気候変動による猛暑が続く! 体感温度と室温の違いを知って熱中症を防ごう
高齢者一人暮らし
熱中症対策で注意するべき「温度」とは?
地球温暖化が進むことで偏西風の蛇行が顕著となり、世界的に危険な暑さが続いています。今後しばらく、高齢者にとって熱中症の危険が続くことになるでしょう。室内での熱中症対策は室温管理が基本となりますが、エアコンの設定温度が適切であればそれでいいというわけではありません。それは、設定した温度が室温と同じとは限らないからです。
また、人が感じる暑さや寒さは計測される温度と異なることも少なくありません。
人が感じる温度を体感温度といいます。体感温度とはどのようなものか知っておくと、熱中症を予防し、快適に過ごすために役立ちます。室温と体感温度の違い、また湿度との関係を知っておきましょう。
エアコンの設定温度=室温とは限らない
ここ近年、気候変動により毎年のように夏は猛暑となり、熱中症予防が欠かせなくなっています。熱中症といえば炎天下の屋外で発生しやすいイメージがありますが、実は最も多く発生している場所は住居など建物の中です。総務省の発表によると、令和3年度に熱中症により救急搬送された人のうち、半数近くが住居などの屋内で発症していました。また、年代別では65歳以上の高齢者がおよそ60%を占めています。
室内で過ごすことの多い高齢者の熱中症対策は、室内環境の管理がカギといえるでしょう。熱中症を防ぐうえで、28℃が温度の目安とよくいわれています。環境省が推奨する夏の適正室温ですが、ここで注意したいのが、これはあくまで「実際の室温」ということです。
猛暑の夏に室内を快適に保つためにはエアコンが欠かせません。この28℃をエアコンの設定温度にしている家庭も多いと思いますが、必ずしも設定温度通りの室温になるとは限りません。エアコンは本体内部の温度センサーにより温度を計測しているため、同じ室内でもエアコンから離れた場所の温度が違っていても検知されないことがあります。また、室温は建物の構造や日射量などによっても違ってきます。
そのため、室温を適切に保つためには温度計で計測し、実際の室温が28℃以下になるようエアコンの設定温度を調節する、扇風機やサーキュレーターなどでエアコンの風を部屋中にまわすなどの工夫をしましょう。
室温と体感温度、湿度の関係
室温の管理に加え、熱中症対策で重要になるのが体感温度です。そもそも、体感温度とは、人が身体で感じる暑さ寒さのレベルを数値であらわしたものです。同じ気温でも、湿度や風、日射量などの要因によって感じ方が異なることが多々あります。つまり、これらの要因によって、温度計で測った気温よりも暑い、または寒いと感じるというわけですが、このうち暑い時期に特に注意したいのが湿度です。
梅雨から夏にかけての時期は、それほど気温が高くなくても湿度が高いと暑く不快に感じられることが多いのではないでしょうか? ある実験では、28℃の室温に保った部屋で当初湿度を85%にし、その後60%に下げたところ、その部屋にいたほとんどの人の手や顔の皮膚の温度が下がり、涼しく感じられるようになりました。湿度が10%変わると、体感温度はおよそ2℃変わるといわれています。
これは、湿度が高いと汗をかいても乾きにくくなるため、気化熱によって体温を下げるという体のメカニズムがうまく働かないままさらに汗をかき、よけいに暑くなってしまうからです。このことからいえるのは、推奨温度の28℃でも湿度が高ければ、体感温度はそれ以上になり、熱中症の危険性が高まるということです。
快適に過ごせる湿度の目安は50?60%、また、室温28℃の場合、湿度が70%を超えると熱中症になりやすいといわれています。熱中症を予防し、快適に過ごすには、室内の温度だけでなく湿度の管理も大切です。
熱中症の大きな要因、湿度に注意
以上のことから、暑いかどうかは温度だけではなく、湿度が大きく関係することがわかります。これに加え、熱中症対策では輻射熱も関係します。輻射熱とは暖められた物体から発する赤外線(熱)のことで、家の中でいえば太陽の熱によって暖められた天井や壁が放つ熱になります。
環境省では、気温・湿度・輻射熱の3つの要素をもとに熱中症のリスク評価を暑さ指数(WBGT)という数値でおこなっています。屋外と屋内における熱中症のリスク評価を計算するうえでの比率は次の通りです。
<暑さ指数(WBGT)の3要素の比率>
屋外 = 湿度7:輻射熱2:気温1
屋内 = 湿度7:輻射熱3
暑さ指数は温度と同じ単位「℃」が用いられ、28℃以上が熱中症の危険域とされます。
*暑さ指数の実況と予測はこちらからご参照ください。
環境省「熱中症予防サイト」
このように、屋内外ともに熱中症リスクに関しては、湿度が非常に大きな要因となっていることがわかります。室内では、室温管理に加えて湿度管理も重要ということです。エアコンが苦手という高齢者も少なくないですが、湿度の高い部屋で湿気を多く含む空気を扇風機でまわすのも却ってよくありません。
室内での熱中症を防ぐには、室温28℃、湿度50〜60%が目安になります。温度計と湿度計を用意し、エアコンの除湿機能や除湿機を上手に使って、室温と湿度の管理をしていきましょう。
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