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民生委員の活動とは 孤独死を未然に防ぐ見守りや安否確認の重要性

安否確認

孤独死リスクと地域における見守りの重要性

人と人のつながりが希薄になったといわれる現代、孤独死が増え続けています。特にコロナ禍となったここ2年ほどの間、人との接触を減らすことが求められることから、この傾向がより深刻化したようです。孤独死は法的な定義ではありませんが、一般的に「事件性はないものの、誰にも看取られることなく屋内で死亡したあとにみつかる」ケースをいいます。

また、全国的な統計はありませんが、大阪府警によると2019年に府下で起きた約3千件の孤独死の事例のうち、70パーセント以上が高齢者でした。高齢化が進み、高齢者だけ、また単身高齢者のみの世帯も増加し続けています。人間関係が希薄になることで孤独死が増えれば、高齢者の孤独死リスクも高まることになります。

そこで、孤独死リスクをなくすために重要となるのが地域での孤立を防ぐことですが、そのためには見守りや安否確認が欠かせません。官民によるさまざまな見守り活動が行われていますが、地域に根ざした活動ということでは、民生委員の存在がいま、あらためて注目されています。見守りや安否確認について、ITによるソリューションの活用が進む一方で、官民問わず「人の力」「コミュニケーションの力」が果たす役割の重要性が改めて問われています。地域の見守りにおける民生委員の役割と活動とは、いったいどのようなものなのでしょうか。

民生委員制度の歴史と目的

民生委員はわが国に古くからある制度で、その名称を聞いたことがある人も多いでしょう。しかし、実際の役割などについてはあまりよく知られていないようです。簡単に民生委員制度の歴史と目的について説明しておきましょう。

この制度は実は100年を超える長い歴史があり、その大元となる制度の発祥は大正6(1917)年にさかのぼります。当時は済世顧問制度(さいせいこもんせいど)という名称で、貧困による社会的な悲劇をなくし、社会基盤を固めることなどを目的に岡山県でスタートしました。済世顧問とは、困窮者の自立支援をする人のことで、地域のすぐれた人材に委託されました。

この制度は昭和初期には全国に普及するようになり、昭和11(1936)年に方面委員制度の名称で国の制度として法制化されます。その後、昭和21(1946)年、生活保護法と同時に民生委員令が制定され、民生委員制度となりました。これ以前の制度では、委員の役割は生活困窮者の支援が主でしたが、民生委員は、それだけでなく広く国民の生活全般の相談に応じています。

民生委員って、どんな人? その役割と活動

民生委員は、厚生労働大臣の委嘱を受けた非常勤の地方公務員になり、児童福祉法による児童委員も兼ねますが、報酬はなくボランティアで活動しています。民生委員の目的や役割は、名称にもあらわされています。ここでいう「民生」は「国民の生活、生計」のことで、民生委員とは、その改善や向上を受け持つ委員です。

民生委員は、みずからも地域コミュニテイの一員として地域福祉を担い、役所、警察・消防、地域包括支援センター、町内会などと連携しながら、それぞれの担当地域で活動しています。その活動とは、住民の生活のいろいろな課題やニーズの相談に応じ、行政や適切なサービスにつながるよう支援することです。地域での孤立を防ぐために、高齢者などの世帯の見守りも民生委員の大切な役割です。見守りや声かけのために高齢者や障害者などの世帯への訪問や電話連絡もよく行われています。

民生委員は、法律で定められた要件を満たした上で、公正な選考など各種の手続きを経て委嘱されます。民生委員制度は全国で一律のもので、市町村ごとに一定の世帯数に応じ委員の人数(定数)が決められており、例えば、人口10万人以上の中核市では170?360世帯に1人の民生委員がいることになります。

民生委員に相談するには

こうしたことから、民生委員は地域に根ざした、私たちに身近な福祉の担い手といえるでしょう。離れて暮らす高齢の家族の見守りや安否確認について不安がある場合は、その家族が暮らす地元の民生委員に相談するのも有効な選択肢です。家族の見守りについては家庭の事情にかかわることもあり、相談するのがためらわれるかもしれませんが、民生委員には守秘義務が課せられているので、プライバシーが漏れることはありません。

家族がいる地域を担当している民生委員がわからない場合は、その市町村の役所の福祉(担当)課に聞けば教えてもらえます。役所では包括支援センターなどの機関を紹介されることもありますが、あわせて地域の民生委員も知っておくことをおすすめします。地域のどのような機関と民生委員が連携しての見守りをするのか、また、その連携の中の人を一人でも多く知っておけば、緊急時の連絡もつきやすくなにかと安心です。

IT見守りと組み合わせればさらに安心

離れて暮らす高齢の家族がいる場合、民生委員をはじめとする以上のような地域の見守りネットワークを知っておくことがとても大切になるでしょう。これに加えて、大事なご家族のためにITによる見守りシステムを導入すれば、さらに安心です。

例えば、複合センサーで見守る「いまイルモ」は工事不要で設置でき、見守る側はインターネットを介しスマホやパソコンから、いつでもどこからでも対象者を見守ることができます。「いまイルモ」を通して何か異常に気付けば、民生委員に連絡をし、見守り対象者の元に駆けつけてもらうといった使い方も可能です。地域の人的ネットワークとIT製品を組み合わせれば、より安心で効率のよい見守り体制をつくれます。



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見守り支援システム「いまイルモ」

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