認知症の徘徊対策はロボット介護も取り入れて効果的に

認知症見守り

徘徊とは？認知症にともなう大きな課題

認知症患者の増加とともに、その症状の1つである「徘徊」という行動が注目されるようになりました。徘徊とは、あてもなく無意識にうろうろと歩き回ることで、アルツハイマー型認知症の人に多く見られる行動です。認知症になると、日時、場所などを正しく把握するための見当識や判断力、記憶の障害、現実検討力の低下などが起こりますが、これらが徘徊の原因と考えられています。

徘徊は認知症の人すべてに起こるものではありませんが、この症状がでると、介護者にとっては対応がむずかしく負担も大きいことから、高齢社会の課題といえます。これまでは、徘徊は目的なく歩き回る行動とされていましたが、現在は、本人なりに理由があると認識されています。例えば、自宅にいるのにそのことがわからず、若い頃に住んでいた家に帰ろうとするなどです。

本人としては目的があるとはいえ、見当識や判断力に障害のある認知症の人が1人で出歩くのは非常に危険ですし、近年、徘徊が原因で認知症の人が事故や事件に巻き込まれることが増えています。したがって、徘徊対策としては、徘徊の症状がある人には必ず付き添いをつけ、勝手に外出してしまったらなるべく早く保護することが重要になります。また、そのためには「見守り」が欠かせません。

しかしながら、多くの介護施設では深刻な人手不足が問題となっています。徘徊をさせないための見守りには介護者の時間も労力も必要なことから、どこの施設でも徘徊対策は大きな課題といえます。

何よりも大切な「見守り」の強い味方

そこで、いま注目されているのが、IoTによるロボット介護の導入です。介護分野のさまざまな役割にロボットの導入が考えられていますが、特に見守りと徘徊の防止には効果が期待されます。ここで、実際の介護施設での導入事例をご紹介しましょう。

仙台フィンランド健康福祉センターでは、仙台市とフィンランド政府関係機関の国際共同プロジェクトにより、外出（徘徊）防止支援ロボットとして「いまイルモ PaPeRoi」が採用されています。

「いまイルモ PaPeRoi」は、センサーによる見守りシステム「いまイルモ」とコミュニケーションロボット「PaPeRoi」を融合させた見守り支援ロボットです。センサーが見守り対象者の動きや室内環境をモニターし、ロボットが見守る側の状況に合わせた声がけをしたり、見守る側にモニタリングデータを報告する機能があります。これらにプラスして、このプロジェクトでは、ロボットによる徘徊を未然に防ぐための声がけや万一外出してしまった際の捜索に役立つ録画・録音、顔認証による本人特定といった機能を備えています。

同システムでは、こうした機能を搭載した「いまイルモ PaPeRoi」を施設の出入口に設置し、Webシステムやメールで管理しています。外出しようとする入居者がいれば、センサーが反応しスタッフに通知し、入居者にはロボットが「どこに行くの？」、「中に居ようよ」などと声をかけるのです。

徘徊対策で最も大切なのは見守りですから、入居者の安全のためにも、介護スタッフにとっても強い味方といえますね。

画像認識技術で個人を特定、ロボットが声掛け

これまでも、各地の介護施設では、徘徊防止にIT機器の導入が検討されてきました。しかし、「いまイルモ PaPeRoi」の開発会社であるソルクシーズ社の調査によると、IT機器を導入しても、「誤作動が多い」「利用者が本人特定用のタグをはずしてしまう」といった理由から、じゅうぶんに活用されていないケースも多くなっています。外出（徘徊）防止支援ロボットとしての「いまイルモ PaPeRoi」に付け加えられた上述の機能は、こうした課題を改善するものです。

今回の場合特に画像認識技術による顔認証の機能と連携し、より手厚い介護監視を実現しました。ロボットが個人を特定し「◯◯さん、中に居ましょうね」と名前を呼んで声がけすることができるというものです。◯◯さんと個人名を呼ぶことは、利用者を個人としてリスペクトすることにつながります。

徘徊対策は出かけさせないことが基本ですが、室内に閉じ込めたり、無理やり連れ戻すことは本人の反発を招くなどの恐れがあり、適切な方法ではありません。外出しようとする人には、おだやかに呼びかけ、出かけないよう落ち着かせることが大切です。「いまイルモ PaPeRoi」は、見守りに加えこの「おだやかな声かけ」の役割もになってくれており、ロボット監視ならではの柔和な対応が可能で、利用者やご家族を安心させてくれるでしょう。

ロボット見守りで期待できる安心・安全な徘徊対策

このように外出（徘徊）防止支援ロボットの「いまイルモ PaPeRoi」は、入居者への声がけで徘徊を未然に防ぎ、万一のときにはスタッフへ通知、録画などのサポートもします。単なる見守り業務だけでなく、介護スタッフの負担を大きく減らしてくれる介護ロボットといえるでしょう。
また、「いまイルモ PaPeRoi」を導入することは施設の安全対策にもなり、安心して利用できる施設として利用者さんとそのご家族にとっての信頼にもつながります。さらに、その費用は非常に導入しやすい価格で、平成30年3月に発売予定となっています。

安心・安全な徘徊対策やスタッフ不足の解消をお考えなら、ぜひ導入を検討されてはいかかしょうか？

▼アルツハイマー初期症状と対応　
▼認知症の不安とは　
▼認知症を簡易チェック　
▼アルツハイマー型認知症予防　
▼認知症予防といきがいについて　
▼認知症ケアユマニチュードとは　
▼認知症の徘徊対策事例　

▼徘徊対策は行動変化の見守りがカギ　
▼徘徊対策はロボット介護も取り入れて　