マグニチュードとは? 震度との違いは? 南海トラフ地震臨時情報の巨大地震注意・警戒の基準となる値を知ろう
高齢者一人暮らし
巨大地震発生の可能性を伝え、注意をうながす情報とは
最近、「南海トラフ地震臨時情報」という言葉を耳にすることが増えました。30年以内に高い確率で発生するとされる南海トラフ地震に関係するものです。
南海トラフ地震臨時情報は、この地域での地震活動が通常と異なる状態になった際に、日本の気象庁が発表します。
大規模な南海トラフ地震が発生する可能性が高まっているかどうかを住民に周知し、注意をうながすことが目的です。
私たちの命を守るうえで大切なものですから、実際にこの情報が発表されたときに適切な行動をとれるよう、その内容について理解しておきたいものです。
南海トラフ地震臨時情報とはどのようなものか、またこれに密接に関わるマグニチュードの定義を含め解説します。
南海トラフ地震臨時情報は、いつ、どう発表される?
南海トラフ地震臨時情報には、3つのケースがあり、「調査中」、「巨大地震警戒」、「巨大地震注意」のキーワードで示されます。
南海トラフ沿いでマグニチュード6.8以上の巨大地震の前兆と疑われる地震やゆっくり滑りなどの地殻変動が確認された場合に、まず「南海トラフ地震臨時情報(調査中)」が発表されます。
引き続き、専門家による評価検討会が行われ、最短でおよそ2時間後に検討結果が知らされます。
この結果を伝える情報は「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)」、「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」のいずれかのケースに分けて発表され、それぞれの状況に応じて適切な防災対応をうながす仕組みになっています。
これらの情報が発表される状況と住民がとるべき対応について説明します。
1. 南海トラフ地震臨時情報(調査中): 南海トラフ沿いで通常とは異なる現象(地震や地殻変動)が観測された直後、現象の評価が進行中であることを知らせます。住民に注意を喚起し、引き続き情報収集や警戒を求めるものです。落ち着いて続報を待ち、防災準備ができているか確認しましょう。
2. 南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒): 想定震源域の半分がずれ動くような異常な現象が発生し、マグニチュード8.0以上の地震が確認されると発表されます。大地震の発生に備え、防災行動を開始するタイミングを知らせるものです。
この情報が発表されると、次の巨大地震に備えた警戒が必要とされます。国のガイドラインでは、津波から避難が間に合わない地域の住民に対し事前の避難が求められます。一人ひとりがとるべき行動としては、自治体の指示に従い、避難の準備やハザードマップの確認を行います。
3. 南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意): プレートの境目でマグニチュード7.0以上8.0未満の地震が発生したり、周辺で7.0以上の地震が観測されたりしたときに発表されます。
この場合、住民には普段の備えを再確認し、必要に応じて自主的に避難することが求められます。また、揺れをともなわないプレートのゆっくりとしたずれ(スロースリップ)も、巨大地震注意の発表対象となり、その場合は家具の固定など日常的な準備を再確認しましょう。
これらの情報発表後、南海トラフ地震関連解説情報として随時、地震活動や地殻変動に関する状況が補足的に伝えられます。
調査や監視の結果、現象が収束し、巨大地震の可能性が低くなったと評価されると「評価終了」が発表されます。
南海トラフ地震臨時情報は、あくまでも「相対的な地震発生の可能性」という不確実性を伴います。そのため、臨時情報が発表されなくても突然巨大地震が発生する可能性や、逆に発表後に地震が起きないことも考えられます。そこで、日頃からの防災準備(建物の耐震化、家具の固定など)が不可欠です。
南海トラフ地震臨時情報の指標、マグニチュードとは
南海トラフ地震臨時情報の判断基準となる「マグニチュード」は「震度」と同様に地震の際に必ずといっていいほど聞く言葉です。マグニチュードと震度の違いも含め、その定義を確認しておきましょう。
マグニチュードは、地震の規模を示す指標で、地震のエネルギー量を数値で表します。マグニチュードが1増えると、地震のエネルギーは約32倍強くなります。例えば、マグニチュード5.0の地震は、マグニチュード4.0の地震より約32倍のエネルギーを持つということです。
一方、震度は、地震が発生した場所ごとの揺れの強さです。震度は、地震の規模(マグニチュード)だけでなく、地震の発生地点や地盤の状態にも影響されます。例えば、同じマグニチュードでも、震源が近い地域では震度が大きく、遠い地域では小さくなります。
つまり、マグニチュードは地震の規模、震度は揺れの強さを示します。実際に地震があったときに体感するのは震度ですから、マグニチュードといわれてもピンとこないかもしれませんが、マグニチュードは南海トラフ地震臨時情報の判断基準となるものです。
そのことを知っておけば、地震のニュースがあったときにどの程度警戒するべきか判断するのに役立ちます。
高齢者を守るために日ごろからの備えと見守りを
どのような災害でも高齢者の命を守るためには、早めの避難が求められます。南海トラフ地震臨時情報は、巨大地震発生の可能性に備え住民がとるべき行動を示すものですから、その知識はいざというとき適切に行動するために役立ちます。また、普段からの防災準備も欠かせませんが、災害弱者である高齢者に対しては見守りも重要です。日常的な見守りに加え、緊急時や被災後の安否確認には、IT見守りシステムの活用が有効です。
*センサーを使った見守りシステム「いまイルモ」は能登半島地震で支援を行っています。
https://www.solxyz.co.jp/news/20241224imairumo/
こちらもあわせてお読みください。
▼線状降水帯ってなに? 大雨災害に備え、高齢者は早めの避難を
▼グループホームでもサ高住でも! センサー型安否確認システムが追及するQOL
▼介護施設でセンサーが活躍! ナースコールと連動! プライバシーの不安なし
▼一人暮らしの高齢者も、介護施設の入所者も センサー見守りでプライバシーも安心
▼高齢者の一人暮らしへの自治体の支援、どんなものがある?
▼老人ホームとサ高住の違いとは? 安否確認の視点で考える高齢者の住まい
▼最悪は孤独死! コロナ禍で懸念される高齢者の社会的孤立とは
▼見守りの最新事情を考える 高齢者をネット詐欺やアポ電強盗から守ろう
▼認知症の徘徊対策はロボット介護も取り入れて効果的に
▼認知症徘徊など行動変化の見守りがカギ
▼帰省時に気を付けたい 一人暮らし高齢者のチェックポイント
▼バリアフリーな高齢者賃貸も増加 高齢者施設以外の選択肢が増えている?
高齢者一人暮らしのおすすめ記事
-
見当識障害とはなにか? 症状や原因、リハビリなどを知っておこう
-
ワーキングメモリとはなにか? 日常生活でワーキングメモリを鍛えることの大切さと認知症予防への期待
-
高齢者の熱中症は重症化しやすい!? 謎の発熱、うつ熱に気をつけて
-
自律神経失調症と認知症の関係は? 高齢者は自律神経を整えることが大事!
-
後期高齢者医療を考える。認知症で高額療養費、自立支援医療制度は使える?
-
一人暮らしは寂しい? 生きがいと認知症予防になる活動を
-
自律神経の乱れと体温調節障害! 高齢者の大敵「季節の変わり目」に注意
-
高齢者施設の暖房設定温度はどれくらい? 寒さ対策は?
-
高齢者の骨折 入院期間はどれくらい? 骨粗鬆症への対策は?
-
高齢者に限らずヒートショック対策を! 知っておきたい暖房温度と体温調節の関係