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高齢者と花粉症の季節 鼻炎をこじらせると認知症につながるかも?

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高齢者の鼻炎が認知症と関係する?

ここ数年、暖冬傾向のため春が早く来るようになり、花粉症シーズンも早まっています。
昨今では、多くの人が花粉症を患っているといわれていますが、2016年に東京都が行った調査によると、東京都内(島しょ部を除く)在住の実に5割近くの人が花粉症と推定されることがわかりました。
年代別のスギ花粉症の推定有病率を見ると、10代から30代の有病率が60パーセント前後と高いものの、60歳以上でも約40パーセントの人がスギ花粉症とみられます。

年代を問わず、非常にたくさんの人が花粉症に悩まされているようですが、鼻炎や目のかゆみなどの症状を感じている人のうち受診している人は40パーセント足らずでした。花粉症の症状があっても、大半の人が市販薬を飲むなどのセルフケアをしたり、あるいは何も対策をしていないことになります。日常生活に支障がなければ、そのような対処でも問題ないかもしれません。

しかしながら、高齢者の花粉症では少し事情が異なるようです。
というのも、高齢世代特有の鼻の病気があり、花粉症の症状とよく似ているのです。また、認知症の初期症状が嗅覚の異常となってあらわれることもあります。
高齢になってからの鼻の症状を花粉症と自己判断してセルフケアで済ませていると、重大な病気のサインを見逃してしまうかもしれません。高齢者にとって、気になる鼻の病気について知っておきましょう。

花粉症とまぎらわしい? 高齢者に多い鼻の病気

花粉症の症状とされる鼻づまりやくしゃみ、鼻水は、アレルギー性鼻炎によるものです。
アレルギー性鼻炎は鼻の粘膜がアレルギーの原因物質(アレルゲン)に反応して起きますが、花粉がアレルゲンとなるのが花粉症です。花粉以外にもハウスダストなどによるアレルギー性鼻炎もあります。花粉症の鼻炎の症状には、主にこのような特徴があります。

・鼻がつまる
・無色透明のサラサラした鼻水
・連続してくしゃみが出る
・朝方(寝起き)に症状が出やすい

春にこのような症状があれば、まず花粉症と思う人は多いと思います。高齢者でいつまでも症状が長引く、薬がよく効かないといったときは、他の病気を疑った方がいいかもしれません。ここで、高齢者に多いとされる鼻の病気を紹介します。

<老人性鼻漏>
花粉症とまぎらわしい病気のひとつで、サラサラした透明の鼻水が出ます。花粉症の鼻炎が花粉というアレルゲンに反応して起こるのに対し、この老人性鼻漏は加齢による鼻の粘膜の変化が原因となって起こります。鼻粘膜には吸い込んだ空気(吸気)を温めて加湿したり、肺から出る暖かく湿り気のある空気(呼気)を冷やして再吸収する機能があります。歳をとることで、こうした粘膜の働きが低下し、鼻の中の呼気に含まれる水分が鼻水となってしまうのです。また、鼻水以外にくしゃみなどの症状はみられず、刺激物を食べたときや朝方に鼻水が出やすいといった特徴があります。
このように老人性鼻漏の原因はアレルギー性鼻炎とは異なるので、鼻炎薬はほとんど効果がないといわれています。治療としては、鼻粘膜を温めることが基本になります。

<血管運動性鼻炎>
急激な気温の変化によって起こる鼻炎で、寒暖差アレルギーとも呼ばれます。
くしゃみ、鼻づまり、サラサラした透明な鼻水が主な症状ですが、不眠や食欲不振などをともなうこともあります。鼻水の分泌は自律神経によって調節されますが、自律神経のバランスが乱れることでこのタイプの鼻炎が起きると考えられています。気温差が7度以上になると症状が出やすく、自律神経の働きが低下した高齢者に多くみられます。症状の特徴として、暖かい室内から出て冷たい外気に触れたときや朝方に大量の鼻水が出るといったことがあげられますが、特に高齢者の場合は、温かい食べ物を食べていると大量に鼻水が出ることがあるようです。
対処法としては、アレルギー性鼻炎に対するものと同様の治療に加え、日常生活の中でストレスを溜めず自律神経を整える、体を暖めることも大切になります。

嗅覚障害を起こさないことが大事

鼻炎につきものの鼻づまりや鼻水などの症状は嗅覚に影響します。
嗅覚は加齢により少しずつ低下していきますが、重度の嗅覚障害がある人は正常な人に比べ、脳の萎縮が早く進み、認知症になりやすいことがわかってきました。
認知症の中でもアルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症の発症の早期において、嗅覚障害があらわれることがあるのです。加えて、認知症をともなわないパーキンソン病患者のうち、重度の嗅覚障害がある人は認知症を発症するリスクが高いことが指摘されています。

このことから、嗅覚機能の検査は認知症の早期発見に非常に有効だといえるでしょう。認知症の進行を効果的に抑えるには、できるだけ早期の発見と治療が欠かせません。したがって、嗅覚の異常を見逃さないようにしたいものですが、そのためにも嗅覚に影響する鼻の病気はきちんと治療しておきたいですね。

以上のように、高齢者特有の鼻の病気には、花粉症との区別がむずかしいものがあります。
適切な治療のためには、専門医による診断が欠かせません。鼻炎をこじらせて嗅覚障害から最悪は認知症へといったことにしないためにも、鼻の症状が気になるときは早めに耳鼻科で受診しましょう。

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