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高齢者になる前から気をつけるべき? 脳疲労について知っておこう

高齢者一人暮らし

脳疲労って、なに?

超高齢社会の今、認知症が国民的関心事となっています。高齢になれば誰でも認知症になるリスクがありますが、近年、高齢者よりも若い世代に、認知症のような症状で悩まされている人が少なからずいると言われています。18歳から64歳までの間に認知症を発症すれば若年性認知症とされますが、これとは別に「脳疲労」と呼ばれる状態があります。

脳疲労とは文字通り脳が疲れた状態です。身体の疲れとは違い、自分で自分の脳の疲労に気づくのはむずかしいものの、放置すると認知症のリスクにもつながると言われています。長生きが当たり前のようになった現代ですが、認知症にならずに健康的に年齢を重ねていくために、脳疲労について知っておきましょう。

ここで、脳疲労とは、どのようなものかもう少し詳しく説明すると、脳の機能である判断力や集中力が鈍くなる、もしくは、体調を崩すなどの症状が起こり、日常の仕事や生活がスムーズにできなくなる状態とされています。その症状としては、例えば、イライラして仕事に集中できない、物忘れが多くなった、感情をコントロールできなくなる、ひどい肩こりや頭痛に悩まされる、といったことがあげられます。

また、脳疲労は脳細胞が傷つく状態でもありますが、自覚症状はなく、いったんダメージを受けた脳細胞は修復されません。成人になると脳細胞は増えることがないので、この状態を放置すると将来認知症になる可能性が高まります。

脳疲労は、なぜ起こる?

自覚症状がないまま、脳がダメージを受けていくという脳疲労ですが、非常に大量の情報を取り込むことにより脳への大きなストレスとなって起こるとされています。
その背景となっているのが、職場や日常生活のIT化や長時間労働など、現代ならではの社会状況です。今は、IT技術やモバイル製品の発達により、どこにいても昼夜を問わず情報を収集し仕事ができます。

このような状況でいつでも脳が活発に活動していれば、脳に大きな負担をかけることになります。こうしたことから、主に次のようなことが脳疲労の原因になると考えられています。

・IT機器の過剰な使用、過剰な情報
長時間、パソコンやスマートフォンなどを通し大量の情報に触れていると、眼精疲労を起こします。また、こうしたIT機器のディスプレイからのブルーライトも目を疲れさせます。目の疲れは脳疲労の大きな原因のひとつです。さらに、仕事だけはなくネットサーフィンやオンラインゲームなどで長い時間パソコンやスマホを使っていると、過剰に情報が脳に入ってきます。その場合、脳がオーバーワーク状態になり、集中力や思考力、判断力などが低下することがあります。

・睡眠不足、睡眠障害
労働時間が長くなると必然的に脳は過活動状態になり、睡眠時間が削られます。そのため、睡眠の質が落ちて疲労回復しにくくなり、集中力など脳の働きが低下します。

・精神的なストレス
人間関係や仕事上のトラブルなど慢性的あるいは非常に強いストレスは脳細胞を傷つけることがわかっています。

脳疲労に気づくことが大事

こうして脳疲労の原因を見てみると、日々の暮らしの中に心当たりがあるという人も多いのではないでしょうか?
パソコンやスマホの長時間使用などは現代人にはありがちなことです。また、上述のように脳疲労には自覚症状がなく、すぐに認知症になるわけではありません。しかし、放置すると、体の不調を招き、うつ状態やうつ病に進行する恐れがあり、認知症のリスクへとつながります。

うつ状態・うつ病に進むと回復がむずかしくなるので、健康のためには脳疲労を防ぐか、その段階で改善することが大切です。そこで、自分で脳疲労に気づくために、このチェックポイントを参考にしてください。

・書類を書くのに時間がかかるようになった
・パソコン業務に集中しにくくなった
・判断してから指示をするまで時間がかかるようになった
・物忘れするようになった
・記憶しづらくなった
・イライラすることが増え、感情を抑えられないことがある
・通勤や運転中にゆとりがなくなった
・後頭部がつまった感じがする
・仕事へのやる気が減ってきた

脳疲労をためないようにしよう

脳疲労を予防または解消するには、その原因に対処していきましょう。

まず、日ごろから長い時間パソコンやスマホを使っている人は、使用する時間を減らすことが大切です。むずかしい場合は、パソコン作業の合間に目薬をさす、目を閉じて休むようにするなど、ITによる疲れと目の疲れをためないよう工夫しましょう。

また、健康のためには1日6時間から7時間半程度の睡眠時間が欠かせませんが、睡眠の質にもこだわりたいところです。それには、就寝前に、活性化している状態の脳をリラックスさせることが大事です。軽い運動をする、編み物や塗り絵など頭を使わない手作業をする、ぬるめのお風呂にゆっくり入るなど、自分にあったリラックスの方法と時間を持ちましょう。こうしたリラックス法は精神的なストレスの解消にも役立ちます。

さらに、栄養のバランスがよく規則正しい食事を心がけましょう。特に、青魚や大豆・大豆製品、カカオを含むチョコレート、クルミなどのナッツ類はブレインフードと呼ばれ、脳によいとされています。こうしたブレインフードを食事に取り入れることも、脳疲労の対策になります。

現代では普通に生活しているだけで、誰でも脳疲労になる可能性があります。まずは、脳の疲れを回復させることが大切ですが、上記のチェックポイントの症状が改善されない場合は、専門医への受診をおすすめします。
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