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特殊詐欺や強盗! ハイブリッド化する犯罪手口にご用心

高齢者問題

高齢者をターゲットにした犯罪が複雑化

報道などでも知られている通り、高齢者をターゲットにした特殊詐欺や強盗の被害が相次いでいます。警察庁によると、2022年度の特殊詐欺の被害件数は前年度より大幅に増加し、被害額も8年ぶりに増加しました。

特殊詐欺の被害者の90パーセント近くが65歳以上の高齢者です。また、高齢者が被害者となる凶悪な強盗事件も各地で発生しています。

ここ最近の高齢者が巻き込まれた事件の傾向をみると、特殊詐欺は手口が非常に巧妙化・悪質化しており、強盗事件は凶悪化しています。

その中でも特に注目されているのが、特殊詐欺と強盗を組み合わせたハイブリッド型の犯罪です。いずれも高齢者を狙ったものですが、新しいタイプの犯罪が増えているのです。

これまでも、警察や役所、マスコミなどから高齢者に向けた注意喚起や対策法の周知は行われていますが、今後もこうした犯罪から高齢者を守っていくためには、変化していく犯罪の手口を知り、対策方法を更新・強化していく必要があります。
そこで、今回はこれらの犯罪手口や背景、そして対策方法などについてお伝えします。

特殊詐欺の手口には、どんなものがある?

特殊詐欺は、オレオレ詐欺など電話を使って被害者に近づく詐欺の手口の総称です。
主な手口としては次のようなものがあります。

<オレオレ詐欺>
親族、警察官、弁護士などを装い、親族が起こしたとする事故・事件の示談金などの名目でお金をだまし取ろうとする

<架空料金請求詐欺>
実際には利用していないインターネットサービスなどの料金が未払いであると、メールやSMS(ショートメール)にウソの請求が送られてくる

<還付金詐欺>
役人を装い、税金などの還付手続きにみせかけて被害者をATMに誘導し、犯人の口座に振込みをさせる

<預貯金詐欺>
銀行員や警察官などを装い、「あなたの口座が犯罪に使われているので凍結した。キャッシュカードの交換が必要」などと称し、キャッシュカードやクレジットカードなどをだまし取ろうとする

特殊詐欺とのハイブリッド? アポ電強盗とは

以上に加えて、近年、大きな被害を出しているのがアポ電強盗と呼ばれる手口です。
この手口は犯罪グループが闇ルートで入手した名簿をもとに、事前に目ぼしをつけた被害者宅に電話をかけ、テレビ局のアンケートなどと称して資産状況や家族構成などを聞き出し、お金のある高齢者世帯であることを確認してから強盗に入るといったものです。
この電話のことをアポイントメント電話、略して「アポ電」といい、アポ電は特殊詐欺を装うケースもあります。

例えば、息子を名乗ってお金が必要だという電話がかかってきた場合、電話に出た高齢者が「うちには息子はいない」、または「うちの息子は医者なのでお金に困っていない」などと答えて電話を切ったとします。
オレオレ詐欺を撃退したかのように思えますが、実はこれ、アポ電強盗の犯人に家庭内の事情をさらしているのと同然で、この後、強盗に入られる危険性が高まったのです。

犯人は電話の内容から、ターゲットとなる高齢者のお宅の家族構成や資産の状況を推察しようとしているのです。高齢者しか住んでいないお宅で、なおかつ裕福な家庭であることが犯人に悟られれば、なおさら目を付けられてしまいます。怪しい電話には不用意に情報を公開しないように、前もって家族間で話し合っておいた方が良いでしょう。

近年、全国各地で高齢者世帯を襲う強盗事件が頻発していますが、事件の数日前には特殊詐欺らしき電話がかかってきたケースが多々ありました。
また、これらの強盗の手口として傷害や殺人をともなうなど、非常に荒っぽく凶暴なことも共通してみられる特徴です。

被害を未然に防ぐための基本は電話に出ないこと

特殊詐欺やアポ電強盗とも、被害者のほとんどは高齢者です。
犯人たちも高齢者をターゲットにしています。

では、これらの犯罪から高齢者を守るには、どのような対策をとればいいのでしょうか?

電話がその対策のカギとなります。
警察庁の発表では、2022年の特殊詐欺事件のうち、被害者に接触するために最初に使われたツールのおよそ99パーセントが電話でした。
また、高齢者をターゲットにした強盗事件も、アポ電をともなうことが多いといわれています。
つまり、電話が特殊詐欺やアポ電強盗といった犯罪の入口になっているのです。

このことから、犯罪被害を未然に防ぐには、自宅にかかってきた非通知設定や知らない番号からの不審な電話には出ないことを徹底しましょう。
とはいえ、最近では携帯電話の番号を固定電話の番号に偽装することも可能なので、表示された番号だけで不審な電話かどうか見分けるのは困難です。

そこで、おすすめしたいのが電話機を留守番設定にしておき、かけてきた相手が用件を話し始めてから出る方法です。

家には簡単に侵入できないよう工夫を

電話に出ないことでアポ電はシャットアウトできますが、事前のアポ電なしに強盗に押し入られる可能性もないとはいえません。
自宅の防犯対策も重要なので、簡単に家に入られないよう、また侵入されたらなるべくすぐにわかる工夫をしましょう。

例えば、すべての窓には補助錠をつけ、防犯カメラやセンサーライトを設置する、踏むと大きな音がする防犯砂利を開口部の下に敷くなどです。
センサーライトは複数つけるのが効果的で、防犯砂利は5センチ程度の厚さに敷き込みましょう。
また、侵入犯は夜間が多いので、通りに面している玄関やリビングルームの照明はつけたままにしておきます。

特殊詐欺や強盗の新しい手口が次々と生まれ、凶悪化する傾向にあります。
誰もが犯罪に巻き込まれる可能性があることを意識し、対策することが大切です。


不審な電話がかかってきたり、自宅周辺などで不審な人物を目撃した場合は、躊躇せず警察に通報してください。

高齢の家族と離れて暮らしている場合は、以上の防犯対策に加え、センサーなどの見守りシステムを組み合わせるとより効果的です。
家族でよく話し合って、防犯意識を高めましょう。


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