関連ワード

グループホームとは? 高齢者の安否確認におけるメリットやデメリットを解説

認知症見守り

認知症になったら、住み替えの選択肢は?

長寿社会となったいま、老後に住み替えをする人がめずらしくなくなりました。認知症により介護が必要になった場合、住まいの選択肢のひとつになるのがグループホームです。少人数の入居者が自立支援、リハビリ、認知症ケアなどを受けながら、共同で生活を送るグループホームは施設としては小規模なものです。建物も一般の住宅に近いケースもあり、老人ホームに比べるとアットホームな施設といえるかもしれません。また、意外なようですが、高齢者向けではないグループホームもあります。

厚生労働省によると、グループホームとは「知的障害者や精神障害者、認知症高齢者などが専門スタッフの支援のもと集団で暮らす家のこと。(*)」と説明されています。(*引用:e-ヘルスネット
このように、グループホームは知的障害者や精神障害者向けと認知症高齢者向けの2つに分けられます。この記事では、高齢者を対象とするグループホーム(以下グループホーム)とはどのような施設か、メリット、デメリットなども含めてお伝えします。

認知症高齢者の住まいとしてのグループホーム

上の説明にあるようにグループホームは認知症の高齢者のための施設です。通常は5?9人の高齢者が専門スタッフやヘルパーのサポートを受けながら、認知症の症状の緩和や進行を遅らせるために家庭での生活に近いスタイルで共同生活をします。

その生活スタイルの理由には、病院などでは生活が単調になりがちで、認知症の症状の進行が早まりやすい可能性があるためです。普通に家庭で過ごすように生活ができれば、メリハリもあり、脳へのよい刺激にもなります。グループホームは、このような生活スタイルと家庭的な援助の実現を目指してつくられたものです。

したがって、高齢者がグループホームに入居するには認知症の診断を受けていることが必須ですが、入居のための条件は次のようになります。

<グループホームの入居の条件>
・認知症と診断されていること
・要介護度:要支援2、もしくは要介護1?5
・年齢:65歳以上
・同一市区町村に住民票があること

ここで、注意しておきたいのが、認知症の診断に加え、入居者の住所地(住民票)の制限があることです。つまり、グループホームが立地する地域に住民票がある人に入居が限られるのですが、これは、介護保険制度により地域密着型サービスとして位置づけられているためです。特別養護老人ホームや有料老人ホームなどでは、住民票を移しての入居は可能ですが、グループホームの場合、自治体によっては、同じ市内でも区をまたいでは入居できない、入居前に住民票の移動から一定期間以上の居住実績がなければ介護保険が使えないなどの条件があります。

グループホームのメリットとデメリットは?

グループホームの主なメリットとデメリットについてみていきましょう。

<メリット>
・自分でできることを促すケア
グループホームでは、認知症の専門的な知識のあるスタッフが生活介助、見守り・緊急時対応、リハビリ、レクリエーションなどを行います。ただし、食事の支度、掃除などのサービスが一方的に提供されるのではなく、スタッフの支援を受けながら、入居者がお互いに協力して行うのが原則です。こうした作業をすることがリハビリになり、自立を促します。

・専門スタッフが24時間常駐
認知症の人への対応が不適切な場合、症状を悪化させることがあります。その点、グループホームでは認知症専門のスタッフが常駐し、個々の利用者の特性に合わせたケアを受けることができます。

・少人数の共同生活でスタッフともなじみやすい
グループホームの定員は1軒につき、5?9人のユニットが2ユニットまでと規定されています。人の多い場所を苦手とすることが多い認知症の人にとっては、落ち着きやすく、他の入居者やスタッフとコミュケーションを取りやすい環境になっています。

・家庭的ながらプライバシーにも配慮
食堂や浴室などは共用スペースになりますが、入居者の居室は個室であることがほとんどです。そのため、ひとりの時間を大切しながら、入居者どうしの交流できるのがグループホームの大きなメリットといえるでしょう。

・住み慣れた地域で暮らせる
認知症の症状の一つに場所や時間が認識できなくなる見当識障害がありますが、こうした症状のある人にとって環境を変えることは悪影響になることが少なくありません。しかし、グループホームなら、地元で暮らしてきた人の入居が基本ですから、住み慣れた地域で引き続き安心して暮らせます。

<デメリット>
・医療体制に不安のある施設も
グループホームには医師や看護スタッフの配置は義務づけられていません。そのため、施設によっては、要介護度の高い人や医療的ケアの必要な人受け入れできなかったり、体調が急変したときの安否確認に一抹の不安がある場合もあります。とはいえ、近年では、医療体制を充実させる施設も増えています。

・要介護度が上がると住めなくなる可能性?
グループホームの体制によっては、要介護度が上がると退去を余儀なくされることがあります。また、共同生活が前提のため、暴力・暴言など他の入居者への他害行為がある場合も退去を迫られることも。

・入居待ちが長引くことも
定員が少人数、住所地の制限などから、入居したくてもすぐにできないケースが多く、入居待ちの期間が長引くことが多いようです。

なお現在では、高齢化の進行に伴い、国の方針によってグループホームでも「看取り」の対応をするようになっています。入居が難しい特別養護老人ホームなどに成り代わり、終の棲家となることが期待されているため、その存在はますます重要視されています。

地域に根ざし、専門スタッフによる日常的な見守りがあるグループホームは、認知症高齢者が暮らしやすい環境といえそうですね。預ける側の家族にとっては、医療的な安否確認の体制がある施設なら、なお安心といったところでしょうか。認知症高齢者の住まいには他の選択肢もありますから、施設探しについては、以上を参考にしながら、高齢者総合センターやケアマネジャーなどにも相談してみてください。


▼看取り介護とは? いま、特養やグループホームに求められる役割
▼バリアフリーな高齢者賃貸も増加 高齢者施設以外の選択肢が増えている?
▼高齢者の一人暮らしへの自治体の支援、どんなものがある?
▼老人ホームとサ高住の違いとは? 安否確認の視点で考える高齢者の住まい
▼最悪は孤独死! コロナ禍で懸念される高齢者の社会的孤立とは

その他のおすすめ記事

  • 徘徊の原因? 見当識障害や実行機能障害って、どんなもの?

  • 後期高齢者が急増! コロナ後に迎える2025年問題

    後期高齢者が急増! コロナ後に迎える2025年問題

見守り支援システム「いまイルモ」

キーワード