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ベネチア水没!? 地球温暖化による水害と高齢者見守りを考える

高齢者問題

地球温暖化で世界中に水災害が発生!?

「水の都」として知られるイタリアの都市ベネチア。
2019年11月、このベネチアが190cm近くの高潮に見舞われ水没したというニュースが伝えられました。ベネチアはたくさんの島を運河でつなぐ街です。
この周辺一帯は世界遺産にもなっていますが、浸水により有名なサンマルコ広場は一時閉鎖され、街の大部分が浸水してしまいました。
今回の水害では死者も出ており、この50年間で最悪といわれるほどのものでした。実は、これに先立つ2018年にも高潮によるベネチア水没が伝えられ、死者11名という深刻な被害を記録しています。

ベネチアではこれまでに10回大規模な高潮が発生しましたが、そのうち5回はこの20年の間に発生しており、その原因と考えられているのが地球温暖化による気候変動です。地球温暖化は海水の温度上昇を招きます。これにより、海水の体積が膨張したり、氷河や南極などの氷が融け出すことで、海面が上昇しますが、本来海抜の低いベネチアが大きな影響を受けるようになっているのです。このまま地球温暖化の傾向が続くと気候はさらに悪化し、ベネチア市全体の存続が危ぶまれるとの予測もあります。

これは非常に深刻な事態といえますね。また、これは遠い外国の他人事ではありません。温暖化はまさに地球規模の問題であり、世界各地でその影響による異常気象の被害が起きています。日本も例外ではないのです。

地球温暖化による水災害と高齢社会

日本はもともと台風の多い国ですが、ここ数年、地球温暖化によって台風が大型化し毎年のように全国で大雨や河川の氾濫、洪水などの被害が相次いでいます。今後さらに水害や土砂災害の増加が予想されますが、これらの被害から私たちの生命と財産を守るために重要になるのが治水です。その重要性については、世界の水の専門家が集まる世界水フォーラムにおいて以前から天皇陛下も指摘されていました。また、国際社会の最重要課題としての水災害対策についても述べられています。

水災害に備えるために日本ではさまざまな治水事業が行われています。しかし、昨今の被害を見ると、それだけでは万全とはいい切れません。治水などの公的な対策に加え、私たちも自分で自分や家族、地域のコミュニティを守るための備えをする必要がありますが、高齢社会の現代では水害や土砂災害などの際にどう高齢者を見守っていくかも大きな課題といえます。

内閣府の防災関連の資料によると、2018年7月の豪雨による水害と土砂災害などによる死者のうち、およそ70パーセントが60歳以上の人でした。このデータから、水災害の際、高齢者は弱者になりやすく、何らかの配慮やサポートが必要ということがわかります。

高齢者の避難がむずかしい理由

なぜ、高齢者は水災害の被害者となることが多いのでしょうか? また、犠牲者を出さないためには、どのようなことに注意して高齢者見守りをすればいいのでしょうか?

水害や土砂災害は、地震と違い、予測が可能なことから、適切なタイミングで避難すれば人的な被害を減らすことができます。つまり、避難のタイミングが明暗を分けることとなります。逆にいえば、犠牲となってしまった高齢者の多くは逃げ遅れた可能性が高いといえるでしょう。なかには避難しない人もいます。

しかしながら、避難するのが遅い・避難しないからといって危機意識が低いというわけではありません。高齢者が逃げ遅れることが多いのは、避難するのにさまざまな障害や困難があるからです。その具体的な理由として、高齢者は若い人に比べ危険に気づくのが遅く、危険や避難に関する情報を入手する能力が低いことや避難するために迅速で適切な行動を取ることがむずかしいといったことなどがあげられます。

そうしたことや過去の豪雨災害の教訓もあり、政府や自治体では地域住民の避難のあり方について検討が進められてきました。
今では、高齢者は災害時要援護者として、災害時には市町村が発令する避難準備情報の段階で避難を開始することになっています。そこで、水災害から高齢者の命を守るには、この段階で避難の用意ができていることが前提になります。

スムーズな避難のために備えておきたいこと

水災害では避難に際してどう高齢者を見守るかが重要といえますが、それには日ごろからの備えが欠かせません。災害があったときスムーズに避難ができるよう、特に高齢者のいる家庭では平常時に家族でこのような備えや取り決めをしておきましょう。

1)自治体や国土交通省が公開しているハザードマップをもとに、自分たちが居住する地域の地形の特徴や過去の災害履歴を確認しておく。
2)1)の情報をもとに、家族で緊急事の判断や行動についてのルールを決めておく。できれば自宅から避難所までの経路を実際に歩いて確認し、どこの避難所にどの経路で行くのか決める。
3)災害時には情報を待つのではなく積極的に情報を入手できるよう、高齢者本人が扱いやすい情報機器を用意し、扱い方にも慣れておく。

以上がいざというときスムーズに避難するためのポイントになりますが、高齢の家族と離れて暮らしている場合は、緊急時にスムーズに連絡が取れる方法をよく確認しておく必要があります。
そのためには、やはり日ごろからの家族間のコミュケーションが大切といえます。

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