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いま、期待されるグループホームの多機能化とは? 地域密着だからできること

認知症見守り

グループホームとはどんな介護施設?

老後に介護が必要になった場合、住まいの選択肢は複数あります。
グループホームもそのひとつですが、他の特別養護老人ホームや小規模多機能型居宅介護などとはどこが違うのでしょうか?
グループホームの概要と他の施設との違いや、いまグループホームに期待されている役割などについてお伝えします。

グループホームと他の介護施設との違い

グループホームは認知症の人だけが入居できる地域密着型の小規模な介護施設です。
近年、長寿化が進むなか、認知症に特化した介護施設としてグループホームに新たな役割が求められています。

介護が受けられる住居型の高齢者施設は現在8種類あり、大きくは民間施設と公的施設に分けられています。

<民間施設>
・介護付き有料老人ホーム
・住宅型有料老人ホーム
・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
・グループホーム

<公的施設>
・ケアハウス
・特別養護老人ホーム(特養)
・介護老人保健施設(老健)
・介護療養型医療施設

このうち、グループホームは地域の認知症高齢者のための民間の居住型施設です。
グループホームでは5〜9人の入居者をひとつのユニットとして、家庭に近い小規模な施設で認知症専門のスタッフやヘルパーの支援を受けながら共同生活をします。 また、グループホームの入居者は、それまでその地元で暮らしてきた人たちです。

このことからもわかるように、グループホームは認知症の高齢者が、住み慣れた地域で、在宅に近い形で生活することを目的とした施設です。
ここで、グループホームの入居条件を確認していきましょう。

<グループホームの入居条件>
・65歳以上で認知症と診断されている
・要支援2、または要介護1〜5
・入居希望のグループホームが所在する市区町村に住民票がある

地域に根ざしながら認知症ケアを専門に受けられることがグループホームの大きな特色であり、他の高齢者施設との大きな違いです。 例えば、特養や有料老人ホームは一定以上の要介護度以上であれば認知症以外の人でも入居できますし、居住地(住民票のある地域)による入居の制限は原則ありません。

小規模多機能型居宅介護とは? グループホームとの違い

グループホームと似たサービスで、小規模多機能型居宅介護があります。
小規模多機能型居宅介護とは、2006年にスタートした比較的新しい地域密着型のサービス制度です。
「小規模多機能施設」は、主に社会福祉法人や医療法人などが運営しています。厚生労働省によれば、令和3年(2020)年時点で、全国に5600ヵ所を超える事業所が開設されています。

小規模多機能型居宅介護を提供するのは、グループホームと同様に地域に根ざした小規模な施設ですが、グループホームとの大きな違いは、提供されるサービスが居住型ではなく「通所(デイサービス)」中心であることです。

小規模多機能型居宅介護のサービスが始まるまでは「デイサービス」「訪問介護」「ショートステイ(宿泊)」「居宅」といった介護サービスは、それぞれ事業者が異なっていました。
利用者はそれぞれの事業所と契約していましたが、「事業所ごとに介護スタッフが変わる」「利用者とスタッフの関係性やケアの連続性を維持することがむずかしい」といった課題がありました。

この課題をクリアすると考えられているのが、小規模多機能型居宅介護です。
この制度は1つの事業所と契約すればデイサービスを基本として、利用者の状況や要望に応じて、同じスタッフから訪問介護やショートステイのサービスを受けることができます。

サービスの対象となるのは、「サービスを提供する事業所のある市区町村に居住している要介護認定を受けた人」になります。

このように、小規模多機能型居宅介護は要介護度が進んでも住み慣れた地域で自宅での暮らしを続けられるようサポートするものです。
小規模多機能型居宅介護の事業者によってはグループホームを併設している場合もあるので、ケアの連続性を保ちながら在宅でのサービス利用からグループホーム入居へ移行することが可能です。

いま、グループホームに期待される多機能化とは

近年、グループホームには新たな機能が望まれるようになっています。
そのひとつが看取り介護のニーズです。
従来、日本人にとって最期を迎える場所は医療機関がほとんどでしたが、高齢者人口の継続的な増加と長寿化にともない、介護施設での看取りのニーズが急激に高まっています。
介護施設での看取りは「看取り介護」と呼ばれ、死期のせまった人が最期まで本人らしく穏やかに過ごせるよう、医療関係者と連携しながら生活支援を行います。
こうしたことから、看取り介護を行うグループホームが増えつつあります。

加えて、グループホームに期待されているのが認知症ケアの専門性を活かした地域支援の機能です。
わが国では1990年後半に地域に根ざした認知症高齢者のためのグループホームが制度化されました。
以降、各地のグループホームには認知症ケアに特化した豊富なノウハウが蓄積され、地域の認知症ケアの拠点としてそのノウハウを地域に還元することが求められているのです。

例えば、事業所によっては認知症に関する啓発活動や地域住民向けの相談支援活動を行なっています。
地域での啓発活動で認知症について知ってもらうことは、グループホームとその入居者を理解し、受け入れてもらうために有効です。
また、相談支援活動は地域で在宅介護をする人のサポートになります。
こうしたことから、これからもグループホームの多機能化が進んでいくと考えられています。

私たちも小規模多機能施設の登場やグループホームの多機能化などについてより知識を深め、自らの将来も踏め、身の回りの大切な人たちがより快適な老後を過ごせるようにしていきましょう。

■過去記事:グループホームとは? 高齢者の安否確認におけるメリットやデメリットを解説


▼看取り介護とは? いま、特養やグループホームに求められる役割
▼グループホームでもサ高住でも! センサー型安否確認システムが追及するQOL
▼バリアフリーな高齢者賃貸も増加 高齢者施設以外の選択肢が増えている?
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▼老人ホームとサ高住の違いとは? 安否確認の視点で考える高齢者の住まい
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