関連ワード

緊急事態宣言で暮らしはどうなる!ワクチン接種でゲームチェンジできるか?

高齢者問題

またも緊急事態宣言、ワクチンの動向は

コロナ禍が続くなか、2度目の夏を迎えています。またも感染者数が増加傾向に転じたことから、世界的スポーツ大会の開催と並行するような日程で、東京都で4度目の緊急事態宣言発出となりました。沖縄県でもすでに発出中の宣言が延長され、8月22日まで東京都と沖縄県は緊急事態宣言下にあります。加えて、大阪、神奈川、埼玉、千葉の4府県に出ていたまん延防止等重点措置も同日までの延長となりました。

ワクチン接種により希望が見えてきたものの、新型コロナウイルスとの戦いは一進一退の攻防が続いているように思えます。予想以上の速さでワクチン接種が進んでいますが、「ブレークスルー感染」への一抹の不安が浮上しました。また、ここへきて地方自治体へのワクチン供給体制に関する懸念が指摘されています。

くり返される緊急事態宣言で暮らしはどうなるのか気になるところです。その一方、新型コロナウイルスとの戦いにおけるゲームチェンジャーとしてワクチンには大きな期待が寄せられています。いつになれば安心して暮らせるようになるのか、高齢者世代の視点からコロナ対策の現状を考えます。

ワクチン接種をしたら、どれくらい安心?

医療従事者に続き、65歳以上の高齢者へのコロナワクチン接種は全国各地で4月から始まりました。報道などによると、2回の接種によりワクチン接種を完了した高齢者の割合は、7月20日時点で62.07%となっています。また、総務省と厚生労働省は、7月末までに全国の希望する高齢者すべてがワクチン接種完了できる見込みであると発表しました。

この夏には、日本中のほとんどの高齢者がワクチン接種を完了できるということです。コロナワクチンには新型コロナウイルスの感染を抑え、また感染しても重症化を防ぐ高い効果が期待できるといわれています。これで、高齢者はひと安心と思いたいところですが、最近、日本に先がけ接種が進んでいるアメリカから少し心配な情報が伝えられました。

それは、ワクチン接種を済ませたにもかかわらず感染してしまう「ブレークスルー感染」に関するものです。わが国で導入されているファイザー社製とモデルナ社製のワクチンは、2回の接種から2週間ほど経過するとじゅうぶんな免疫が得られるとされます。アメリカの疾病対策センター(CDC)では、この接種完了後から14日目を過ぎてから陽性の判定を受けたケースをブレークスルー感染としています。

ブレークスルー感染による重症化は稀だが

CDCの統計によると、7月12日現在、ブレークスルー感染により入院または死亡にいたったケースはおよそ1億6000万人のうち5492人とごくわずかで、ブレークスルー感染の場合ほとんどが無症状か軽症と推測されます。

特に新型の“デルタ株”がブレークスルー感染を引き起こしやすいという研究結果があるようです。テキサス州ヒューストンで新規感染者3900人を調べたところ、デルタ型に感染した人の2割が、既にワクチン接種を完了した人でした。

なお、ワクチンには感染しても重症化を防ぐ働きがあるため、無症状や軽症の感染者を把握するのは非常に困難です。そのためブレークスルー感染者の総数は不明とのことですが、7月18日の報道によると、コロナ感染による死者の99.5%はワクチン未接種の人たちでした。 なお発症予防効果は、ファイザー社製ワクチンで95%、モデルナ社製は94%であることから、接種後の自身の感染・発症についてはそれほど心配する必要はないかもしれません。

しかしながら発症の予防は“感染しても症状が出ないようにするもの”ですから、気づかないうちにワクチン未接種の人にウイルスを移してしまうこともあり得ます。日本全体でみると、まだ70%以上の人が接種を完了していません。こうしたことを考えると、接種完了後もマスクの着用、不要不急の外出を控える、3密を避けるなどの感染対策を引き続き行なっていく必要があります。

国はワクチン供給体制の改善を目指す

すべての世代でのワクチン接種が進めば、もう少し安心できそうです。日本政府は、感染状況が改善すれば、前倒しで緊急事態宣言解除の可能性もあることを示していますが、改善の要因としてワクチンの効果によるものが大きいと考えられます。ところが、現在、接種事業の主体者である各地の市区町村でワクチン接種の新規予約を一時休止する事態が次々に起こっています。接種のペースが速く進み、国によるワクチン供給が追いつかないのがその理由です。

自治体の努力により当初の予想を超え接種回数が増えていることは大きな恩恵ですが、必要な時と場所に必要な数のワクチンが届かなければ、接種事業そのものが停滞し、国民の混乱を招く恐れがあります。そこで、政府は、各都道府県に調整枠をつくり柔軟にワクチンを配分する、自治体間でワクチンを譲りあえるようにするなどの仕組みづくりを進め、ワクチン輸入を早めようとしています。

ワクチンが最大の防御だが、感染対策も忘れずに

今回の緊急事態宣言とまん延防止等重点措置は感染流行の第4波に対するものです。これらの宣言や措置が解除されたあと、流行の第5波が来ることが予測され、それによる医療体制の逼迫の不安もあります。今後、新型コロナ感染により重症化するのは主にワクチン未接種の人たちと考えられます。医療体制が逼迫すると、新型コロナ感染症以外の患者への医療にも影響し、特に持病を持つ人が多い高齢世代への影響は少なくないでしょう。

感染拡大の最も有効な防御は国民全体のワクチン接種率を早急に上げることだといわれています。緊急事態宣言がくり返される度に不自由な生活を強いられるわけですが、今回が最後の宣言になるようワクチン接種が滞りなく進むことを祈りたいところです。一方、ワクチン接種を済ませた世代は引き続き感染対策を行うことで、感染拡大の防止に貢献できます。ワクチンの動向を見守りながら、感染対策を続けていきましょう。


▼高齢者のブレイクスルー感染に注意!面会や帰省に不安?
▼コロナ禍での災害から高齢者を守る 避難時の感染対策を忘れずに
▼これは認知症なのか? 噂のコロナ後遺症「ブレインフォグ」とは
▼緊急事態宣言ふたたび発令!コロナ変異種にも要注意
▼改正予防接種法が成立、日本でのコロナワクチン接種開始は?
▼バイデン大統領誕生で気になるコロナワクチン開発の動向は
▼新型コロナとインフルエンザの同時流行? 高齢者は予防接種が必須!
▼ヒートショックや新型コロナ感染症 冬に備えて高齢者安否確認
▼新型コロナのマスクで皮膚トラブル増加!高齢者は注意?
▼ニューノーマルって何? コロナ後に変わる高齢者の生活
▼コロナと熱中症! 初期症状が似ているってホント?
▼コロナとひきこもる高齢者一人暮らし ささやかれるフレイルへの心配

その他のおすすめ記事

  • 高齢者問題にどんな影響がある?「新しい生活様式」とは

  • 進むコロナ対策!コロナワクチン接種とマイナンバーカードが連動

    進むコロナ対策!コロナワクチン接種とマイナンバーカードが連動

見守り支援システム「いまイルモ」

キーワード