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災害と高齢者問題 見守りとマイタイムラインで逃げ遅れを防ごう

安否確認

大規模化する災害と高齢者問題

ここ数年、台風の大型化や頻発するゲリラ豪雨など、大型で激しい水害の被害が全国で報告されています。地球の気候変動にともない、今後もこうした傾向は続くとみられ、現代は災害の時代といえるかもしれません。大規模化する災害の犠牲者をゼロにしていくことはこの時代の大きな課題ですが、超高齢社会である日本では災害にも高齢者問題が大きく関わります。

それは、高齢者は災害の被害を受けやすいということです。内閣府の中央防災会議 防災対策会議の資料によると、平成30年7月に西日本の広い範囲で発生した豪雨災害では、特に被害が大きかった愛媛県、岡山県、広島県で200人近くが亡くなり、その約7割が60歳以上でした。このうち、岡山県倉敷市で死亡した51人中45人は65歳以上で、実に犠牲者の9割近くを高齢者が占めています。また、その大半が自宅で亡くなっていました。犠牲になった高齢者のほとんどが避難していなかった、もしくは避難できなかったことがわかります。

とっさにすばやい行動をとりにくい、最新の情報機器の扱いに慣れていない人も多く災害や避難に関する情報を得られにくいといったことから、高齢者は避難が遅れがちになり、被害にあうことが多くなってしまうと考えられます。これは、水害以外の地震や火災など他の災害についても同様です。

高齢者の逃げ遅れをなくすには

このことから、災害から高齢者を守るには、逃げ遅れをなくす、つまり避難のタイミングを逃さないことが重要といえます。
犠牲者の多くを高齢者が占めることから、高齢者の逃げ遅れをなくすことは災害の人的被害を大きく減らすことにもつながります。では、実際の災害時に高齢者が適切に避難できるようにするには、どうすればいいのでしょうか?

水害・土砂災害の場合、災害の危険が予想されると、内閣府や消防庁による5段階の警戒レベルとともに、市町村から避難情報を含む防災情報が提供されます。この警戒レベルは数字が大きくなるほど緊急性も高まり、警戒レベル3の発出で高齢者等は避難開始とされています。こうした情報を確実にキャッチして、すみやかに避難指示や勧告にしたがい避難行動にうつすことが、命を守るためにはとても大切です。

そのためには、あらかじめ避難所の場所やルートを知っておく、必要最低限の持ち出し物を用意しておく、停電時にも使用できる情報機器を確保しておく、といった平常時からの備えも欠かせません。しかしながら、事前にこれだけの備えを個人でしっかりと行うのは少々むずかしいとはいえないでしょうか? そこで、ぜひ活用したいのが「マイタイムライン」です。

災害時に役立つ「マイタイムライン」とは

大型化する台風などから自分の命を守るためには、台風が接近する前にどう行動するか、一人ひとりが前もって計画しておくことが、実際に避難しなければならなくなったときに役立ちます。このような行動計画がマイタイムラインで、個人防災計画とも呼ばれます。

マイタイムラインは、台風などで河川の氾濫が起きるまでに自分がとるべき防災行動を時間の経過に応じて整理したもので、住んでいる地域や家族の状況に応じて各個人がみずから作ります。例えば、台風の予想が出た時点から情報収集を行い、避難準備情報では避難の準備をし、避難勧告に合わせてどこの避難所に避難をするといったことを、詳しくまとめたものです。これが、緊急時の行動や判断のチェックリストになります。

とはいえ、このリストを個人で作るのは大変そうですが、国土交通省や各都道府県、市町村などがホームページ(防災ホームページ)で作り方のガイドやテンプレート(*)を公開しています。テンプレートをダウンロード・プリントアウトして、作り方ガイドにしたがって必要事項を記入していけば、特に防災の知識がなくても、マイタイムラインを作れるようになっています。

ただし、マイタイムライン作りの前には、ハザードマップで自宅周辺の浸水しやすい場所やもよりの避難所を確認しておきましょう。
ハザードマップは市町村の役所の窓口やホームページで入手できます。こうした情報の入手やマイタイムラインのテンプレートのダウンロードがむずかしい場合は、家族など周囲の人が手伝ってあげてください。情報を共有する意味でも、マイタイムラインは家族で相談しながら作るのがおすすめです。高齢の家族と離れて暮らしている場合は、お互いのマイタイムラインを共有するようにしましょう。

以上は、水害時に向けたマイタイムラインについてですが、地震のときには東京消防庁の「地震その時10のポイント」がマイタイムラインとして使えます。

国土交通省 マイタイムラインのページ:
https://www.mlit.go.jp/river/bousai/main/saigai/tisiki/syozaiti/mytimeline/index.html
*テンプレートは作成様式やマイタイムラインシートなど、自治体により名称が異なります。

東京消防庁 地震その時10のポイント:
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/hp-kouhouka/houdou/kts/kts_03/data/pdf/03_P02.pdf

見守りシステムもプラスして避難をより確実に

同居している場合はもちろん、離れて暮らしていても、あらかじめマイタイムラインを作り共有しておけば、いざというとき高齢の家族にどう行動すればいいかうながせます。その上では日ごろからの見守りも大切ですが、高齢の家族と離れて暮らしている場合にはITによる安否確認システムがおすすめです。

人の動きや照度・温度などに反応する複合センサーを搭載した「いまイルモ」なら、センサーを設置した場所の様子をほぼリアルタイムに、または過去にさかのぼって、どこからでもスマホやパソコンで確認できます。例えば、高齢者の住む地域に避難指示が出ている段階で自宅にいるのかどうかわかるので、在宅していれば電話で避難を呼びかけるといったことが可能です。

大規模災害が多くなったこの時代、災害時の避難も高齢者問題のひとつとなりました。
高齢者の逃げ遅れゼロを目指すには、公助だけでなく自助を充実させることも大切です。
マイタイムライン作りや見守りシステムの導入など、平常時にできることを着実にやっていきましょう。

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