高齢者のブレイクスルー感染に注意! ワクチン接種後も面会や帰省に不安?
安否確認
安心して離れて暮らす家族と会えるのは、いつ?
長引くコロナ禍のもと2度目の夏が過ぎようとしています。人との接触を減らすことが新型コロナウイルス感染を防ぐ有効な手段とされていることから、施設に入居している高齢の親御さんとなかなか面会ができない、昨年から一度も実家に帰省していない、といった人も少なくないでしょう。
希望するほとんどの高齢者がコロナワクチン接種を完了し、ひと安心と思いたいところでしたが、ここへきて、感染力の強い新種のデルタ株による感染が急拡大し、緊急事態宣言の期間延長や対象地域の拡大が決まりました。加えて、ワクチン接種を済ませているのに感染するブレイクスルー感染への不安もあります。
こうしたことから、高齢者施設などでは面会の制限が続き、また都道府県を越えて不要不急の移動の自粛も求められます。予断を許さない状況が続くなか、いつになれば安心して離れて暮らす家族と会えるようになるのか、加えていま一度、高齢家族の安否確認について考えます。
ワクチン接種が進んでいるのに、感染が急拡大
今年6月終わりに新型コロナウイルス感染流行の第4波がいったん収まりを見せたものの、7月上旬には感染流行第5波への警戒から東京都を対象に4度目の緊急事態宣言が発出されました。その後東京都では、7月に入って今までの10倍を超える勢いで感染の数が拡大し、さらには全国に広がっています。特に重症者の増加により医療体制が非常に厳しい状況にあります。
一方で、65歳以上の高齢者の80パーセントを超える人たちがワクチン接種を完了し、成人全体での接種完了率も40パーセント近くにのぼっています。当初遅れているといわれていたものの、現在では、わが国の接種事業は諸外国に引けを取らないペースで進んでいます。それにもかかわらず、爆発的に感染者が増えているのはどうしてなのでしょうか?
その主な理由といえるのが、流行しているウイルスが変異型のデルタ株に置き換わっていることと、ひとえにその感染力の強さです。国内外の研究によると、デルタ株の感染力は従来型の2倍、他の変異型であるアルファ株の1.5倍程度といわれています。従来株であれば、1人の感染者が1.5人から3.5人にウイルスを移す可能性があったのですが、デルタ株の場合はそれが5人から9人に及ぶということも報告されました。
また、従来株に比べるとデルタ株は、感染者の体内におけるウイルス量が1200倍多いとされ、感染すると若い世代でも重症化の恐れが高くなっています。
デルタ株によるブレイクスルー感染の脅威
さらに気になるのが、ワクチン未接種の人だけでなく接種を済ませた人でも感染を拡大させてしまう可能性があるということです。ワクチン接種をしたのに感染してしまうことはブレイクスルー感染と呼ばれます。厚生労働省の今年7月のデータでは、65歳以上の高齢者でブレイクスルー感染した人の割合は0.0024%と非常に低いものでした。
しかしながら、アメリカの疾病対策センターによると、デルタ株によるブレイクスルー感染の場合、体内のウイルス量は未接種で感染した場合とあまり変わらないことがわかりました。ワクチン接種をしていてもデルタ株に感染すると、接種をせずに感染した人と同様にウイルスを広めてしまうということです。また、ブレイクスルー感染が今後増加するという予測もあり、このことからも、接種後も感染対策は非常に大切だといえるでしょう。
とはいえ、ワクチンに効果がないわけではありません。アメリカの研究によると、感染そのもののリスクを抑える効果については、モデルナ製ワクチンが76%、ファイザー製ワクチンが42%ですが、入院を予防する効果はそれぞれ81%と75%となっています。さらに、直近の東京都の重症者を年代別にみると、ワクチン接種があまり進んでいない40代と50代の人がほとんどです。7月ごろまでは高齢者が重症者の多くを占めていましたが、現状低い水準に抑えられているのはワクチン接種によるものと考えられます。
したがって、ワクチン接種がすべての世代に広がれば、重症者数は減り、医療の逼迫も緩和されると思われ、あわせて感染初期に効果的に投与できる薬の実用化も待たれるところです。それまでは接種済みかどうかにかかわらず、人との接触を避け感染を抑えていくことが何よりも大事です。
人的な見守りが限られるいま、検討したいモノ
このような状況の中、緊急事態宣言が延長、対象地域も拡大され、宣言の対象地域では緊急やむを得ない場合を除き、県境を越えての移動や高齢者施設などでの面会の制限が要請されます。施設によっては、オンライン面会やガラス越しの面会といった工夫をしているケースもあるようですが、ここで心配になるのが、離れて暮らす高齢の家族が在宅で一人暮らし、あるいは高齢者だけの世帯での安否確認ではないでしょうか。
ときどき電話やスマホなどで連絡を取り合えても、人的な直接の安否確認がどうしてもむずかしい今、日常的な見守りをどうすればいいか悩ましいものがあります。こうした状況下では、異なる都道府県に住んでいる場合は会いに行けませんし、近隣の知り合いなどに安否確認をお願いするわけにもいきません。
そこで、検討したいのがITによる見守りシステムの活用です。見守りシステム「いまイルモ」は特別な工事なしに簡単に設置でき、人感や温度、湿度などに反応する複合センサーが離れて暮らす高齢者の様子を24時間見守ります。カメラではなくセンサーによる見守りですから、見守られる側のプライバシーにも配慮でき、見守る側はいつでもどこからでもスマホやタブレットでセンサーのデータを確認できます。
家族と会いたくても会えないもどかしい状況が続きますが、感染対策を続けることがコロナ禍の収束につながります。高齢家族の見守りについては、IT製品を取り入れるなどして、非接触でできることをやっていきましょう。
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