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高齢者の肺炎が増えているって、ホント? 予防対策は?

高齢者問題

高齢化で肺炎患者が増加

気温が低くなる冬は空気が乾燥し、風邪やインフルエンザなどの感染症も流行しやすくなり、体調も崩れやすくなります。
体を冷さないようにして、体調管理に気をつけることも大切ですが、高齢者の場合、特に注意したいのが「肺炎」です。この数年間、肺炎にかかる高齢者が増加しているのをごぞんじ存知でしょうか?

国内の病院では、肺炎で入院する患者の大半を65歳以上の人が占めますが、高齢になるほど患者数が増える傾向にあるそうです。高齢化・長寿化が進むにともない、肺炎にかかる高齢者が増えているということのようです。厚生労働省の統計によると、誤嚥性肺炎も含めると肺炎は、ここ数年における日本人の死因の第3位となっています。また、2015年にこの病気により死亡した人のほとんどが65歳以上でした。

このように、高齢者にとっての肺炎は、重症化しやすく死亡のリスクが高い病気と言えるようです。まずは予防することが非常に大切ですし、万一発症しても重症化しないよう早めに治療につなげたいものですね。そのために、肺炎の原因や症状、予防の対策などについて知っておきましょう。

そもそも肺炎とはどんな病気?

肺炎はめずらしい病気ではなく、風邪をこじらせたりすることで起きると思われがちですが、そもそも、どのような病気なのでしょう?

肺炎は、細菌やウィルスなどの病原体による感染症のひとつで、体力や免疫(抵抗力)が落ちているときに感染し、症状を引き起こすそうです。肺炎の症状は、咳やたん・発熱・悪寒など、風邪に似ているものが多いようですが、通常、風邪よりも重い症状となります。その理由となるのが、感染と炎症を起こす部分の違いだそうです。

風邪は上気道(のど)に感染し、この部分で細菌やウィルスが増殖することによって起きます。風邪を引くと咳やたんが出るのは、こうした病原体を排出しようとする体の免疫機能によるものだそうで、免疫機能は平熱よりも少し高めの体温の方が活性化し、発熱することもあるということです。

これに対し、肺炎は、のどを通過した細菌やウィルスが肺の内部で感染し、増殖することにより起きるため、体が肺の奥深くから細菌などを排出しようとして、風邪のときよりも激しい咳や粘り気の強いたんが出るようになり、免疫機能をより強く働かせるために高熱が続くことがある状態だということです。

高齢者が重症化しやすい理由

では、なぜ、高齢者が肺炎になると重症化しやすいのでしょうか?

その理由のひとつとしてあげられるのが、抵抗力の低下です。誰でも高齢になるにしたがって、徐々に体力や免疫力が落ちていくため、細菌やウィルスに感染しやすくなります。また、高齢者には何かしらの持病がみられがちですが、持病がある上で感染症にかかると重症化しやすいと言われています。

さらに、肺炎にかかっていても症状があらわれにくい高齢の方も多く、早期の発見、治療が遅れるといったこともあるようです。抵抗力が低下しているために、若い世代のように免疫機能が十分に働かなくなると、肺炎特有の症状と思われてきた高熱や激しい咳やたん・悪寒などがあまりあらわれず、軽い風邪のような症状が続き、受診したらすでに肺炎が重症化していたといったケースも少なくありません。

高齢者に多い誤嚥性肺炎とは

加えて、高齢者世代の肺炎の特徴と言えるものに「誤嚥(ごえん)性肺炎」があります。「誤嚥」とは、飲み物や食べ物をうまく飲み込めず、誤って食道ではなく気道に入ってしまうことを言います。

この誤嚥が原因で起きる肺炎が誤嚥性肺炎ですが、気道に飲み込んでしまった飲食物やだ液に含まれている病原体が気道から肺に入り感染することで起こるそうです。

誤嚥すると必ず肺炎になるわけではありませんが、くり返すことで肺炎の発症リスクが高まりますので、食事のときなどは誤嚥しないよう十分に気をつけることが大切です。

高齢者の肺炎予防のポイント

肺炎を予防するために、高齢者の場合は、特に次のことに注意しましょう。

<感染を防ぐ>
肺炎の原因となる病原体はさまざまありますが、ほとんどは空気といっしょに鼻や口から吸い込んだり、手などについた細菌などが口を通して体内に入ったりして感染するようです。こうした感染を防ぐためには、外出するときにはマスクをし、帰宅したら手洗いとうがいをするようにしましょう。

<抵抗力を高める>
日ごろから意識して、肉や魚・野菜などをバランス良く摂り栄養のある食事をすることを心掛けることや、ウォーキングや散歩など適度な軽い運動を習慣づけることにより、基礎体力をつけることが大事です。また、疲れやストレスをためると免疫が低下するので、十分な休養も取りましょう。

<予防接種>
肺炎の原因の多くを占める肺炎球菌のワクチンを接種することで感染や発症した際の重症化のリスクを抑えることができるそうです。加えて、インフルエンザから肺炎につながることもあるそうなので、インフルエンザの予防接種も効果的でしょう。

<誤嚥を防ぐ>
誤嚥性肺炎の予防は、なんと言っても誤嚥しないことです。そのためには、きちんとした姿勢で、飲食物は少しずつ口に入れ、ゆっくりと時間をかけて食事をするようにし、口に物を入れたまま話さないようにしましょう。

このほかに、持病のある人はその病気の治療し管理することも大事です。また、喫煙は肺に軽い炎症を起こすものだそうなので、タバコを吸う人は禁煙が肺炎予防にもつながるかと思います。

肺炎予防は、抵抗力を高め、病原体を体に入れないことが基本ですが、これらのことは、ほかの感染症予防にも共通します。日ごろから習慣づけるようにしたいですね。

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