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コロナ5類への移行でマスク着用どうなる? 高齢者施設や医療機関、訪問介護での対応は

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コロナ5類移行で高齢者の生活への影響は?

コロナ禍と呼ばれる状況が3年に及ぼうとしているなか、その元となる新型コロナウイルスの扱いが変わります。5月8日から、新型コロナウイルス感染症の位置づけが2類から5類の指定へと変更されることが決まりました。それと同時に名称も新型との明記がとれ、「コロナウイルス感染症2019(コロナ2019)となっていきます。コロナ5類への移行で生活への影響はどうなるのでしょうか?

ちまたでは、マスク着用などについて話題になっていますが、そもそも感染症の分類とはどのようなものなのでしょう? 高齢者のいる家庭では、医療機関や高齢者施設での対応がどうなるのか気になるところではないでしょうか? 新型コロナウイルスの5類移行にともなう生活への影響と高齢者にとって気をつけるべきポイントについて考えます。

感染症の分類とコロナ5類移行の経緯

新型コロナウイルスの5類移行による影響について考える前に、感染症の分類とはどのようなものか説明しておきましょう。感染症の分類は「感染症法」という法律にもとづきます。感染症法は、これまでにない新型のウイルスによる感染爆発を防ぐための法律です。感染症法では、原因となる病原体(ウイルス、病原菌など)の感染力や重症化の危険性に応じて、次のように5つのグループに感染症を分類しています。

1類)ペスト、エボラ出血熱など:かかった際に死にいたるリスクが極めて高い
2類)結核、SARS(重症急性呼吸器症候群)など:感染力が強く重症化しやすい
3類)コレラ、O157など:主に水や食物を介し、集団的に多くの感染者を発生させる
4類)狂犬病、サル痘、黄熱など:虫や動物などを介して人に感染する
5類)季節性インフルエンザ、梅毒など:危険性はそれほど高くないが、感染拡大を防ぐべき感染症

当初、新型コロナウイルスはその性質に関して不明な点が多かったことから、2類相当とされ、2020年の法改正によりこの5分類とは別枠の「新型インフルエンザ等感染症」への適用で、外出の自粛要請や緊急事態宣言など2類よりも強い措置がとれるようになりました。その後、複数回の感染拡大やウイルス株の変異などを経て、現在のオミクロン株は比較的重症化しにくい傾向にあり、オミクロン対応ワクチンの接種開始といったことから、感染対策の緩和が進み、感染症としての分類も見直されることになったのです。5分類のうち2類相当だった新型コロナウイルスがいきなり5類になるのは意外に思えるかもしれませんが、これは、3類と4類が特殊な分類になるためです。

5類移行でコロナ診療可能な医療機関は増える?

新型コロナウイルスの2類相当から5類への移行で、まず、大きく変わるのは行政による行動制限がなくなることです。コロナ禍以降行われてきた緊急事態宣言の発令や入院の勧告・指示、陽性者や濃厚接触者への外出自粛の要請などができなくなります。

また、医療機関の対応も変わります。従来は、新型コロナウイルス患者の受診や入院が可能な医療機関は感染症指定医療機関や発熱外来など一部に限られていましたが、5類への移行後は幅広くいろいろな病院やクリニックなどで対応できるようになるとされています。5類移行後は自治体や保健所による入院調整がなくなり、診療所や病院の間での調整が可能となる見込みです。現在でも、一般のクリニックなどでもゾーニングをするなどの対策を施した上でコロナウイルス患者の診察をすることができ、コロナ対応が可能な医療機関は徐々に増加しているものの、インフルエンザ対応の機関に比べると数は少ないのが現状です。

コロナウイルス対応ができる病院やクリニックは今後拡大していくと考えられますが、小規模な医院などではゾーン分けなどの体制づくりができるか、また患者の多くが高齢者といった医療機関では感染症への対応がリスクになるなどの課題があります。したがって、いまのところ、コロナウイルス対応の医療機関が今後どの程度増えるかは未知数といえるでしょう。5類になっても、高齢者がコロナウイルスに感染すると重症化しやすいことには変わりありません。高齢者やその家族は、万一感染した場合にかかりつけ医がコロナウイルス診療が可能なのか、そうでない場合、近隣での対応可能な病院を調べておくことをおすすめします。

5類移行後も注意するべきこととは

コロナ5類移行にともない、感染対策は継続して必要ながらも、政府の要請による一律的なものから、リスクに応じて個人や集団が主体的に行うという方向性が示されています。全体的な致死率の低下などから、健康な若い世代の人たちの中には、もはや新型コロナウイルス感染症はインフルエンザと大差ないと思う人もいるでしょう。そのようなことから、感染対策が緩和されるイメージがありますが、ここで忘れてはならないのが、5類になったからといって、現状のウイルスの感染力や危険性は変わらないということです。

実際に、直近の感染第8波による死者のうち、70歳以上の高齢者の割合は90%を超えています。現在でも、新型コロナによる高齢者の重症化と死亡リスクは依然として高いということです。したがって、今後、マスク着用については個人の判断に委ねるとしながら、感染リスクの高い状況や感染させるリスクの高い人では着用が推奨されます。

高齢者施設などでのマスク着用や感染対策は

感染に対してハイリスクを伴う高齢者施設などでは、ひとたび感染者が出るとクラスターが発生しやすいことも変わりないため、高齢者はしっかりとした感染対策で守られるべきです。そうした観点から、高齢者施設や訪問介護など高齢者が多く利用する施設やサービスでは、5類移行にあわせて、マスク着用や消毒などの感染対策をやめたり、緩めるのは現実的にはむずかしいでしょう。一方で、いつまでも厳格な感染対策を続けていくのは、介護スタッフにとっては多大な負担がかかったままです。介護の現場では、どの制限を残し、どう対策をゆるめていくのか、まだまだ検討が必要とされます。

コロナ5類以降による生活への影響については、まだわからないことが多いものの、高齢者の感染リスクが高いことに変わりありません。高齢の家族と同居している場合はもちろん、高齢者の多い場所に行く、高齢者と接する場合は引き続き感染対策をおこたらないことが大切です。


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