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高齢者問題

高齢者がねらわれている? 特殊詐欺って、なに?

超高齢化社会となった今、たくさんの高齢者が一人暮らしをしています。年をとると、急な体調の変化や転倒などによるケガの可能性が高くなります。一人暮らしのお年寄り本人はもちろん、離れて暮らす家族としても、日々安全に暮らしていくための対策を意識している方が多いのではないでしょうか。

高齢になっての一人暮らしでは、病気やケガへの備えに加え、犯罪被害にあわないようにすることも大切です。警察によると、ここ数年間、全国的に犯罪件数全般は減少傾向にあるものの、高齢者をターゲットにした特殊詐欺の被害が増え続けています。

ここで、簡単に特殊詐欺とはどのような犯罪か説明しておきましょう。特殊詐欺は、面識のない不特定多数の人を対象に、電話などの通信機器を使って被害者と顔を合わせることなく、不正に手に入れた他人の銀行口座に振り込みをさせるなどして、現金などをだまし取る詐欺のことです。オレオレ詐欺や架空請求詐欺、還付金詐欺など、特殊詐欺にはさまざまな種類があり、これらの詐欺の総称となっています。

こんなにある! 特殊詐欺の手口を知っておこう

一時期はマスコミなどでもオレオレ詐欺が話題になっていましたが、最近では特殊詐欺の手口は多様化しています。自分自身また家族への注意を促すためにも、どのような詐欺の手口があるか知っておきましょう。

まず、特殊詐欺は大きく「振り込め詐欺」と「振り込め詐欺以外の特殊詐欺」の2つに分けられます。

<振り込め詐欺>
・オレオレ詐欺:親族になりすまし「会社の金を使い込んだ」「株で失敗した」などといったり、警察官になりすまし「あなたの口座が犯罪に使われている」「あなたの息子が交通事故を起こした」などといって心配させ、現金やキャッシュカードをだまし取ろうとする手口。お金を振り込ませるだけでなく、自宅まで現金を受け取りに来る手口もあります。

・架空請求詐欺:「インターネットや有料サイトの利用料金が未納」などとだまして支払いを要求したり、「老人ホームの優先購入権が当たった」などといって名義を貸すよう迫り、後から名義貸しは法律違反などといって脅して、保釈金や弁護士費用などの名目でお金を払わせようとする手口。

・融資保証金詐欺:「簡単審査」や「担保不要」などの文言で簡単に融資が受けられるように誘い、融資を申し込むと「保証金」と称してお金をだまし取ろうとする手口。

・還付金詐欺:税金や保険料の還付、年金の未払金などを受け取るための手続きと称し、ATMに行くよう誘導してお金を振り込ませる手口。

<振り込め詐欺以外の特殊詐欺>
・金融商品取引名目:株式・社債などの優先購入権、老人ホームの入居権、有価証券などのパンフレットやダイレクトメールを送りつけ、「パンフレットを送られた人にしか権利がないので名義を貸してほしい」と依頼。その後、名義貸しは法律違反であると脅し、保釈金や弁護士費用などの名目でお金をだまし取ろうとする手口。

・ギャンブル必勝情報提供:「ロト6などの宝くじの当選番号を事前に教える」「パチンコや公営ギャンブルの必勝法を教える」などと持ちかけ、賞金や配当金を受け取るための保証金や会員登録料と称してお金を払わせようとする手口。

高齢者で一人暮らしが危ない? その理由とは

特殊詐欺の被害者を年齢別にみると、70歳以上の人が5割以上を占め、60歳以上になると8割を超えています。また、性別では7割以上が女性です。この統計から、特殊詐欺の犯人たちは高齢者と女性をねらっていると考えられますが、これには、特有の理由があります。

これらの犯罪は自宅へかかってくる電話から始まることがほとんどですが、日中、家にいて電話に出るのは高齢者と女性であることが多いからです。特に、高齢者で一人暮らしの場合、あやしい電話がかかってきても、すぐに家族に相談できません。また、近隣のコミュニティが希薄になった現代、相談できる人が身近にいないといったことから、脅されるなどして気が動転したまま、お金をだまし取られてしまうことがあるのです。

被害を防ぐには、電話のシャットアウトが基本

高齢者をターゲットにした特殊詐欺は卑劣で悪質な犯罪です。被害に会って大切な老後の生活資金をだまし取られることのないようにしましょう。その対策として、知らない電話番号からの電話には出ないことが基本です。これに加え、現在、警察では次のような対策法を推奨しています。

自宅の電話に留守番機能があれば、在宅中も留守番電話に設定しておき、家族や知り合いからのメッセージが入ったときは、必ず後から掛け直すようにします。「携帯電話の番号が変わった」というメッセージであれば、変更前の番号にかけ直してください。留守番メッセージの内容に少しでも不審に感じることがあれば、すぐに110番に通報しましょう。

また、最近は電話の着信時に相手に警告しつつ、通話内容を録音する機能がついた「防犯電話」や既存の電話器に取り付けられる同様の機能を備えた「自動通話録音機」が登場しています。各地の警察や自治体によっては、自動通話録音機を無償で貸し出している場合があるので、地元の警察や役所に確認してみてください。

これらに加え、「自分はだまされない」という過信も禁物です。犯人は非常に言葉たくみですし、電話を通して家族の声を聞き分けるのは意外と困難です。さらに、一人暮らしの場合は離れて暮らす家族と日ごろからよくコミュニケーションをとっておくことも有効な対策になります。


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