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寝たきりや認知症予防のために、高齢者こそ低栄養に気をつけるべき

高齢者問題

高齢者こそ栄養が必要

日本は、男女とも平均寿命が80歳を超える長寿大国。長生きするのが普通となりましたが、寝たきりや認知症になることなく、いつまでも元気でいたいものです。健康で長生きするには、適度な運動やバランスのよい食事が大切とよくいわれます。

その一方で、高齢者の中には「年齢を重ねるとともに、食が細くなってきた」という方も多いのではないでしょうか。また、成長期はとっくに過ぎているから肉類は食べなくていい、メタボリックシンドロームにならないためには粗食がいいのでは?――などと考えているとすれば、そこには大きなリスクが潜んでいるかもしれません。

高齢になっても健康に暮らしていくには、しっかりと栄養をとることが欠かせないからです。食が細くなっているのに、メタボが気になるからといって、粗食を続けていると低栄養、いわゆる栄養失調の状態になる恐れがあります。高齢者の低栄養は、健康上のさまざまなトラブルを引き起こす可能性があり、寝たきりや認知症になるリスクを高めます。

意外! 高齢者の6人に1人が栄養不足?

経済大国でもあるわが国では、多くの高齢者が栄養失調の傾向にあることをご存知でしょうか? ショッキングなことですが、平成28年度の国民健康・栄養調査によると、65歳以上の人の約18%が低栄養の状態にあるのです。これは、高齢者6人に1人の割合になります。

この背景には、次のような事情があります。高齢になると、運動量の低下や味覚、嗅覚の衰えなどから、自然と食事の量が減っていきます。これに加え、近年増加する独居や高齢者だけの世帯では、買い物や食事の支度がおっくうになることも少なくありません。こうしたことから、特に独居や夫婦だけの高齢者世帯では、食への関心がうすれ、食生活が単調になる、食事の回数や量が減っていくことが考えられます。また、病気により噛んだり飲み込む力が衰えていたり、介護力の不足やネグレクトなどが原因になることも。

このようなことが原因と考えられているのですが、多くの場合、低栄養の状態になっていても、自覚されにくいのです。そのため、一見、元気そうな人でも、本人も周囲も気づかないうちに栄養不足になっていることもあります。

低栄養が引き起こすリスクとは

低栄養状態におちいると、自分では気づかないうちに、じわじわと体全体に問題が生じるようになります。では、具体的にはどのようなリスクがあるのでしょうか?

栄養不足が続くと、体内でたんぱく質から合成されるアルブミンが減少します。アルブミンは血管や筋肉、免疫細胞などに欠かせない物質であるため、アルブミンが不足すると、次のような健康と日常生活へのトラブルとなってあらわれます。

<筋肉量や骨量の低下>
年をとると、筋肉や骨の量が減りますが、栄養が不足するとさらに筋肉量が減少します。また、低栄養の状態で筋トレなどをすると逆効果となることも。筋肉量が少ないと転倒しやすく、骨量も減っているので、骨折のリスクも高まります。高齢者の場合、骨折がきっかけで寝たきりになることも少なくありません。

<免疫機能の低下>
免疫機能が下がると、いろいろな感染症にかかりやすく、ケガなどをしても治りにくくなります。

<認知症リスク>
アルブミン値が低い人はそうでない人に比べて、認知症の入り口である認知機能の低下リスクが2倍といわれています。

この他に、アルブミン不足は心臓病や脳卒中のリスクを高めることがわかっています。また、これらのトラブルが重なると、寝たきりになったり死につながる危険性が大きくなります。

低栄養にならないための対策は?

以上のことから、寝たきりや認知症を予防し、いつまでも元気に暮らすためには、低栄養を防ぐことが非常に大切ですが、そのためには、食習慣に配慮する必要があります。東京都長寿医療センター研究所では「老化予防をめざした食生活指針」として、このように提唱しています。

・老化予防をめざした食生活指針
1)食事は1日に3回、バランスよくとり、食事は絶対に抜かない。
2)動物性たんぱく質を十分にとる。
3)魚と肉は1対1の割合でとり、魚に偏らないようにする。
4)肉は、さまざまな種類や部位を食べるようにする。
5)油脂類の摂取が不足しないようにする。
6)牛乳は毎日200ml(1本)以上飲む。
7)野菜は、緑黄色野菜や根菜類など、たくさんの種類を食べ、火を通して調理し、摂取量を増やす。
8)食欲がないときは、おかずを先に食べ、ご飯を残す。
9)調味料を上手に使い、おいしく食べる。
10)食材の調理法や保存法を覚える。
11)和風、洋風、中華など、さまざまな料理をつくるようにする。
12)家族や友人と会食する機会を増やす。
13)噛む力を維持するため、義歯の点検を定期的に受ける。
14)健康情報を積極的に取り入れる。

これらの指針を日々の食生活に取り入れていきたいですが、難しく考えるのではなく、楽しみながら行うことが大切です。
例えば、これまで食べたことのない食材を調理してみる、つくったことのない料理にトライするなど、家族や友人と相談しながらやってみるのはどうでしょうか。
こうした工夫をすることは脳へのよい刺激になり、認知症予防にもつながります。ただし、糖尿病などで食制限がある人は、主治医とよく相談するようにしてください。

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