

買い物が困難な人への支援も高齢社会では、取り組みが必要な課題です。

人口減少が著しい地方では、商業施設の閉鎖や公共交通機関の廃線が相次いでいます。都市部でも体が弱かったり、足が不自由だったり、で買い物に行けないという高齢者はたくさんいます。

そこで、ヤマト運輸では、地元の商店と連携し、高齢者が注文した商品を配達するサービスを複数の自治体で行っています。商品を届けたときに、セールスドライバーが高齢者の様子を確認し、異変があれば関係行政機関に連絡します。

ヤマト運輸が各地で行うこうした見守り活動のなかでも、特に先進的といえるのが北海道幌加内町の事例でしょう。幌加内町では見守り対象となる65歳以上の世帯に商品カタログと情報端末が配布されています。端末に入力すれば商品を注文することができ、次の日の夕方に届けられます。

これだけでも便利なシステムと思えますが、さらに、この端末には人感センサーが内蔵されています。センサーがとらえた高齢者の動きを町役場などのパソコンでチェックできるシステムとなっているのです。

この事例は、従来からある宅配業務の人的なノウハウと先進的なIT技術の組み合わせです。セールスドライバーによって対面で見守りの対象者の人柄やふだんの様子などを知ることにプラスして、日常的な安否確認をセンサーが静かに行うといった、さりげないながらも手厚いものです。今後、同様のシステムを取り入れる自治体や業者が増えていきそうですね。

さりげない見守りの大切さ

ここまでハイテクなものでなくても、大手から地元密着の中小規模までのさまざまな宅配や小売りの業者が各地で買い物支援を兼ねたゆるやかな見守り活動を行っています。また、ほとんどの自治体が複数の業者とコラボしています。

ゆるやかな見守りとは、具体的には、「何かおかしい」「ふだんと違う」といったポイントに注意し、見つけた場合は専門機関へ通報や連絡をする活動です。見守りの対象者を特定するものではないのですが、定期的な安否確認が必要とまではいかない人に対しても有効です。

これは、さりげない見守りといえます。

さりげない活動ですが、大きな事故や危険を防ぐためには、地域の中で日常的に活動している人が持つ違和感の段階でリスクの芽を摘んでおくことはとても大切です。さらに、見守りをする「目」がたくさんあればあるほど、高齢者も家族も安心できます。

離れて暮らす高齢の家族が心配な場合は、まずは、行政によるどのような見守りシステムがあるのか知っておくことをおすすめします。見守りについての情報は見守ってほしい高齢者が暮らす地元の地域包括支援センターや役所の福祉課などの窓口で得ることができます。



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