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認知症の初期症状が出たら、要注意!認知症予防のためには「卒酒」した方がいい?

高齢者一人暮らし

高齢者のアルコール依存症が増えている?

高齢化が進み、65歳以上の高齢者人口は年々増加しています。高齢者の中には、晩酌や友人との飲み会などお酒を飲むことを楽しみにしている方も少なくないでしょう。その一方で、認知症予防を考える上で少し心配なデータがあります。

国立病院機構久里浜医療センターの資料によると、高齢者のアルコール依存症が増えているのです。高齢者人口そのものが増加しているため、自然増のように思えるかもしれません。しかし、アルコール依存症の専門治療施設である同センターに新規で受診する患者のうち65歳以上の人が占める割合は年々上昇しており、2002年に15%だったその割合は2012年には24%になりました。これは、同じ10年間の65歳以上の人口の伸び率を大きく上回っています。

また、この増加傾向は久里浜医療センターだけに限らず、他のアルコール依存症の専門病院にも見られます。さらに、全国54の同様な専門治療施設に入院した男性患者の4人に1人が60歳以上であることも報告されています。

こうした傾向は今後も続くと考えられますが、この背景には何があるのでしょう?

高齢者はアルコール依存症になりやすい

高齢者人口そのものの増加がその要因のひとつではありますが、実は、高齢になるとアルコール依存症になりやすいのです。これは、お酒を楽しみにされている方にはショックなことかもしれませんが、なぜなのでしょう?

その理由としては、まず加齢による体の変化があります。

高齢になると胃の粘膜が萎縮するため、アルコール代謝が低下します。加えて、年とともに体内に溜めておける水分の量が少なくなります。したがって、同じ量のお酒を飲んでも、若い頃と比べると血中のアルコール濃度がより高くなり、アルコールの影響を受けやすいということです。

また、高齢期には生活環境の変化やメンタル的な問題がアルコール依存症のきっかけになることもあります。この年代にさしかかる頃から誰でも定年退職や子供の独立、家族や親しい人との死別、健康への不安などを経験するものです。こうしたことがきっかけでお酒に手を出し、つい飲み過ぎることが習慣化すると、アルコールに依存するようになってしまいます。仕事一筋だった人が退職後、特に趣味もなく時間を持て余す中で、以前から好きだったお酒を昼間から飲むようになり、依存症になってしまったという事例もあります。

このようなことから、高齢者は他の年代よりもアルコール依存症になりやすいと言えるのです。

アルコール依存が招く認知症リスク

アルコール依存症を簡単に定義すると、習慣的に大量の飲酒をするうちに飲む量をコントロールできなくなり、社会生活をする上で支障をきたす状態を言います。こうなると、もちろん健康に悪く、肝臓をはじめとする様々な臓器に障害を起こしますが、特に注意したいのが脳への影響です。

アルコールを長期にわたり大量に摂り続けると脳が萎縮し、脳梗塞を起こしやすくなります。これらはいずれも認知症の原因になりますが、フランスの調査では、アルコール依存症の人はそうでない人の3倍以上も認知症になりやすいことがわかりました。また、厚生労働省の調べによると、1週間あたりの飲酒量がビール6本(1本あたり360ミリリットル)以内であれば、飲酒しない人に比べて認知症リスクは上昇しませんが、この量を超えて多く飲酒するほど認知症リスクも高くなっていきます。

アルコールを原因とする認知症は「アルコール性認知症」と呼ばれます。通常、アルツハイマー型などの認知症はもの忘れがひどくなるといった初期症状から徐々に進行していきます。しかし、アルコール性の場合はこうした認知症の初期症状が見られないまま、突然症状が進んだ状態で発症することが少なくありません。

お酒好きの人は特に認知症初期症状に注意

そう聞くと怖い病気のように思えますが、断酒することでアルコール性認知症は回復が見込めます。とはいえ、そのためには早めに医師による診察や検査を受け、認知症の原因がアルコールであることを特定する必要があります。また、他のタイプの認知症であっても適切な治療につなげるには、早期発見・早期受診が欠かせません。

したがって、高齢者で日ごろからお酒を飲む習慣のある人の場合は、認知症の初期症状を思わせる次のような異常を見逃さないようにすることが大切です。

・記憶障害:物忘れがひどくなる、ついさっきのことも忘れてしまう
・見当識障害:今いる場所や時間がわからなくなる

加えて、歩くときのふらつきや意欲の低下、興奮しやすく暴力的になるなど、アルコール依存症と同様の症状があらわれることもあります。

認知症予防にはほどほど、それとも卒酒?

「酒は百薬の長」と言いますが、以上のことから、認知症予防のためには飲酒量を抑えることが非常に大事だとわかりますね。

アルコール依存症、アルコール性認知症ともに進行性の病気ですが、回復が見込めます。ただし、回復のためには断酒、つまり生涯にわたっての禁酒が欠かせません。

また、飲酒の習慣がある人がアルツハイマー型認知症になると、飲酒量をコントロールすることがむずかしく、健康や行動上の問題を引き起こす可能性があります。

そう考えると、高齢期にはアルコールには弱くなっていきますから、年とともに少しずつ飲酒量を減らして無理なく「卒酒」することを選択肢のひとつとしてもいいかもしれません。

そして、もし、飲酒をどうしてもがまんできない、酔いつぶれるまで飲んでしまうといった問題を感じることがあれば、早めに医師に相談するようにしましょう。

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