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高齢者問題にどんな影響がある?「新しい生活様式」とは

高齢者問題

新しい生活様式で高齢者の生活はどう変わる?

ひとまず収束しつつある新型コロナウィルスの流行ですが、ワクチンや特効薬の開発にはまだしばらくの時間がかかるとみられます。
そのため、当面の間はウィルスの存在を前提として、感染対策をしながら、生活をしていかなければなりません。その指標となるのが、厚生労働省が発表した「新しい生活様式」です。

新しい生活様式は、外出は控えめにし、人との間隔は最低1m空ける(ソーシャルディスタンスの確保)、マスクの着用、手洗い・手指の消毒、体調管理の徹底などを基本とします。新型ウィルス以前とは異なる生活スタイルとなるわけですが、趣味やボランティアなどの活動を減らしたというアクティブシニアも少なくないのではないでしょうか。また、感染予防のためにひきこもりがちになることで、高齢者の場合は認知機能や身体機能が低下するフレイルを引き起こす恐れがあり、新しい生活様式においては、このような高齢者問題が起きることも懸念されます。

とはいえ、高齢者が新型ウィルスに感染すると重症化しやすいことがわかっており、継続的な感染予防の対策も欠かせません。新しい生活様式のなかで高齢者が心身ともに健康に暮らしていくためのヒントについて考えます。

ひきこもりがまねく高齢者問題

新しい生活様式では、外食や買物、レジャーなどでの外出の回数は少なめに、また混雑時の公共交通機関の利用は避けることが求められます。
人混みを避けるという意味でも、外出の機会を減らせばウィルス感染の可能性も減らせますが、運動量が減ることでフレイルという高齢者問題をまねく恐れがあります。

フレイルとは、加齢などが原因で心身の機能が低下し、要介護状態に限りなく近づいた状態のことです。
運動量が減れば食欲も減って低栄養となることがありますが、この状態が続けば体重や筋肉量が低下し、持病が悪化したり、転倒しやすくなり、骨折や寝たきりになるリスクが高まります。
こうした進行のしかたをフレイル・サイクルといいます。
この状態におちいらないようにするには、バランスのよい食事、適度な運動を続ける、持病の治療などに加え、精神的な健康(認知機能)を保つ上では社会との関わりも重要になります。

そのため、ウィルス感染を恐れて、日課にしていた散歩をやめる、買物にも行かないというのは、フレイル予防の観点からは好ましくありません。
例えば、高齢者の場合、1日1回くらいの頻度で外出し、1日あたり4000歩以上を目安に歩くことで筋力の低下を予防できるといわれています。栄養バランスのよい食事をつくるために、近くのスーパーや商店街に歩いて行き食材を買いそろえれば、適度な運動に加え、認知機能へのよい刺激にもなります。もちろん、ウォーキングやラジオ体操なども有効です。

人混みを避けて外出する工夫とは

このような日常的な活動がフレイル予防のカギになるわけですが、新しい生活様式のなかでは外出が制限されがちなため、何らかの工夫が必要です。
そのひとつが人混みを避けることです。商業施設や軽い運動ができる公園など、空いている時間帯に利用すれば感染リスクを抑えられます。

とはいえ、どのようにして混雑状況を知ればいいのでしょうか?
商業施設や鉄道会社などで混雑状況を知らせる専用アプリを提供するケースが増えていますが、高齢者ではIT機器の操作に慣れていない、アプリをダウンロードするのがわずらわしいという人も多いかもしれません。そんな場合、グーグル検索を利用する方法があります。

その利用方法はとてもシンプルです。パソコンやスマートフォンのブラウザからグーグルの検索ページを開き、検索窓に利用したい施設名(例「〇〇スーパー 〇〇店」、「〇〇公園」など)を入力すると、検索結果とともにグーグルによる概要ページが表示されます(通常、パソコンでは画面の右側、スマホでは画面上部)。
この概要ページ上で「訪問数の多い時間帯」が見られます。鉄道の駅名で検索すると、その駅の混雑する時間帯がわかるので、鉄道の混み具合の目安になります。
*施設によっては検索できない場合があります。

最近では検索窓にマイクのカタチをしたボタンがついていて、これを押せば、スマートフォンに話しかけるだけで入力ができるようになっています。スマートフォンや検索も進化しているので、ぜひ使ってみることをお勧めします。

こうして空いている時間をチェックしたら、マスク着用の上、一時間を目安に出かけしましょう。帰宅後は手洗い、うがいを忘れずに。

日常生活のなかで運動する工夫を

これに加え、家の中でも日常的に体を動かす工夫をしましょう。ラジオやテレビの体操番組を見ながら行うのもいいですし、次のような方法もあります。

・ふだんの家事も運動になります。意識してそれぞれの動作を大きくしましょう。

・いすに座る

・いすから立ち上がるという日常的な動作を応用してスクワットができます。
その方法は、まず、イスに座り両足は肩幅より少し広めに開きます。次に、手のひらを下向きに両腕を前に伸ばし、ゆっくりと息を吐きながら、上半身をやや前傾させて立ち上がり、立ち上がったら全身を伸ばします。そのあと、ゆっくり息を吸いながら腰を下ろします。
これを1セットとして、1日10〜15回程度行います(*イスはいつも使っているものでいいですが、高すぎず低すぎないものを使用し、上半身が傾きすぎないよう注意してください)。

・かかと落としもいつでも簡単にできます。背のびする要領でかかとを上げて落とすだけ。10回を1セットとし、いつでもできるときに行いましょう。

工夫すれば日常生活でのいろんなことが運動になります。これを機会に生活を見直し、新しい生活様式にあわせた健康ライフを目指しましょう。ただし、いずれも無理のない範囲で行ってください。

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