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AIを使った特殊詐欺やサポート詐欺 高齢者もデジタルディバイドの落とし穴に注意!

高齢者一人暮らし

デジタルディバイドが高齢者のリスクを招く

スマートフォンやタブレットが広く普及し、誰もが当たり前にインターネットやSNSを利用する時代になりました。以前はIT技術やデジタル機器に疎い人が多いとされてきた高齢者も例外ではありません。2023年には70歳代の約61%がスマホを、約80%がスマホを含むモバイル端末を所有するようになっています。

このようにデジタル化が進むなか、社会の課題として注目されているのがデジタルディバイドです。デジタルディバイドとは、パソコンやインターネットなど情報通信技術(ICT)を使いこなせる人とそうでない人の格差のことで、情報格差とも呼ばれます。高度な情報化社会ではICTをうまく使えない人は情報弱者となり、なにかと不便であったり、不利な状況になってしまいます。

デジタルディバイドには個人や集団の間、地域間、国際間に生じる3種類の格差があるとされていますが、個人・集団間のデジタルディバイドとして顕著なのが世代による情報格差でしょう。高齢者のスマホ等の普及が急速に進む一方で、デジタルの知識や情報リテラシーがじゅうぶんではない高齢者も少なくありません。
そのためか、インターネットを悪用したサイバー犯罪に高齢者が巻きこまれるケースが後を絶ちません。このような犯罪のなかでも特に悪質で巧妙なのが、AIを使った特殊詐欺とサポート詐欺です。こうした犯罪被害を防ぐためには、その手口と対策を知っておくことが重要です。

非常に巧妙で悪質! AIを悪用した特殊詐欺とは

AIを使った特殊詐欺の代表的な例が「SNS型投資詐欺」や「なりすまし投資詐欺(広告)」などと呼ばれるものです。これは、SNS上で有名な投資家や評論家らの画像などを無断使用した広告を出し、お金をだまし取る犯罪です。AIを使って画像や動画、文章を自動生成し、あたかも有名人が投資を誘うニセの広告を大量に作ってSNS上に拡散させ、広告をクリックした人を個別のSNSグループに誘導し、架空の投資話を持ちかけるなどしてお金をだまし取ります。大手のSNS上で著名人が勧めているといったことから「信用できる」と思わせるのです。

こういった被害は中高年層に集中しており、警察庁によると、高齢者が1億円以上をだまし取られるなどのケースが相次いでいます。SNSを日常的に使い、学校で情報モラル教育を受けている若年層と違い、ネットの危険性を理解していない中高年層がターゲットにされているのです。この詐欺被害を防ぐには、次のような対策を講じてみましょう。

<SNS型著名人なりすまし投資詐欺への対策>
・著名人による投資広告を見たら、その人物名や会社名、商品名などをインターネットで調べてみましょう。
本人が自身の画像を詐欺広告に悪用されていることを公表している場合もあります。

・投資において「確実に儲かる」といった説明は違法です。金融商品取引業者の登録番号を金融庁のホームページで確認することもできます。「うまい話」だと思っても、広告をクリックする前に家族など誰かにその広告を見てもらう、または消費者庁の消費者ホットラインや消費生活センター、警察に相談してみましょう。
消費者トラブル解説集(独立行政法人 国民生活センター)
免許・許可・登録等を受けている業者一覧(金融庁)

パソコンを使う高齢者の不安につけ込むサポート詐欺

サポート詐欺とは、パソコンでインターネットを閲覧しているときに突然「ウイルス感染」や「個人情報流出」などを警告するニセのウィンドウを表示させ、「有償サポート」名目でお金をだまし取る特殊詐欺のひとつです。この手口では、ウィンドウに表示されたIT企業などの電話番号に電話をかけると、パソコンの修理代としてインターネットバンキングや電子マネー(プリペイドカード)による支払いを要求されます。

サポート詐欺は2015年ごろからありましたが、ここ最近、特に高齢者の被害が急増しています。警告画面の表示とともに大音量の警告音が鳴り、デジタル機器の使用経験が浅い利用者の不安につけ込むのです。電話で指示されるまま、パソコンの遠隔操作ができるソフトをインストールしてしまい、遠隔操作によってネットバンキングの送金額を書き換えられ大金を取られてしまうという被害が報告されています。

<サポート詐欺への対策>
・詐欺なので、絶対に連絡先に電話をしてはいけません。
・警告音が鳴ったらパソコンの音量を下げるか、ブラウザもしくはパソコンを終了し、落ち着いてパソコンの状態を確認しましょう。
・警告画面でカウントダウンが表示されても画面上の指示には従わず、絶対に支払いをしてはいけません。
・警告画面が閉じられなかったり、遠隔操作ソフトをインストールしてしまった場合など、自分で判断・対応できないときは周囲の人や専門のサポート業者に相談しましょう。
・心配な場合は消費生活センターや警察に相談してください。

周囲もサポートして知識やリテラシーのアップデートを

デジタル社会では知識やリテラシーの不足はリスクを招きます。ネット上には不確かな情報があふれており、知識がないと正しい情報の取捨選択がむずかしいからです。
また、デジタルの技術や機器は常に進化し、それにあわせてサイバー犯罪の新しい手口も次々に出現するため、知識をアップデートしていくことが欠かせません。

サイバー犯罪に対しては、警察や消費者庁、各自治体などが随時最新のサイバー犯罪の手口について事例をあげて注意喚起を行なっています。高齢者も自主的に情報を得るよう、自治体が開催している高齢者向けのスマホ講習会やパソコン講習会に参加したり、テレビや新聞などで知り得た情報を家族や友人間で共有することも大切です。

また、自分たちで判断できない場合には、以下でも相談できます。

・消費者ホットライン(電話)「188(いやや)」
最寄りの消費生活センターなどを案内してもらえます。

※詳しくは公式ホームページをご覧ください
消費者ホットライン(消費者庁)

・警察相談専用電話「#9110」
緊急ではないが犯罪に該当するかわからない悪質商法など、警察に相談したい場合の番号です。最寄りの警察本部の相談総合窓口につながります。

※詳しくはこちらのページをご覧ください
政府広報オンライン(内閣府大臣官房政府広報室)

・情報セキュリティ安心相談窓口
(電話)「03-5978-7509」 (メール)「anshin@ipa.go.jp」
ニセ警告画面の削除など、セキュリティに関するパソコンの技術的な相談が電話またはメールでできます。以下の項目のうち、わかるものについては整理してから連絡すると、より相談がスムーズに進みます。

① 端末の種類(パソコン、スマートフォン、タブレット、ガラケー)
② 端末のOS(Windows10、Android、iPhoneなど)
③ セキュリティソフトをインストールしていればその名称
④ クラウドサービスを利用していればその名称
⑤ 時系列順にまとめた具体的な事象
⑥ ウイルスや不正アクセスが原因と判断した理由
⑦ 他に相談をした窓口や機関

※詳しくは公式ホームページをご覧ください
情報セキュリティに関する技術的なご相談(独立行政法人 情報処理推進機構)

情報の正しさを判断するリテラシー不足によるデジタルディバイドが引き起こす詐欺被害は、だまされたお金が戻ってこないだけでなく、家族から責められて心を病んでしまうなど二次被害にもつながってしまいます。
ある日突然落とし穴にはまらないよう、高齢者もネットリテラシーを身に付けるとともに、高齢者を取り巻く周囲を含め、デジタル知識をアップデートしていくことが大切です。

※高齢者を特殊詐欺などの犯罪から守るための対策については、こちらの記事もご参照ください。
▼「特殊詐欺や強盗! ハイブリッド化する犯罪手口にご用心」


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