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看取り介護とは? いま、特養やグループホームに求められる役割

高齢者一人暮らし

人生の最期はどこで?

これまで人生の最期を迎える場といえば、病院もしくは自宅が一般的でした。現代では、超高齢化・長寿化が続くなか、特別養護老人ホーム(特養)などの介護施設における看取りのニーズが高まっています。2025年以降、高齢者の医療・介護に対する需要が非常に高まることが予想され、これにともない、看取りの場が足りなくなることが懸念されています。多くの人が住みなれた土地で、最期まで自分らしく生きたいと考えている一方、これからは介護施設が終の棲家となるケースが増えていくでしょう。

こうした背景もあるなか、2015年に発表された厚生労働省の調査によると、全国の特養と介護老人保健施設(老健)のうち、およそ7割が看取りを行なっていることがわかりました。いまや特養や老健は、看取りの場としての有力な選択肢になっているといえます。しかし特養は入居希望者が非常に多く、入居そのものがむずかしいことから、その受け皿であるグループホームにも看取り介護が求められるようになり、国の方針転換によって看取りができるグループホームも増加しています。

人生の最後を住み慣れた場所で迎えたいと考える方が多いことを考えればなおさら、地域に根ざした医療との連携を図りながら、利用者が自分らしい最期を迎えられるようサポートすることが、介護の現場に求められているのです。看取り介護とはどのようなものか、医療現場におけるケアとの違いなどについて解説します。

看取りとは、また看取り介護とは

「看取り」は、単に誰かが亡くなる場面に立ち会うことではなく、病気や老衰など回復が見込めないとされた時期(終末期)に、本人の心身の苦痛や負担になるような延命治療をせず、自然に終わりのときを迎えるまでの過程を見守ることです。

また、「看取り介護」は看取りケアとも呼ばれます。その定義について、全国老人福祉施設協議会では、特養における看取り介護を「『看取り』とは近い将来、死が避けられないとされた人に対し、身体的苦痛や精神的苦痛を緩和・軽減するとともに、人生の最期まで尊厳ある生活を支援すること。」(*引用:全国老人福祉施設協議会「看取り介護・説明支援ツール 【平成27年介護報酬改定対応版】」)としています。

つまり看取り介護とは、近い時期に亡くなることがわかっている人を対象に、死の間際までその人らしい穏やかな人生を送るため、できるだけ痛みやつらさを感じさせずに生活の質(QOL)の維持もしくは向上をサポートしていくことです。そして、この看取り介護が行われる主な場所が介護施設や自宅になります。住みなれた土地で最期まで自分らしく暮らすということから、看取り介護には地域に根ざした総合的サービスの側面もあります。

ターミナルケアや緩和ケアとの違い

看取り介護と似た概念で、ターミナルケアや緩和ケアがあります。その違いとして、看取り介護は介護施設や自宅で行われる日常的な介護・介助が中心であるのに対し、ターミナルケアと緩和ケアは医療現場で行われる医療的なケアのことです。

ターミナルケアは、終末期医療とも呼ばれます。終末期とは、病気などからの回復が見込めず数週間から半年ほどで亡くなることが予測される時期のことで、ターミナル期ともいいます。ターミナルケアは、この時期に延命を目的とする治療はせずに心身の苦痛を取り除き、QOLの維持または向上のための処置を行うものです。最期まで患者のQOL向上を目指すことでは看取り介護と共通しますが、大きな違いとしては医療的ケアを施すかどうかです。医師の判断による点滴など、患者の苦痛を和らげるための医療的ケアが中心となります。

また、緩和ケアはがんなどの病気による耐えがたい苦痛を和らげることを主な目的とし、通常、病状の進行具合にかかわらず、病気の治療とともに医療的な手法で施されます。

看取り介護の内容は

医療的ケアとは少し異なる看取り介護ですが、具体的には、次のようなサポートが行われます。

<身体的ケア>
本人の意向を汲み、できるだけ苦痛にならないよう身体の状態にあわせて、入浴(清拭)や排泄の介助、口腔ケア、食事介助(または水分・栄養補給)、床ずれケアなどの日常的な介助をします。

<精神的ケア>
孤独感や不安を減らして穏やかに過ごせるよう、プライバシーを尊重し、コミュニケーションやスキンシップ、安心感のある環境づくりなどを通し、精神面でのサポートを行います。

<家族のサポート>
終末期はいつ亡くなってもおかしくない状況ですから、利用者の家族も不安で落ち着かないものです。家族と密に連絡を取り、本人の意向を伝えるとともに、家族の心情にも寄り添い、亡くなった後には喪失感から立ち直るためのサポートなどもします。

このように日常的な介護が中心になりますが、容体の急変時など必要に応じて医療と連携します。

看取りが施設選びの基準のひとつに

特養などで看取り介護を行うには、1名以上の常勤看護師の設置や病院との24時間連携など、医師により末期であると診断されているなど、一定の条件を満たす必要があります。近年は、特養に加えグループホームや有料老人ホームなどでも看取りに対応できる施設が増えていますが、すべての施設で看取り介護を行なっているわけではありません。また、末期になってから看取り介護のできる施設を探すことは困難です。

このように、介護施設への入居を検討する際は、人生をどこで終えたいか、家族とよく相談しておくことが大切です。その上で、今後は看取りに対応しているかどうかが施設選びのひとつの判断材料となるでしょう。


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