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孤食がリスクを招く? ひとり暮らし高齢者の低栄養を防ぐには

高齢者問題

高齢者の低栄養状態とは

高齢だから肉や魚はそれほど食べなくても良い、また、年齢とともに食が細くなるのは当たり前だから食事は簡単にすませたい――もし、そのように思っているとすれば、それは間違いです。寝たきりなどにならず健康で長生きするためには、高齢になってもしっかりと栄養のある食事をすることの重要性が分かってきました。

2012年に国立長寿医療研究センターが行なった調査によると、約1000人の在宅療養中の高齢者のうち36%の人が低栄養の状態であり、およそ34%が低栄養のおそれがあると報告されています。低栄養状態とは、筋肉をつくるもととなるたんぱく質や日常的に体を活動させるためのエネルギーが足りていないことを言います。
この調査結果からも分かるように、高齢者の栄養状態は要介護状態と大きくかかわっており、介護が必要となる原因にもつながっています。
つまり、低栄養は健康で長生きしていく上で大きなリスクとなりかねないのです。

孤食が低栄養につながる?

高齢者が低栄養状態におちいる原因には、消化・吸収力の弱まり、噛む力や飲み込む力の衰えといった身体的な理由もありますが、加えて、食事量の減少や偏った食事内容など、食事のしかたが原因となっているケースも少なくありません。そこで、低栄養状態につながる食事のスタイルとして注目されているのが孤食です。

孤食とは、文字通りひとりで食事をすることですが、特にさびしく感じるような状況での食事をさします。ひとり暮らしをしていれば必然的に孤食の回数が多くなることから、高齢者では、低栄養状態におちいる可能性が高くなります。また、内閣府の調査によると、同じひとり暮らしでも、特に高齢世代では孤食の回数が多いことが分かっています。急激に高齢化が進むわが国では、高齢者の単身世帯も大きく増加し続けているため、多くの高齢者が低栄養のリスクにさらされていると言えるでしょう。

では、なぜ、孤食の回数が多いと低栄養のリスクが高くなるのでしょう?
それは、食事の内容や量がおろそかになりやすいからだと言われています。ひとりで食べることが続くうち、料理をするのがおっくうになったり、食べることに対する意欲がうすれてしまうことがあります。これに加え、高齢世帯では、近隣に買物施設がない、足腰に不自由があるなどといったことから、簡単に食材を買いに行けないケースも見られます。このようにして、高齢者の孤食は、食べる食材の偏りや食事の回数・量の低下につながり、食事量の低下が栄養不足に直結してしまうと考えられます。

低栄養にはリスクがいっぱい

低栄養は高齢者の健康上にさまざまなトラブルを招きます。もともと年をとると、筋肉や骨の量が減りますが、さらに筋肉量が減少することで、疲れやすくなり転倒や骨折もしやすくなります。高齢者は骨折すると治るのに時間が掛かり、最悪は寝たきりにもなりかねません。また、筋力の衰えは呼吸や食べ物を噛む・飲み込むときに使う筋肉にも生じるため、肺炎など呼吸器疾患にも影響しやすく、誤飲・誤嚥(ごえん)のリスクも高まります。

さらに、低栄養は免疫力の低下にもつながるので、感染症に掛かりやすくなりますし、ケガをしても治りにくくなります。このように、栄養の不足は何も良いことがないばかりか、死亡にもつながる、健康上の大きなリスクとなることがお分かりいただけるかと思います。

孤食を減らして低栄養を防ごう

したがって、高齢者は低栄養になるのを防ぐことが大事ですが、特にひとり暮らし高齢者の場合には、食事の量や回数・内容についても十分に注意し、孤食の回数を減らすようにすることが大切です。離れてひとりで暮らす高齢の家族がいる場合は、なるべく一緒に食事をする機会を増やすようにしましょう。買物がたいへんな場合は、食材の買い出しに同行してあげるのも良いですね。

とは言え、遠距離で離れて暮らしているなど、そのような機会をつくるのがむずかしいという方も多いかと思います。その場合は、公的あるいは民間のサービスを活用するという方法がありますので、日々の食事の栄養が偏らないようにするためにも定期的な配食サービスや食材通販の利用など、本人と一緒に検討してはいかがでしょう。

配食サービスには自治体やNPOなどによる公的なものと民間企業によるものとがあります。金額や内容などについては、公的サービスは高齢者が住む地域の役所の福祉課や地域包括支援センターに、民間企業が行うものについてはその企業に、直接問い合わせましょう。

楽しい公的サービスも

近年は、孤食を減らす取り組みとして、自治体が会食サービスや会食の場を提供するケースも増えています。
このような会食の場は、地域の高齢者同士や多世代の人たちでテーブルを囲む・参加者全員で調理もするなど、場所や主催者によって内容はさまざまですが、いろいろな人と交流しながら食事を楽しむことは、単に栄養を取るだけでなく、心の健康にも良い影響を与えます。地元にこのような場があれば、参加してみてはいかがでしょうか? 詳しくは、高齢者の地元の役所に問い合わせてみてください。

また、管理栄養士が高齢者のお宅を訪問し栄養指導をしてくれる公的なサービスがあるのをご存知ですか?
「訪問栄養食事指導」と呼ばれ、医療もしくは地域包括ケアの一環として行われるもので、申し込みや相談の窓口は地域包括支援センターか、掛かりつけの医療機関などになります。

以上のように、最近は高齢者の孤食を解消し低栄養を防ぐためのサービスが増えています。ただし、いずれも公的機関によるものについては、利用にあたっての要件などがあるので、それぞれの窓口で確認してくださいね。

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