小規模多機能型居宅介護とはどんなもの? 介護報酬改定の影響は?
高齢者施設
地域や自宅で暮らし続けるための介護サービスとは
自分に介護が必要となったとき、いつまでも住み慣れた自宅や地域で暮らしたいと願う高齢者は多いのではないでしょうか。それを実現するには「訪問介護」をはじめ「デイサービス(通所介護)」「ショートステイ(宿泊介護)」といったそれぞれの介護保険サービスを、要介護度に応じながら組み合わせて利用することになります。これら3つのサービスを一括して同一の事業者から受けられるのが「小規模多機能型居宅介護」です。
そこで今回は、小規模多機能型居宅介護の利用にあたっての要件や、2024年の介護報酬改定による影響などについて解説します。
地域密着型の介護サービス、小規模多機能型居宅介護
小規模多機能型居宅介護は「小規模多機能」とも呼ばれ、2006年にスタートした比較的新しい介護保険サービスです。介護を必要とする高齢者の増加を見越し、要介護度が高くなった高齢者が住み慣れた地域でそのまま暮らしていけるよう、地域密着型サービスのひとつとして創設されました。
それ以前は「訪問介護」「デイサービス」「ショートステイ」を組み合わせて利用したい場合、それぞれの事業者に依頼し契約するのが一般的でした。しかし、これでは利用者が必要とする介護内容の変化にあわせてサービスを変更したり追加したい場合の手続きが煩雑ですし、そのたびに新しい介護スタッフとの関係性を構築する必要があるなど、利用者にとって不便に思えることが少なくありませんでした。
そこで登場したのが小規模多機能型居宅介護で、ひとつの事業所のスタッフが365日24時間体制で「訪問介護」「デイサービス」「ショートステイ」のサービスを提供するのが大きな特長です。小規模多機能型居宅介護の登場によって、これまでの課題を解消し、フレキシブルに介護サービスを計画することが可能になったのです。
これによって、訪問介護でもデイサービスでも利用者は顔なじみのスタッフからサポートを受けられますし、急なショートステイとなっても臨機応変に対応し、利用者の事情にあわせた柔軟なサポートが可能になります。
なお、介護保険法の規定では大半の介護保険業務は都道府県の指定・監督を受けますが、小規模多機能の指定・監督は地域に根ざしたサービスであることから、市区町村が行います。
小規模多機能型居宅介護の利用対象者とメリット・デメリット
小規模多機能型居宅介護は、要支援1以上の要介護認定を受け、事業所のある市区町村に住んでいる(住民票がある)人が利用対象者となり、主に次のようなメリットがあります。
●メリット
・「訪問介護」「デイサービス」「ショートステイ」の全サービスを同一の事業所で契約し利用できる
・上記のサービスを利用者の状況に応じて組み合わせ、毎月定額で受けられる
・区分支給限度額を気にせず自由にサービスを利用できるため、短時間のデイサービスや必要な時間に応じた訪問介護も可能である
・顔見知りのスタッフがすべてのサービスを提供するなど、少人数の施設ならではの個々の利用者に寄り添ったケアが可能で、環境の変化が苦手な人にも適している
一方で、デメリットもあります。
●デメリット
・すでに介護保険サービスを受けている場合、ケアマネジャーが新たな事業所所属のケアマネジャーに変更になる
・すでに複数の事業所と契約していた場合、サービスの併用ができなくなる
・全サービスを同一事業所で受ける必要があるため、例えばショートステイのみ別の事業者を利用するといったことはできない
介護報酬改定の小規模多機能への影響は? ICT技術の導入が進む?
2024年の介護報酬改定において、小規模多機能型居宅介護のサービスではすべての要介護度で基本報酬が引き上げられました。これに加え、「総合マネジメント体制強化」「看護師による専門管理加算」「生産性向上推進体制加算」の項目で報酬加算の見直しと新設が行われています。
このうち「生産性向上推進体制加算」は、業務の効率化と労働生産性の向上を目的とする介護ロボットやICT技術等の導入を評価するものです。加算を取得するためには機器の導入だけでなく、継続的な活用を通じた業務改善策を講じることが必要です。技術導入の初期投資や人材育成にかかる負担が課題となるものの、事業者は職員の負担軽減とケアの質向上を図ることができるので、業務効率化や利用者サービスの質向上に貢献することが期待されています。
今回の介護報酬改定は、全般として職場環境の改善や職員処遇の見直しを進め、より持続可能な介護サービスの提供を目指すものとなっています。
地域密着型のサービスを支援するセンサー見守り
小規模多機能におけるICT技術の導入のひとつとして考えられるのが、センサーを使ったソルクシーズの見守りシステム「いまイルモ」です。「いまイルモ」はすでに小規模多機能型居宅介護事業所の見守りサービスとして導入事例があり、地域密着型のサービス体制の強化を目指し、センサーを活用して一人暮らしの高齢者の見守りを行っています。
「いまイルモ」は、みまもりセンサーやバイタルセンサー、ドアセンサーといった多機能センサーによって日々の行動を「見える化」し、日常生活の様子や異変の有無をとらえます。カメラではなくセンサーを活用したシステムなので、高齢者のプライバシーに配慮しているのも魅力のひとつです。
事業所スタッフや家族がこのサービスで見守りをすれば、インターネット上で簡単に単身高齢者の状況が確認でき、異常時にはアラートが鳴るのですぐに駆けつけることも可能です。また、事業所がセンサーで得たデータから利用者にとって最適なケアプランを作成できるので、QOL向上にもつなげることができます。
高齢者が住み慣れた地域で自分らしい生活を続けていくためには、地域に根ざした介護サービスの普及促進が欠かせません。小規模多機能型居宅介護事業のニーズは今後も高まっていくとみられています。見守りサービス「いまイルモ」を導入して、利用者・スタッフにやさしい地域密着型サービスを目指してみませんか。
こちらもあわせてお読みください。
▼介護保険制度はいつ利用? ADLとQOL向上のために
▼後期高齢者医療を考える。認知症で高額療養費、自立支援医療制度は使える?
▼サ高住をより安心で快適に!プライバシーを守る高齢者見守りとは!
▼老人ホームとサ高住の違いとは? 安否確認の視点で考える高齢者の住まい
▼実証事業「ICTを活用した単身高齢者あんしん見守りに、いまイルモが採用
▼スマートシティとは? 介護のDX推進とデジタル田園都市国家構想の未来
▼一人暮らしの高齢者も、介護施設の入所者も センサー見守りでプライバシーも安心
▼高齢者の一人暮らしへの自治体の支援、どんなものがある?
▼60歳以上の一人暮らし 孤独死の不安にどう備える? 後期高齢者になる前の心構え
高齢者施設のおすすめ記事
-
高齢者の一人暮らしへの自治体の支援、どんなものがある?
-
地域包括ケアシステムとは? 終の棲家で高齢者が安心して暮らすための5つの構成要素
-
マイナンバーカード保険証とは? 高齢者が知っておきたいマイナンバーカードと保険証の違い
-
水疱瘡ウイルスが引き起こす帯状疱疹に要注意! 高齢者はワクチンによる予防の検討を
-
プルースト効果とは? 嗅覚を刺激する回想法で認知機能が改善
-
コロナが周知した嗅覚障害とは QOLへの影響や認知症との関係は
-
歯周病が認知症を悪化させる? 歯周病予防と治療のポイント
-
スマートシティとは? 介護のDX推進とデジタル田園都市国家構想の未来
-
熱中症が原因? 白内障リスクが4倍に? 暑さを感じにくい高齢者、センサーで見守りを
-
高齢者の孤独死が増加? 原因と対策を考える