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パンデミックとは? コロナウィルスで高齢者が危険に

高齢者一人暮らし

流行が広がる新型コロナウィルス

世界じゅうで新型コロナウィルスの感染が拡大しています。
これにともない、世界保健機関(WHO)がパンデミック宣言を行いました。
この新型ウィルスは、2003年に香港を中心にSARS(重症急性呼吸器症候群)の大流行を引き起こしたウィルスの1種だと考えられています。
感染力は強いものの、致死率はSARSを起こしたものよりもかなり低いとみられる一方で、高齢者や基礎疾患のある人が感染した場合、重症化するリスクが高いことが指摘されています。

高齢者には基礎疾患を持つ人も多く、不安を抱える高齢者本人やその家族も多いのではないでしょうか?
日本でも国や自治体、企業などにより、学校の休校、イベントの開催延期・中止など、感染の拡大を抑える取り組みも行われています。

そもそも、パンデミックとはどのような状態なのでしょうか?
また、リスクが高いとされる人たちの感染を防ぎ、また万一感染しても軽症で済ませるためには、どのようなことに気をつければいいのでしょう?

そもそもパンデミックって、どんな状態?

まずは、パンデミック(pandemic)の意味するところを知っておきましょう。
日本語にすると「感染爆発」と訳されることもありますが、これは、国全体や世界の複数の地域といった非常に広い範囲で、伝染病や感染症が同時に大流行し、おびただしい数の患者や感染者が出現する状態をいいます。

これまでもWHOでは、パンデミックをインフルエンザのみを対象にしてきましたが、WHOがパンデミック宣言をするのは、2009年の新型インフルエンザ以来のことです。
また、WHOは病気の流行の規模ごとに、次のような6つの段階(フェーズ)を設け警戒をうながすようにしています。

フェーズ1:ヒトへ感染する動物のインフルエンザウィルスが確認されていない。
フェーズ2:ヒトへ感染しパンデミックを引き起こす可能性のある動物のインフルエンザウィルスが確認されている。
フェーズ3:新型のウィルスが散発的または小さな範囲にヒト感染を起こしているが、コミュニティレベルでの持続的なヒトからヒトへの感染は起きていない。
フェーズ4:コミュニティレベルでの流行が持続できる新型ウィルスによるヒトからヒトへの感染が確認されている。
フェーズ5:WHOの1つの地域に属する2カ国以上で、フェーズ4のウィルスによるコミュニティレベルでの感染が続いている。
フェーズ6:フェーズ5の条件に加え、WHOの別の地域の1カ国以上で、同じウィルスによるコミュニティレベルでの感染が続いている。

フェーズの数字が大きくなるほど、感染が拡大、深刻化します。
WHOの宣言そのものには法的な効力はないものの、各国による具体的な感染対策をうながす狙いがあります。

高齢者は高リスクといわれるけど

世界的に深刻なフェーズにあるなか、誰もが新型コロナウィルスに感染する可能性があります。
特に、高齢者や持病のある人が感染すると重症化するリスクが高いといわれていますが、実際のところはどうなのでしょう?

厚生労働省の資料によると、2020年2月24日までの中国での新型コロナウィルス感染による全体の致死率は2.3%でした。これを年齢別にみると、50歳から59歳の致死率が1.3%、60歳から69歳が3.6%、70歳から79歳が8%、80歳以上が14.8%となっており、高齢になるほど死亡リスクが高まっています。
しかしながら、中国疾病対策センターが発表した報告書では、若年層と高齢者層の感染割合には大きな違いがないことがわかりました。
このことから、重症化リスクは、年齢よりも、むしろ基礎疾患が関係するのではないかと考えられます。
また、病気の種類によっても、感染した場合の致死率が異なることも次の通り報告されています。

<基礎疾患ごとの新型コロナウィルス感染症致死率>
心血管疾患 10.5%
糖尿病 7.3%
慢性呼吸器疾患 6.3%
高血圧 6%
がん 5.6%

基礎疾患のコントロールがリスクを減らす

若者と高齢者では感染しやすさがそれほど違わないとはいえ、高齢者にはこうした基礎疾患を抱える人が多いため、新型コロナウィルスから高齢者を守るには、やはり感染を防ぐことが何よりです。本人はもちろん、同居の家族がいる場合はウィルスを家に持ち帰らないようにするのが基本です。
以前からいわれている手洗い、人混みを避けるなどの基本的な対策を続けましょう。
また、国内のこれまでの感染状況をもとに、この3つの条件が重なると感染しやすいことがわかってきました。

・換気の良くない密閉された空間
・たくさんの人が密集
・近い距離で会話したり、大声を出す

これらの条件が重なるような場所や状況を避けることが感染予防の重要な対策になります。
さらに、持病のある人の感染そのものと万一感染した場合の重症化を避けるためには、きちんと治療を受け、持病のコントロールをしておくことがなによりも効果的です。
例えば、血糖値が高くなっている糖尿病の人は、抵抗力となる白血球の働きが低下し、感染や重症化のリスクが高まることがあります。
しかし、治療により適切に血糖値がコントロールできていれば、通常の健康な人と比べてもあまり差がないくらいにリスクを減らせます。
決して自分の判断で薬をやめたりせずに、きちんと治療を続けていきましょう。
生活習慣病などの診断を受けながら、治療をしていない場合は、この機会に治療を始めてはいかがでしょうか?

高齢者ならびに以上のような基礎疾患のある人、透析を受けている人などで、新型コロナウィルス感染を疑うような症状がある場合は、早めに主治医や全国の新型コロナ受診相談窓口(帰国者・接触者電話相談センター)に相談してください。
*連絡先や症状の目安については、厚生労働省のホームページをご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/covid19-kikokusyasessyokusya.html

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