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高齢者の熱中症対策、「かくれ脱水」に要注意!

高齢者問題

高齢者に多いかくれ脱水

ここ数年、夏の暑さが厳しくなっています。夏の間は熱中症予防をしている方も多いと思いますが、秋や冬でも熱中症になることはありますので、つねに対策を怠ってはいけません。高齢者は他の世代に比べて熱中症になりやすいため特に注意が必要ですが、昨今、注目されている「かくれ脱水」をご存知でしょうか?

かくれ脱水とは、脱水症になりかけているのに、目立つ症状がない状態です。そのため、本人も周囲の人も気がつかず、対策をしないまま重篤な症状に進むこともあります。特に高齢者は、体内に貯めておける水分量が少なく脱水症になるリスクが高いため、必然的にかくれ脱水になることも多くなります。

そもそも、脱水症は熱中症の原因となるものです。人間の体の多くは、水分(体液)でできています。暑い環境で仕事や運動などをすると体温が上がり、汗をかくことによって体を冷やそうとします。そして、大量に汗をかき続けると体液が不足して、脱水症という状態になります。こうなると汗も出なくなり熱中症に進んでしまう可能性が非常に高くなります。これが熱中症発症のメカニズムであることから、脱水症の予防は熱中症対策の基本と言えるのです。

なぜ、高齢者は脱水症になりやすい?

通常、成人男子の体には体重の60%程度の水分が含まれていますが、65歳以上のいわゆる高齢世代では、この水分量が体重の約50%に減少します。加えて、高血圧や糖尿病などの持病のため、発汗や排尿を促す、あるいは抑制する薬を服用しているといった人も少なくありません。
また、年をとると温度の変化やのどの渇きに気づきにくくなります。
このようなことから、高齢者は脱水症を起こしやすく、認知症を患っている人では、体調の変化をうまく伝えられないこともあるでしょう。そのため、脱水症になりかけていても本人や周囲が見逃してしまい、かくれ脱水になりやすいのです。

高齢者はもともと体内の水分量が少ない上、脱水症を起こすと急激に熱中症に進行する可能性が高く、突然重篤な状態になることもあります。さらに、高齢者の場合、熱中症に進行すると重症化しやすいというデータもあります。したがって、高齢者の熱中症対策では、かくれ脱水を予防し見逃さないこと、が非常に大切です。

かくれ脱水を見逃さないために

とは言え、かくれ脱水は、本人も周りの人たちも気づきにくいため、やっかいなものです。そこで、かくれ脱水を見逃さず効果的に対策ができるよう、そのサインとなる変化を知っておきましょう。体や行動にこのような変化があらわれたら、かくれ脱水、つまり軽度の脱水症かもしれません。

<身体的な変化>
・汗をかく量が減った、皮フやわきの下が乾燥している、手の甲の皮フをつまんでもすぐに元に戻らない
・爪を指で押した後、白から元の色に戻るのに3秒以上かかる
・唇や口の中が乾燥している、舌の表面に光沢がなく赤味が強い
・頭痛や筋肉痛がある
・手足の指先が冷たく血色が悪い
・尿の回数と量が減り色が濃くなった
・便秘気味になった
・微熱がある

<行動の変化>
・ボーッとしたり、ウトウトすることが増えた
・食欲が落ちてきた

このようにしてみると微妙な変化ですね。行動の変化を見ると、単なる疲労や夏バテのようにも思えます。最近、疲れやすくなった、夏バテで食欲がない、といったことがあれば、実は、かくれ脱水かもしれません。この状態を放置していると、食欲が落ちることによって食事で取れる水分や栄養分が減り、より脱水が進んで熱中症へと近づく悪循環におちいる危険性があります。

そのため、夏バテや疲れがたまっていると感じたら、上記のような身体的変化がないかチェックしてみましょう。高齢者の場合は、自分で気づきにくいため、家族など周囲の人たちが注意してあげることが大切です。

脱水に気づいたら

万一、これらの症状に気づいたら、脱水が進まないように対処しましょう。じゅうぶんな水分と、体の機能を調節し水分の吸収を良くするために「電解質」の補給が必要です。この両方を同時に補給するには経口補水液が効果的です。経口補水液は市販されていますが、自分で作ることもできます。

<自作経口補水液の作り方>
1リットルの水に、食塩3グラム、砂糖を20〜40グラム溶かす。レモンやグレープフルーツなどの果汁を少量加えると飲みやすい。
※自作の経口補水液は、衛生上、作ったその日のうちに飲みきるようにしましょう。

脱水の症状に気がついたら、できるだけ早いうちに経口補水液を少しずつゆっくりと飲むようにします。持病などがあり塩分や糖分の制限をしている場合は、飲む前に医師に相談してください。こうした対処をしても、症状が改善しない場合は医療機関を受診しましょう。

脱水症予防の基本は

かくれ脱水は熱中症の入り口でもあることから、ぜひとも予防したいですが、その基本は、こまめな水分補給と暑い環境を避けることです。日常的にとる水分は水や麦茶などでかまいません。大量に汗をかいたときにはスポーツドリンクや経口補水液が良いですが、塩分や糖分に制限のある方は前もって主治医に相談しておきましょう。

また、居室などの温度管理も欠かせません。目安としては、室温28度、湿度70パーセントを超えないようにします。ここで注意したいのが、エアコンの設定温度は実際の室温とつねに同じとは限らないことです。また、年をとると暑さ寒さの変化に鈍感になるので、温度計を設置するなどして室温の管理をしっかりと行いましょう。

高齢者の熱中症対策では、かくれ脱水という微妙なサインを見逃さないことが重要です。周囲の気配りと見守りで、高齢者を熱中症から守りましょう。

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