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これは認知症なのか? 噂のコロナ後遺症「ブレインフォグ」とは

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新型コロナウイルス感染で認知機能障害?

全国でコロナワクチンの接種が始まり数ヶ月が経ちました。
高齢者への接種率が好調に推移し、他の世代への接種も拡大していく見込みです。2年にわたるコロナ禍で明るい兆しが見えてきたところですが、まだ油断はできません。
ワクチン接種をすれば100パーセント感染しなくなるわけではなく、国全体で接種が進んでもしばらくは感染対策を続けていく必要があるといわれています。

そのようななか、新型コロナウイルス感染後の後遺症についてのあるデータが注目を集めています。
新型コロナ感染症からの回復後に「ブレインフォグ」と呼ばれる認知症のような症状などに悩む人がいることが、国内外でわかりました。
これまで、新型コロナウイルスは急性期には呼吸器系に障害を起こし、回復後に嗅覚や味覚障害、脱毛などの後遺症の出現がこれまでにも確認されていました。

これに加えて、脳神経といった他の器官にも長期的なダメージを与える可能性があるというのです。
また、こうした後遺症状は感染したときの重症度にかかわらず出現しているようです。
認知機能に障害があると、生活の質は低下しますし、生活上の深刻な問題が起きることも考えられます。特に高齢世代は避けたいところです。

今回は、ブレインフォグとはどのようなものか、また、コロナウイルスとの関連などについてお伝えします。

ブレインフォグとは、どんな状態?

ブレインフォグ(Brain Fog)という言葉は日本語に直訳すると「脳の霧」という意味ですが、実は、正式な医学用語ではありません。
近年、臨床現場などで「頭の中に霧がかかったようにはっきりせず、集中力や記憶力、思考力などが低下した状態」といった意味合いで使われています。ブレインフォグには、次のような症状が含まれます。

・集中したいのに頭がぼうっとして、できない
・考えごとをしているのに他の情報が気になる
・人の話が聞けない
・複数の作業を同時にこなすこと(マルチタスク)が困難になった
・話の途中で適切な単語が出てこない
・仕事や家事に取りかかるのに時間がかかる

こうしてみると、認知症一歩手前の軽度認知障害(MCI)に共通するものが多く、ブレインフォグは新型コロナ以前から存在する症状でした。
これらの症状は何らかの原因により脳が疲労した状態によるものですが、その原因はさまざまです。
ストレスや睡眠不足などによる疲労の蓄積、栄養の偏りや運動不足など生活習慣の乱れや、脳の神経細胞の炎症などによって引き起こされるとみられています。

ブレインフォグは、また、慢性疲労症候群(CFS)でもよくあらわれます。
慢性疲労症候群は、筋痛性脊髄炎(ME)とも呼ばれ、通勤・通学、買い物など、日常的な活動をした後に全身の極端な疲れを感じ、記憶障害、集中力の低下、睡眠障害などが起きる病気です。

気になる新型コロナウイルスとブレインフォグの関係

コロナ禍のいま、このブレインフォグが新型コロナ感染症の後遺症のひとつとして報告されています。
では、どの程度の頻度でブレインフォグが起きるのでしょうか?
中国の統計によると、新型コロナ感染症の治療後、退院した1773人のうちおよそ80%の人がなんらかの後遺症を抱えており、60%以上の人が6カ月以降もCFSに通じる筋力の低下や倦怠感を訴えています。
これは、かなり高い割合といえるでしょう。

また、後遺症についてのアメリカにおける最新の研究結果では、新型コロナに感染した軽症者で6週間以上にわたり何らかの症状が続いている100人のうち、81%が集中力や記憶力の低下を訴えています。
日本でも、新型コロナ後遺症の専門外来に通う患者の83.2%が思考力の低下を感じているということです。

新型コロナ感染によりブレインフォグが起きるメカニズムについては、ウイルス感染により脳に炎症が起き、神経細胞へのダメージとなることが考えられます。
とはいえ、免疫異常など複合的な要因もあり、詳しい因果関係はまだ解明されていません。
さらに、いまのところ確立した治療法もなく、患者一人ひとりにあわせたアプローチが必要ということです。

加えて、やっかいなことに、CFSの他の症状である倦怠感などとともに、ブレインフォグの症状が患者本人や周囲の人にもわかりづらいということがあります。
例えば、なんとなくだるい、集中しづらいといった症状は、患者本人も気のせいと思い込んでいることもありますし、そもそも本人以外にはわかりにくいものです。
しかしながら、このような症状が続けば、日常生活へ深刻な支障をきたす恐れがあります。

そのため、新型コロナウイルスに感染した後、以上のような症状を感じたら、早めに受診し後遺症の治療を受けるべきです。
一方、新型コロナウイルス感染症についてはまだわからないことも多く、今後の臨床や研究データを追っていく必要があります。
それとともに、後遺症に悩む人たちへの早急なサポート体制づくりが待たれます。

何よりも感染しないことが大事

新型コロナによる後遺症の発症率の高さに驚いた人も多いのではないでしょうか?
また、後遺症の多くを認知機能障害であるブレインフォグが占めています。
今後も感染流行が続けば、近い将来、認知症患者が急増するといわれています。
そのような事態を避けるには、何よりも感染を防ぐことが大切です。
気を緩めずに感染対策を行なっていきましょう。


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