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認知症高齢者を行方不明者にさせないための徘徊対策とは

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増加する高齢の行方不明者とその背景

ここ数年、行方不明になる高齢者が増えています。警察庁によると、2016年に全国で届け出があった行方不明者の総数は約8万5000人。このうち、約2万人が70歳以上の高齢者でした。この年齢層が行方不明者全体の4分の1近くを占めていることになりますが、その背景として考えられるのが認知症の症状の1つである徘徊です。

70歳以上の行方不明者の約8割にあたる1万5432人が、認知症が原因で行方不明になったと報告されており、そうした行方不明者はこの数年間で増え続け、2016年には前年と比べると26%も増加しています。

徘徊の症状があると、ふらっと家を出たまま驚くほど遠くへ行ってしまうこともあり、行方がわからなくなれば、家族の心配や心労ははかりしれないものになります。

外に出さないようにすれば安心?

徘徊の直接的な意味は「あてもなくさまよい歩く」ことですが、認知症の場合、判断力の低下や記憶障害、場所や状況を把握する見当識の障害によって起こります。徘徊をする本人にとっては「仕事に行く」、「(昔住んでいた)家に帰る」など、何らかの理由があるのですが、判断力が低下し見当識障害のある人が街中などを歩き回るのは、事件や事故に巻き込まれることも多く、非常に危険です。

したがって、徘徊の症状がある人を1人で外出させないようにすることが大事ですが、部屋に閉じ込めたりするのは、かえってストレスになり、他の問題行動を誘発することにもなりかねず、よいことではありません。本人が出かけたがっても付き添えないときは、「出かける前にお茶でも飲みましょう」と言って気をそらせるなどの工夫が必要です。

万一の場合に備えて 行政や警察による対策を知っておこう

徘徊の症状がある人が万一、1人で出かけてしまったら事故などを防ぐために、なるべく早く見つけることが大切です。そのような場合に備えて、各地の行政や警察では、さまざまな取り組みを始めています。そうした事例をいくつかご紹介します。

<街中のカメラで見守り>
兵庫県伊丹市では2016年1月より、カメラとビーコンを組み合わせた「安全・安心見守りネットワーク事業」を展開しています。このサービスは、日本初の試みで、市内の道路や公園などに1000台余りの「安全・安心見守りカメラ」とビーコン受信器を設置しました。高齢者や小学生が携帯するビーコン発信器(ビーコンタグ)の信号をビーコン受信器がキャッチすると、家族のスマホなどのアプリ上にその地点を通過したことを知らせます。また、この事業にはボランティアによる捜索支援も含まれ、家族からの捜索要請があれば、登録したボランティアのスマホがビーコン受信端末となります。
原則としてこのサービスは有料ですが、「徘徊の傾向がある」認知症高齢者は無料で利用できます。

<行政と警察のネットワークで迅速捜査>
大阪府河内長野市は行方がわからなくなった認知症高齢者をできるだけ早期に発見するために、警察と連携し「徘徊高齢者SOSネットワーク」を発足しています。高齢の家族の行方がわからなくなったとき、警察に届け出るのとともに市役所に本人の写真などを添えて支援要請届けを提出すれば、交通機関や小売店などさまざまな協力機関・協力員に広く情報提供し、行方不明者を発見した協力機関や協力員は警察に連絡します。
夜間や休日には、市役所に代わって、地域包括支援センターが支援要請を受けつけます。徘徊の可能性がある高齢者の場合は、家族が事前登録しておけば、電話での要請が可能です。

<徘徊高齢者の賠償責任を保険でカバー>
認知症の高齢者が線路に立ち入った死亡事故で、遺族が鉄道会社に損害賠償を求められたケースがありましたが、これは遺族にとっては非常に大きな負担です。このような事例を受け、神奈川県大和市は全国で初めて「はいかい高齢者個人賠償責任保険事業」をスタートしました。これは、徘徊のおそれがある高齢者が事故などにより他人にけがを負わせたり、物を壊した場合の賠償責任の保険料を公費で負担する取り組みです。
これまでにも大和市では、徘徊高齢者にGPS付きの靴を無償で提供したり、早期の発見・保護のための「はいかい高齢者SOSネットワーク」といった事業を展開しています。このネットワークに登録している人が被保険者となり、本人のけがや死亡もカバーされます。

家の中と外の見守りの連携を

以上は、全国の自治体や警察のごく一部の事例です。現在では、ほとんどの自治体が各地の実情に合わせ徘徊高齢者のための対策を行なっているので、家族に徘徊のおそれのある人がいる場合は、まず地元の役所に相談しましょう。

また、2016年には、行方不明になった認知症高齢者のうち、98.5%の人が届け出から1週間以内に所在確認ができています。行方不明になっても、早いうちに届け出るなどの対応をすれば、ほとんどの人が見つかるのです。したがって、徘徊の症状がある人が1人で家から出かけてしまったら、それをできるだけ早く知って行政などのサービスにつなぐことが重要になります。

とはいえ、そのために四六時中高齢の家族を見守るのはむずかしいものです。そこで、家庭用の見守りシステムを活用してはいかがでしょうか?
例えば、見守りセンサーの「いまイルモ」の端末を玄関に設置しておけば、見守り対象者が出かけたことを離れた場所からもスマホやパソコンで知ることができます。このように家の中と行政による外の見守りの連携ができれば安心ですね。


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