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高齢者一人暮らしを支援する スマートシティっていったいナニ?

高齢者問題

近ごろよく耳にするスマートシティって?

「スマートシティ」という言葉を耳にしたことはありませんか? マスコミやインターネットでもよく取り上げられていますが、自動運転の自動車が走り回る近未来的な街をイメージされる人もいるかもしれません。高齢者にやさしい街といったこともいわれています。こうした概念はざっくりとは間違いではありませんが、この機会に国土交通省による定義をご紹介しておきましょう。スマートシティの定義はこのようなものです。

『都市の抱える諸課題に対して、ICT等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)が行われ、全体最適化が図られる持続可能な都市または地区(引用:国土交通省「スマートシティの実現に向けて」)』

やはり言葉でとらえると難しそうですが、簡単に言えば最新のインターネット技術を使って高齢者にやさしい街を作った!これが「スマートシティ」だと言えるでしょう。

ICTを活用した誰もが暮らしやすい街

都市や街はいろんな要素から構成されます。そうした構成要素ごとに、高齢者にやさしい街「スマートシティ」は出来上がっています。
・快適でスムーズな交通:公共交通を主な手段として、あらゆる住民が快適に移動できる
・自然との共生:緑や水とバランスよく調和した都市環境
・省エネルギー:建物から街の区画レベルまでの規模で省エネを実現、再生可能エネルギーの活用
・安心安全:災害に強い街とコミュニティづくり、非常用電源や避難所、備蓄倉庫などを備えた都市開発
・資源の循環:雨水や排水処理による中水などの活用

こうしてみると、スマートシティは高齢者や障害のある人を含めたあらゆる人と環境にやさしい街であることがわかりますね。国土交通省都市局では、総合的なまちづくりの推進という観点から、各地でスマートシティの実現に向けて取り組みを強化しています。特にこれから増加が見込まれる高齢者の一人暮らしを支援する取り組みとしても期待されています。

実際に、富山市ではICTを高齢者の出番づくりに活用し、高齢者の一人暮らしに生活の潤いを与える取り組みが行なわれています。その事例をご紹介します。

富山市のスマートシティの取り組み

富山市は、次世代型路面電車システムを導入するなど公共の交通網を充実させることで、コンパクトな街づくり(コンパクトシティ構想)を進めています。これは、車で移動することがむずかしくなった高齢者を公共サービスにアクセスしやすくし、行政の効率も向上させるものです。また、コンパクトシティ構想を発展させることで、超高齢化社会に対応して公共交通網をより使いやすくするのに加え、自立型エネルギーや資源の循環システム、付加価値創造による産業の振興も目指しています。これらの取り組みはICTの活用によって実現が期待されますが、上述のスマートシティに通じるものです。

このようにICT技術は世の中を豊かで便利にするのに役立ちますが、一方で、ICTを自発的に活用できない高齢者にとっては、社会参加へのハードルになる心配があります。いわゆるデジタルデバイド(情報格差)と呼ばれるものです。

そこで、富山市では、高齢者が地域社会との関わりを通して生きがいを持てる街づくりにもICTを役立てる取り組みが行われています。そのための枠組みといえるのが「富山インターネット市民塾」です。これは、インターネットを利用し、誰もが講座やサークル活動ができる自由な学びの場で、市民がネットを通して交流できるパブリックスペースでもあります。この市民塾では、高齢者も参加しやすいITやICT関連の講座が数多く提供されています。これとともに注目したいのが、平成22(2010)年に発足した「シルバー情報サポータ活動」事業です。

ICTを活用して高齢者の地域参加を促す

「シルバー情報サポータ活動」は、情報のバリアフリー化を図ることで、高齢者の積極的な地域社会への促すものです。具体的には、まずは高齢者に、スマートフォンやタブレットといったICT機器の便利さを体験してもらうことから始まりました。高齢者はSNSに「つぶやき」を投稿することで、これらの機器に慣れていきます。
この活動には、情報サポータとして異なる世代のボランティアが参加し、高齢者がインターネット上に投稿した「つぶやき」を傾聴するという仕組みです。情報サポータは「つぶやき」を通してICT機器のさまざまな活用法も促します。また、インターネット市民塾で活動する高齢者がアドバイザー役を務めるなど、ICTを活用し地域の交流を深めるとともに高齢者がICTに自然となじめる取り組みとなりました。この活動に参加した高齢者は、自発的に申し込んだ人もいれば、離れて暮らす家族に勧められて参加したという一人暮らしの人もいました。

平成27(2015)年の国勢調査によると、富山市の高齢単身世帯はおよそ17000世帯で一般世帯数の10%以上を占めています。富山インターネット市民塾では、この他にも、さまざまな集まりを通して新しい絆が生まれ、元気な地域活動が行われています。高齢者にやさしい街づくりは、交通インフラなどのハード面だけではなく、高齢者の一人暮らしを生きがいの面からも支援できるようなソフト面も充実させることが必要でしょう。そのソフトづくりには富山市のようなICTの活用が期待されます。また、高齢者にとって社会参加しやすい環境づくりや家族の後押しも大切です。

▼高齢者一人暮らしを支援する スマートシティ 
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