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高齢者安否確認と生活支援の強い味方? 高まる見守りロボットへの期待

高齢者施設

介護者不足を背景に高まるロボットへの期待

急速な高齢化と長寿化により、介護を必要とする高齢者が増加し続けています。これにともない深刻な問題となっているのが、介護の担い手不足です。その解決策として介護ロボットに期待が寄せられ、国としても介護現場への導入への助成制度を整備し普及の後押しをしています。

介護ロボットといえば、パワースーツなどを連想する人が多いかもしれませんが、身体介護をはじめ、食事など日常生活動作の補助、リハビリ、見守りや安否確認、話し相手といった、さまざまな介護の分野を対象にしたロボットの開発が進んでいます。高齢者施設などで、このようなサポートをするロボットの導入が進めば、介護スタッフの負担を軽減することが可能ですし、製品によっては在宅介護にも使えるものもあります。

こうしたことから、あるアンケートによると、介護スタッフの大半が介護へのロボット導入を肯定的に受け止めています。一方で、少数ながらも「操作が難しいのでは?」、「介護を受ける利用者にとっては抵抗感があるのでは?」といった疑問や不安を持つ人もいます。

そこで今回は、介護の味方となるロボット製品や導入の現状についてお伝えします。

肯定的に感じる人が多いロボットによる介護

ロボットが機械であることを考えると、ロボットに介護される・ロボットといっしょに働くことに抵抗を感じる人がいるのは自然なことかもしれません。とはいえ、実際のところはどうなのでしょう?

国などの調査によると、実は、ロボットによる介護を受けたいという意識が高まりつつあります。また、全年齢を対象にしたアンケートでは、7割以上の人がロボットによる介護を受け入れるとしています。特に排泄や入浴の介助などは人よりもロボットの方が気がねしないといったことがあるようです。また、ロボットなら同じ会話をくり返す認知症患者の相手をしても感情的にならないので、介護する側・される側双方にとって良いのでは、という声もありました。

高齢化と介護ニーズの増加は、日本だけではなく世界的なものでもあり、ヨーロッパやアメリカでも医療や健康分野でのロボット開発が盛んです。

日本と同様に少子高齢化が進むデンマークでは、介護の現場に積極的にロボットが取り入れられ、介護職の資格を取得するためにはさまざまなロボットを使いこなせることが前提になっています。ロボットを導入することで介護スタッフにできることが増えるので、ロボットと人間の能力を上手に組み合わせていこうとするのがデンマークのロボット介護の考え方です。

日本の高齢者生活支援ロボットの現状は?

前述の通り、ロボットならではの能力、あるいはロボットと人間の能力を組み合わせることで、今までより快適な生活を送れるという点で、ロボット介護は世界で概ね肯定的に捉えられています。ただ、自立支援型のロボットは要介護度が高いお年寄り向けで、導入コストも高額になります。

 一方、日本の介護現場でのロボット導入については、アクティブシニアや要介護度の低い方なども対象に、介護のウエートを大きく占める生活支援の分野でのロボット開発が重点的に行われています。生活支援は主に、外出をサポートする移動支援と安否確認のための見守りに分けられます。

移動支援の製品には、体に装着することで、歩行などの日常動作の自然なサポートをするロボットスーツがあります。安否確認については、センサーやカメラとネットワーク通信の技術を組み合わせた見守りロボットが製品化されています。このうち、見守りロボットは製品のバリエーションも豊富で施設などでの導入が進んでいます。

ロボットたちのセンサーやカメラが高齢者の危険を察知

高齢者の安否確認をする見守りロボットの主な仕組みを簡単に説明しましょう。
ロボットに搭載されたセンサーやカメラが高齢者の動きをつねに見守り、その状況はネットワークを通して、見守る側のパソコンやスマホなどにデータとして送信されます。この見守りロボットを施設の出入口や浴室など安全に注意が必要な場所に設置すれば、徘徊の防止や転倒事故などへの迅速な対応が可能です。また、見守りロボットには「目」の働きとしてセンサーかカメラが搭載されていますが、センサーを使ったタイプであれば、見守られる側に「見られている」ことを意識させることがなく、抵抗感もほとんどありません。

認知症の人の徘徊を防ぐための見守りは、特に時間と手間が必要になるので、ロボットのサポートがあれば、介護スタッフの負担が大きく減らせます。しかし、これだけだけではありません。見守りロボットには、さらにプラスアルファの機能が期待できます。

「見守り」や「思い出し」支援、認知症高齢者を助けるロボット

見守りロボットはもともと高齢者安否確認を目的に開発されていますが、製品によってはコミュニケーションの機能をプラスし、次のような高齢者の生活支援ができるものがあります。

例えば、人感センサーや温度、湿度、照度などを感知するセンサーとロボットを組み合わせた「いまイルモ PaPeRo i」は部屋の温度をセンサーで感知して冷暖房をつけるようにうながします。また、決まった時間に食事や薬を飲むように声がけすることも可能です。こうしたロボットの声がけは、記憶を刺激し自分で作業することの動機づけにつながります。これは、認知症の予防はもちろん、認知症の方にとっては生活支援と認知機能の維持にも役立ちます。

このようにマルチに高齢者の生活支援ができる見守りロボットの「いまイルモ PaPeRo i」ですが、設置には大がかりな工事は必要なく、費用もリーズナブル。今後、ますます施設や家庭での導入が広がっていくでしょう。

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