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ヒートショックや転倒は交通事故より怖い? リフォームと高齢者安否確認について考える

安否確認

実は、家の中はこんなにキケン?

事故はいつでもどこででも起こり得ますが、外出のときだけ気をつけていればいいと思っていませんか? 実は、外よりも家の中の方が危険かもしれません。意外なようですが、交通事故よりも家庭内事故で亡くなる人の方が圧倒的に多いのです。

警察庁の統計によると、2019年に交通事故により死亡した人は3215人でしたが、これに対し、厚生労働省の人口動態調査では、同年に1万3800人が家庭内事故で死亡しています。実に、交通事故死の4倍以上もの人が家庭内事故で亡くなっているのですが、この死亡者のうち90%近くを65歳以上の高齢者が占めています。

ここで、死亡につながった家庭内事故の具体的な内訳をみてみましょう。
人口動態調査によると、2019年に起きた家庭内での死亡事故のうち、最も多かったのが、浴槽内あるいは浴槽に転落しての溺死・溺水でした。次いで、不慮の窒息、転倒・転落・墜落になります。また、これらの事故による死亡者数全体に占める高齢者の割合は、それぞれ94%、86%、87%と非常に高くなっています。

このことから、なにも配慮していなければ、高齢者にとって家の中は安全とはいいきれなさそうです。家の中で高齢者が安心して過ごせるようにするには、家庭内事故のリスクを減らす必要があるでしょう。そのためには、事故の原因となるものを知り、住環境を見直すことや安否確認が重要になります。今回はこうしたポイントについて考えます。

家庭内事故の原因を知っておこう

家庭内事故はどのようにして起こるのでしょうか?
死亡につながる家庭内事故で最も多いのが、浴槽での溺死・溺水です。ヒートショックがその原因の多くを占めると考えられています。ヒートショックは突然の温度の変化によって起こる健康被害のこと。例えば、冬場、寒い脱衣室から移動し浴槽の熱いお湯につかったときなど、短時間に極端な寒暖差を経験することで血圧が乱高下し、心筋梗塞など深刻なダメージを及ぼし、失神や突然死を起こすこともあります。
また、不慮の窒息事故の原因は、食べ物を喉につまらせることによるものがほとんどとなっています。
さらに、転倒や転落などの原因ですが、最も多いのが平らな面でのスリップやふらつき、つまずきです。次いで、階段などの段差によるものになりますが、浴室内での転倒は溺死・溺水を招くことがありますし、ヒートショックによるふらつきで転倒したり転落することもあるでしょう。
ヒートショックや転倒などによる浴槽での溺死・溺水と、その他の転倒・転落・墜落は環境的な要因により起きることが多いと思われます。また、浴槽での溺死・溺水と転倒・転落・墜落は家庭内死亡事故の半数以上を占めています。

原因を取り除いて家庭内事故を防ぐには

家庭内事故のリスクを減らすには、その原因をできるだけ取り除くことが必要です。そこで、ヒートショックや転倒・転落などを未然に防ぐことができれば、家庭内事故の大半を減らせるといえないでしょうか。

ヒートショックは温度差が10℃以上あると起こりやすくなるといわれています。したがって、ヒートショックを防ぐには家の中の寒暖差をなくすことが欠かせません。例えば、冬期に廊下やトイレ、脱衣室、浴室などが寒い場合は暖房を設置する、断熱性を高めるなどの対策が必要でしょう。また、転倒や転落を防ぐには、床は段差をなくし、すべりにくい材質のものにし、解消できない段差のある場所には手すりを設置します。
このような住環境の改善には、リフォームが選択肢のひとつとなるでしょう。

*住環境改善のリフォームについてはこちらの記事もご参照ください。
https://www.imairumo.com/anpi/article/20180130a.html

しかし、借家などでリフォームができない場合、以下のような工事不要のプチリフォームでも対応できます。

・廊下、トイレ、脱衣室などには小型の暖房(パネルヒーターやオイルヒーターがおすすめ)を設置する。窓がある場合は断熱シートを貼ったり、断熱性の高いカーテンを設置する。
・すべりやすい床にはすべり止めワックスをかける。ワックスできない場合などはコルクマットを敷く。
・玄関や浴室の出入口、またぎ越しなどには、置くだけタイプやつっぱり式、着脱式の手すりを利用する。こうした工事不要の手すりは福祉用具や介護用品ショップで購入できる。介護保険の対象となる場合もあるので、ケアマネジャーに相談を。

これらに加えて、生活の中でのこのような工夫も有効です。

・窒息事故を防ぐために、もちや固い食品は小さく切って少しずつ食べるようにする。口内(歯)の状態に合わせて、食材を食べやすい柔らかさに調理する。
・浴室内に暖房がない場合、浴槽への給湯はシャワーでするなど、入浴前に浴室全体を暖める。

安否確認もセットで考える

こうした住環境の改善に加えて、忘れてはいけないのが見守りです。特に高齢の家族と離れて暮らしている場合は、バリアフリー住居であっても、何かと心配になることもあるでしょう。そのような方におすすめなのが、ITによる高齢者安否確認システム「いまイルモ」です。

人感や温度、照度などの複合センサーによって見守る「いまイルモ」は工事不要で設置でき、見守る側はいつでもどこからでも見守り対象者の様子をスマホなどで確認できます。温度センサーにより、適切な温度で暖かくして過ごしているかわかりますし、人感センサーに一定時間動きがないときには連絡するといった使い方も可能です。

万一、家庭内事故があってもすぐに発見できれば、早めの通報や受診につながり、重篤な事態を避けられる確率が高まります。そのためにも、いつでも安否確認できる体制があれば安心です。住環境の改善と安否確認のセットで高齢者の家庭内事故を減らしていきましょう。


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